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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第9章:【150億の債務超過編】――救世主(ウチ)に頼むなら、まずは仕様書を出さんかい!
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【ヘッドハンティング】!  ――神様なんてやめて、ウチの「技術顧問」になりなはれ




「……ふぁ。……俺、……寝てたのか?」



 最高級の魔法羽毛ベッドの上で、レインがゆっくりと上体を起こした。


 数百年の疲労を吸い取った枕から頭を上げると、目の下のくまは消え、肌には人間らしい血色が戻っている。



「お目覚めですか、レイン卿。睡眠時間、合計一六八時間。世界維持コストの分散処理……すべて滞りなく完了しております」


 枕元で、カシムが事務的に、しかしどこか安堵あんどした声で告げる。


「……あぁ、体が軽い」


 レインが、ウィンドウを開き、外の様子を確認する。


 民が自分たちの魔力で支え合って暮らす、「新しい世界」の光景が広がっていた。


「……俺がいなくても、動いてるんだな」


「当たり前や! ウチの『経営再建プラン』に不備があると思ってんのか!」


 ソロバンをパチパチと鳴らし、絶好調な様子のエリザベス。


「レインの旦那! 寝ぼけてる暇はないで。今まで『仕様書』もなしに、行き当たりばったりで世界を回してたやろ。管理者のすることやないわ!」


 エリザベスがベッドの上にドサリと置いたのは、分厚い一冊の書類――『オーバーライド・エンパイア:新・標準運用仕様書』。


「……これ、何……?」


「新しいルールや! アンタはもう『孤独な神様』卒業やねん。これからはナニワ商会の『技術顧問』として、仕様書通りに世界を動かすバグ取りを担当してもらうで」


「え……? でも俺、神様の力なんて……」


「あほ! アンタの価値は『神の力』やない。150億人のシステムを一人で管理し続けた『ノウハウ』や! そんな貴重な人材、野放しにするわけないやろ!」


 エリザベスは不敵に微笑み、レインの鼻先に黄金のソロバンを突きつけた。


「これからは、無理のない範囲で、楽しく働いてもらうで。どうや、条件は悪ないやろ?」


 レインの瞳から、ポロリと一粒の涙がこぼれた。


 「救世主」としてまつり上げられるのではなく、一人の「技術者プロフェッショナル」として必要とされたことが、何よりも嬉しかった。


「……ふふ。レイン卿、妻は一度狙った獲物は逃さない主義でね。私も、君のような優秀な『共同経営者』が増えるのは大歓迎だ」


 エドガーが優雅に腕を組み、同意の頷きを見せる。


「レイン! ウチも一緒に働くよ!」


 傍らで、ギルが嬉しそうに吠えた。


「……ああ、喜んで。俺を、雇ってくれ、エリザベス!」


 レインが力強く魔法契約を刻んだ瞬間、かつての「孤独な救世主」は消え、最強の「ナニワ商会・社員」が誕生したのである。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


 孤独な神様が、最高の仲間とホワイトな職場(?)に巡り会う物語でした。


 レインがようやく見つけた「自分の居場所」を、これからも見守っていただけると嬉しいです!

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