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異世界に渡りてヒーローとなる  作者: 黒白鍵


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ハンター試験に向けて②

「斬撃(スラッシュ)!」


 ハンター試験2日前。

 午前の座学詰め込みを終えて、実技の午後。

 戦技(アーツ)と魔戦技(マジックアーツ)の違いがようやく理解できてきた。

 戦技の方は身体強化の延長に近く、攻撃の際に魔力を身体能力に上乗せする感じ。

 魔戦技は、戦技の上乗せにプラスで魔力を纏わせて更なる強化、って感じだ。

 ティナの解説では、よくわからない理屈をあーだこーだと説明されたが、ついぞ文章としては理解できなかったので、身体の感覚で覚えた。

 ティナは最初こそ頭を抱えていたが、ちゃんと使い分けできるのを見て、できるならいいか、と納得してくれている。

 いや、もしかすると理屈を理解させる事を諦めたのかもしれない。

 だが人間には向き不向きってのがあるんだ。

 スマンとは思ってる。

 けど、いくらティナが噛み砕いて説明してくれても、俺の頭にはサッパリ入らなかった。


「よし。色々と試してきたけど、やっぱりカイトは素手で格闘戦するのが一番強いね」


 あれこれと訓練をしてきた結果、やはり下手に武器を使うよりも1番慣れている素手が強いとの事。

 とはいえ、武器も使えないわけじゃない、というのは戦術に幅を持たせられる。

 後は単純に殴る蹴るの打撃だでじゃなく、斬撃と刺突を使い分けできるのもいい。

 つまりは相手によって弱点となる戦術を取りやすいという事なのだから。

 問題は、属性が云々という相手にだけは対向手段が無いという事なんだよなー。

 いかんせん無属性だけ適正があるので、単純な魔力が攻撃として通る相手ならいいが、何かしらの属性しか通らない、みたいな相手は絶賛不利というわけで。

 その辺りはおいおい対策を開発する必要があるかもしれないが、今は一旦後回しか。


「とりあえず、今の腕ならそこらへんの魔獣くらいなら生身でも勝てるでしょ。むしろ、人相手にはちょっと加減を覚えないとマズそうかも」


 ティナ曰く、ここまでの俺の上達は相当なもので、身体強化を上げすぎると人間くらいなら簡単に爆散させてしまうらしい。

 そう言われると困ったな、と思う。

 俺、全力を出すのは得意だけど、手加減は苦手なんだ。


「誰か手頃な訓練相手がいるかな……。そこは後でスプリアに確認しとくしかないか。よし、今日は実技を終わりにして、座学の続きをやろう。座学の方は進みが遅いしね」


 そんな、殺生な……!

 俺、この実技の時間がここ数日の唯一の癒しだったのに!


「そんな顔したって駄目だよ。座学の方の進み悪いんだから」


 せっかくの実技はすぐに終わってしまい、座学延長へ。

 とはいえ、せっかくティナが教鞭を取ってくれているんだ。

 真面目にやらねば無作法というもの。

 とはいえ、気概と内容を理解できるかは別問題でして……。


「……魔獣が1匹魔獣が2匹魔獣が3匹魔獣が4匹……」


 早々に俺の脳みそはメモリ使用量限界を越え、頭から湯気が上がってるんじゃないかというくらい、熱い。


「……はぁ。あんまりやりたくないけど、これじゃ無理か。カイト、今日はここまでにするからもう休んでいいよ。明日は実技の最後の詰めをやって軽く終わるから。それじゃ、また明日ね」


 不甲斐ない俺の脳みそメモリに、ティナも匙を投げて本日は解散と相成った。

 すまねえ……。

 脳みそがポンコツで本当にすまねえ……。




◆――――――――――◇




「とまあ、こんな事があってね……」


『なるほど。カイトらしい』


 本日の訓練を早く切り上げた、というアレスティナの話を聞いて、僕はすぐに納得した。

 勉強嫌いのカイトが、自分から学ぶ姿勢を見せただけで驚きではあるけれど、それで勉強ができれば苦労はしない。

 できなからこそ、嫌いという話で。

 ともあれ、こうなったら僕の出番か。


『その教本の内容とやらを音読してくれるかい? 重要そうな部分を抜粋するだけでいい。それで僕がどうにかしよう』


 断片的でも、僕なら情報さえあれば試験の問題程度いくらでも解ける。

 明後日の試験、筆記は僕が担当すればいい。

 まあ、実技に関しては心配いらないだろう。

 カイトは昔から、身体を使う事だけは得意だったからね。


「となると、明後日はシオンが不在ね」


「しょうがないでしょ。色々考えたらそろそろ実戦経験も積ませないとだし」


「それもそうね。それじゃ、私はシオンの身体の構築に集中するわ。試験とやらはティナちゃんに任せた」


 アレスティナから教本の内容を音読してもらい、それを記憶しながら、僕の身体を作るスプリアの気配を追う。

 カイトが近くにいないので、生憎と視界が無い。

 音と気配で感じるしかないので、少し不便だ。

 けれど、スプリアとの話し合いを通じて、僕の身体を作る工程は着実に進んでおり、まずは試作をする段階となった。

 僕の魂の適合率とやらが上手く上がるといいけれど、それ以上に僕が思い描いた身体になるかどうかが肝要だ。

 せっかくファンタジーな世界に来たのなら、その辺りはぜひとも叶えてほしいところだね。

こっちは更新遅くてゴメンナサイ……。


堂々と交わされるカンニングの計画。

ワケありのハイトくんと違って、カイトくんは脳筋で勉強ができない子なんじゃよ……。

とはいえ、頭の回転自体は速かったり。

こっちは基本的にシオンがブレーンです。

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