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ちびっこ賢者、Lv.1から異世界でがんばります!【Web版】  作者: 彩戸ゆめ
第二章 ちびっこ賢者、がんばります!

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第78話 大海嘯

 レヴィアタンを包んでいた白いモヤが、少しずつ薄れていく。そこには目を閉じてうずくまるレヴィアタンがいた。


 だけど――


「なかなかやるようだな。だが我の力はこれだけではない。この技を受けてみよ!」


 カッと金色の目を見開いて起き上がるレヴィアタンは、今までどこにもなかったはずの大きな翼を広げた。

 そしてその翼を羽ばたかせるたびに、レヴィアタンの頭上に大きな水の渦が広がる。


「ストームブレスがくるぞ! 防御せよ!」


 カリンさんの声と同時に、物凄い勢いの水が迫ってきた。ぐるぐると渦巻く水は、体を押しつぶそうとしてくる。


 く……苦しい!!

 プロテクト・シールドをかけていても、どんどんダメージを受けるのが分かる。


 もうダメだ、と思った時、背中を誰かが強く引っ張った。


「……っ……けほっ……」


 水の渦から助け出され、肺の中に入った水を吐き出す。


「みぎゃ……」

「ありがと、ノアール……」


 助けてくれたのはノアールだ。白猫ローブをくわえて水流から引き上げてくれたみたい。


 みんなは、と思って辺りを見回すと……


 大変! 息はしてるけど、みんな床に倒れてる。


「こうしちゃいられない。皆にヒールをかけないと。ヒール・ウィンド!」


 でも誰も起き上がってこない。

 ああ、もうっ。もっとがっつり回復できないの?


 こうなったら――


「この洞窟にいる仲間にエリア・ヒール!」


 ごそっと魔力が減る感覚がする。

 でもみんな起き上がる気配がしてるから、回復はできているはず。


 こちらが休む間もなく、レヴィアタンは再び翼を広げ始める。


 またさっきの攻撃が来る!?


 どうしよう。風の魔法は効かなかったし、火も水も効き目は薄い。

 でも、雷の魔法じゃこっちにもダメージがきちゃうし……。


 イチかバチか、土魔法で――


 ちょっと待って。そういえば、甲冑虫を倒した経験値でレベルアップしてるんじゃない!?

 ヴィルナさんとノアールが倒したマレンティの分も加算されてれば、もしかして……。


「ステータス・オープン」



 ユーリ・クジョウ。八歳。賢者LV.30



 やった!

 レベルアップしてる!

 だったら何か新しい魔法を覚えてるかも。

 魔法は――



 使用可能スキル

 ≪雷属性≫ サンダー・アロー サンダー・ランス (裁きの雷)

 ≪風属性≫ ウィンド・アロー ウィンド・ランス (破壊の竜巻)

 ≪火属性≫ ファイアー・ボール ファイアー・クラッシュ (紅蓮の炎)

 ≪水属性≫ ウォーター・ボール ウォーター・クラッシュ (蒼き奔流)

 ≪土属性≫ ロック・フォール アース・クエイク (殲滅の隕石)

 ≪氷属性≫ ダイアモンド・ダスト フローズン・ストリーム



 氷魔法を覚えてる! しかも二つも!

 じゃあ強い方を使えば――


「お前たちの力はこの程度か。たわいもない。……さて、遊びの時間はこれまでだ。こちらから行くぞ」


 レヴィアタンは宙に浮かび、その羽を大きく広げた。

 そして体を大きく反って――


「受けてみよ。大海嘯(だいかいしょう)!!」

「ちっ。波動掌拳(しょうけん)!」

炎刃(えんじん)両断!」

「水流一閃(いっせん)


 ――来る!


「させない! フローズン・ストリーム、いっけぇぇぇぇぇ!!」


 杖の先からたくさんの氷柱が放たれ、床の上を滑るようにレヴィアタンへと向かう。


 間に合って!


 大きな水の壁が、レヴィアタンの背後に立ち上がる。

 それはゆっくりと鎌首をもたげ、私たちを飲みこもうとする。


 ――お願い!


 ゴオオオオォォォ。

 押し寄せてくる波が頭上まで迫る。


 ――――凍って!!


 頭の上から水しぶきが降り注ぐ。

 次の瞬間。


 まつ毛の先が白く凍る。

 そして。


 シャリィン……。

 シャリリィィン……。


 緊迫した状態に場違いなほど、軽やかな音が鳴る。

 そして見る見るうちに、襲い掛かろうとしていた波の壁が凍りついてゆく。


 氷柱の群れは、逆流するかのようにレヴィアタンの元へ辿りつき――

 尾を、羽を、鱗に覆われた胴を凍らせていく。

 やがて……レヴィアタンの首までもを凍らせた。


 横を向いたレヴィアタンの、金色に輝く左目がギロリと私を見下ろす。


「この世界で氷魔法を使う者がいるとは……。いや、混ざり者ゆえ、か」


 その視線は私から外され……。


「そして見事、我に一太刀浴びせたな」


 ギ・ギ・ギ、と、レヴィアタンが無理やり顔を動かす音がする。

 その右目には――


「武器を投げつけて我を止めようとしたか。……なるほど。剣に水をまとわせて、我の波を押し返したのだな」


 深々と刺さる、アルにーさまの剣。

 ハッとして見ると、足元を凍らせたアルにーさまが、レヴィアタンを睨んでいた。


 他のみんなも、足元が凍りついている。

 は……早く、ヒールをしないと!


「……ふむ。我に力を示したか。よかろう。水に愛されし者よ、我の祝福を受け取るがよい!」


 レヴィアタンの声が響くと、刺さっていた剣が、右目ごと宙に浮く。

 そしてその剣は、ヒュンッとアルにーさまの元へ飛び。


 アルにーさまが右手でその剣を受け取った。


 すると、剣に刺さったままのレヴィアタンの右目が、小さな金色の龍へと姿を変えた。それはするりと剣を伝い、アルにーさまの右手の甲の上で丸くなる。


 次の瞬間、目がくらむような光が放たれ――


「なんだこれは!?」


 アルにーさまが驚いたような声を上げた。


 その右手には金色に輝く、レヴィアタンの姿を写した魔法陣のような模様が(しる)されている。


「我の力を必要とする時、その祝福の印が輝くであろう。この世界に顕現(けんげん)する我は仮初(かりそめ)。ゆえに、戦いの中で我の祝福を増やすが良い」


 そう言い終わると、レヴィアタンの右目があった空洞から、小さな亀裂が走っていく。

 その亀裂はどんどん深くなり。


「水に愛されし者よ。精霊界より我を召喚せよ。我の真名は、青龍王・リヴァイアサン!」


 ええっ。

 カリンさんは神獣レヴィアタンだって言ってたから分からなかったけど、ゲームにも出てくる、青龍王・リヴァイアサンだったの!?


 驚きに目を見張る私の目の前で、凍りついたリヴァイアサンの体が砕け散り、ザァァァァと音を立て崩れ去る。


「賢者の塔でまた会おう」


 全ての氷が粉々になると、リヴァイアサンは最初に現れた黒いモヤの中へと吸い込まれていった。


 え、待って。どういうこと?

 やっぱり賢者の塔があるってこと?


 そして最後にポツンと残ったのは、空の宝箱だけだった。


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