いちな、なる先輩と遊ぶ! 中編
元ロスト 高橋いちな
陸軍 諜報課 ナルヒト・マジマ
真島は、射的を選んで定員にお金を渡すと
「なる、手加減してよ~。この店倒産しちゃうから」
と知り合いだったらしく、笑いながらおもちゃの空気銃を渡した。
「俺、そんなに上手じゃないですからね。それに、女の子の前だからかっこつけたいじゃないですか」
と空気銃を受け取りながら返事をしていた。
「いちなちゃん、何か欲しいやつある?」
「えっ私が選んでもいいんですか?」
その言葉に真島はニカっと笑いながら
「任せて下さいよぉ~」とふざけて返事した。
いちなは、う~ん、う~んと悩んだ後小さな黒い箱と目があったので
「なる先輩、小さいけどあの箱っていけますか?」
指定してみた。
真島は、うん、いけると思うと言ってすぐに、その箱を狙い始めた。
弾は全部で6発。空気銃の威力はあまり強くないので同じ場所を何度も狙わないといけない。
いちなは、真島にだけ聞こえる声で
「でも、それ銃身…」
最後まで言わずにいると
ピュン、ピュン、ピュン、ピュン、ピュン、ピュン、ゴトッ
「あっ」
いちなの心配も気にせずに真島は同じ場所に打ち込んだ為、見事に景品が落ちた
それを拾って真島に渡す店員が
「だ~か~ら~、本当にこの店倒産しちゃうからね!」
と怒りながら言った。
「でも、これはアタリだかね!」
といちなの方を見ながら軽くウインクした。
「ここの景品たまに、採算度外視のヤツがあるんだよな~。あの店員があれぐらいキレるってことはこれは、ヤバいぞ!」
空気銃を返却した真島は、いちなと近くにある椅子に座ると一緒にその黒い箱を開けた。
「うわぁ~。これ綺麗ですね!」
いちなが思わず声に出して感想を言った。
「そだな…。」
真島は複雑な表情をしながらそれをマジマジと見ていた。
「ほら、これってペアのイヤーカフですよね?こっちにもそうゆうのあるんですね」
いちなは感心したように話す。
「なる先輩は彼女さんとかいないんですか?」
対になっているシルバーのイヤーカフをみながらいちなは質問してきた。
「いねーな」
真島は小さな声で否定した。
「そうですか…だったら、素敵な相手が出来た時の為に持っておくほうがいいですね」
と言っていちなは、その黒い小さな箱を真島の掌に乗せて握りしめさせた。
遊技場を堪能した二人は、カフェでデザートと食べることにした。
さっきの景品を見た後から真島は少し元気がない。
「なる先輩、大丈夫ですか?あの景品なにかまずかったですかね?」
カフェで席を見つけ注文を終えた二人が、商品が来るまで待っている。
気まずい雰囲気が流れる。いちなは、いたたまれなくなって黒ウサギをなでていた。
「俺さ、こっちに来てから一つだけ自分に科している事があるんだよ」
真面目に話しだす真島
「この世界に何も残さないって」
思いもよらない言葉にいちなは驚いて、黒うさぎから真島の方を見る
「ロストされた瞬間、向こうには俺の存在が消えてるって聞いた時、理解できずにずっと泣いてたよ。そこまでして、自分の存在を否定される理由が分からなくて」
店員が、いちなと真島の注文した物を置いていく。
「だからといって、こちらの世界に自分が必要なのかってずっと考えていたけど」
注文したコーヒーを一口飲んだ後
「やっぱ、必要ないって思っちゃうんだよね」
いちなは、迷子になっていそうな真島を見ながら
「だから、軍人さんに志願したんですか?いつ消えても大丈夫なように」
真島の視線は伏せたままだった。
「そうかもな。」
「そんな…」
「さっき、いちなちゃんが彼女はいないのかって聞かれたとき、そうゆう存在の人を作っていれば違ったのかなって思ったりして」
「出会いはもちろんあったよ。でも、何か違うんだよな。根本的な価値観が」
いちなも、自分が注文したカフェオレを飲む。
「まっ今の仕事も大変だけど楽しいし。彼女ができたときに私と仕事どっちをとるのって言われるのも困るしな」
と笑いながら話した。
最後までお読みいただきありがとうございました。




