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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第41話 リザードマン

前回のあらすじ

ガガト山到着→スライム人気

 エルク達は山を登っていた。山といっても平坦な場所が多く、それなりに広いため、台地と呼んでもよさそうである。


「ん~ どこかな~」


 エルクは唸っていた。目当てのモンスターが見つからないからである。


「何を探してるんだ?」


「あ、そうよ! 今回は何をテイムしようと思ってるの?」


「気になります!」


「教えろ~」


 いつもエルクは突発的に行動を開始することが多く、事前情報を何も伝えずに目的の場所へ行ってしまう。情報が無いのにも関わらず付いて行くクラウ達も相当危険である。


「え~ そんなに言うのなら、では! 発表します!」


「お!」


「でけでけでけ、デン! リザードマンです! パチパチパチ~っと」


 リザードマン。それは体の表面が全て鱗で覆われていて、人間と同じ二足歩行をする。トカゲのような頭で尻尾があり、人語を理解するものまでいるという。攻撃手段も様々だが、特質すべき点は人間と同じ武器を持つことだろう。


「リザードマンって……」


「エルク知らないの?」


「それは……」


「?」


「え? 何?」


「リザードマンはテイムできないはずだぞ?」


「え!! 嘘!?」


 リザードマン。それはこの世界でほぼ人間と同じと伝えられており、この大陸のどこかにはリザードマンが溢れる村があると言われている。人間とほぼ同じという点は職業にも現れている。戦士になるものが多いが、魔法を使う魔術師や、極稀にだがエルク達と同じモンスターを使役するテイマーもいる。そのため、リザードマン種はエルフやドワーフと同様に獣人として認識されている。


 ソウは武術科のため、テイムに関することは知らない。しかし、エルクは魔術科の従魔専門で、授業でも教えられたことである。授業で学ぶ前にリザードマン種については知っていることが多いのだが、エルクに関しては知らずに育ってきていた。モンスターとして存在している者は例外無くテイムできると思っているのである。


「まじか~ こりゃやっちまったぜ!」


「やっちまったぜ! じゃない!」


「折角ここまで山を登ってきたのに~」


「いや、ごめんなさい!」


 エルク達は目的であるテイムをすることなく帰ろうとなっていた。全ては目標であったリザードマンについてエルクが知らなかったからである。


 ガガト山に生息するリザードマンはある場所に集団で暮らしており、その数約200体。このガガト山で暮らしていけるほどの戦闘能力があり、数も増やしていけるほどの安定性がガガト山に住むリザードマン達にはあった。


 そんなリザードマンであるが、現在5体がエルク達の見張りとして行動していた。途中で偵察していたリザードマンは、仲間を呼びに行ったのである。エルク達の中に1体では対処できそうもない奴が紛れていたためだ。


 そして、今現在のエルク達の状況はというと1箇所に固まっていて、1人が周りから囲まれている。その周りを従魔のモンスターが囲んでいる状況であり、警戒している様子もない。どこからどう見ても奇襲しやすい形となっている。偵察をしている5体のリザードマンは、行動に移る。


「(俺が正面から突撃する、お前たちはいつも通り頼む)」


「「「「(おう!)」」」」


 1体のリザードマンが茂みの中から飛び出す。それに合わせて2体ずつ左右に別れ、2体ずつ別れた内の1体は戦士タイプでも1体が魔法タイプであることが武器を見れば分かる。


「皆! リザードマンだよ! 出た!」


 エルクの一声によってクラウ達が反応する。既にリザードマンは動き出していて、左右と正面から迫ってきていた。しかし、リザードマンは相手の情報について知らないことが多すぎた。


 アラクネ。リザードマンが唯一対処できないと思っていた相手である。しかしそのアラクネは通常よりもかなり強くリザードマン5体では太刀打ちすることができないだろう。


 スライムに関しては相手にならないと見下していたが、そのスライムでさえもかなり強い。


 そして1番知らなければいけない相手については姿さえも確認することが出来ていなかった。その存在は最初からリザードマン達に気づいており、観察していたのだ。


 エルクはウルの意思を読み取り、リザードマンが行動に出た瞬間から気づいていた。


エルク『ウル! 真正面! スラ、ライ! 左! ラネは右!』


 エルクが正面と左右から襲ってくるリザードマンの担当を念話で即座に決め、こちらも即座に行動する。


 ぶつかった時間は数秒にも満たなかっただろう。それほどまでにリザードマン達と従魔達では力の差があった。


 現在リザードマン5体はエルクの目の前に座っていて、ラネの糸によって拘束されていた。リザードマン5体の内、リーダーらしき者が口を開く。


「(我等の負けだ。早く殺せ!)」


「何で襲ってくるのさ!」


「エルク、言葉が分かるのか?」


「え?」


 エルク達のメンバーでリザードマンの声が聞こえているのはエルクのみである。エルクの能力「魔物言語」のおかげである。そしてあることに気付く。


「ほら、やっぱりモンスターなんだよ」


「どういうことだ?」


「僕にはモンスターの言葉が翻訳されて伝わってくる能力があってさ! 皆には伝わらない言葉が僕には伝わる。つまりモンスターってことでしょ!」


『おいらには分からないッスよ?』


「あれ?」


 ここで問題が発生する。エルクに分かる言語で、クラウ達には分からない言語はモンスター共通だと思っていたエルクは頭を悩ます。ウル達従魔にも分かっていないからである。


「(俺の言葉が分かるのか!?)」


「僕は分かるんだけど、皆には分からないみたいだね~ どういうこと?」


「(この言葉は我らリザード族の言葉だ。産まれてから初めて話す言葉がこの言語になる)」


「ふむふむ」


「(リザード族の言語を知っている、使える者はリザードマン以外には居ない筈だが、何故知っている!?)」


「ん~ 分からないな~」


「何て言ってるんだ? シャーとかグルァとかしか聞こえないぞ」


「僕にもよく分からないんだよね~ 唯一分かったのが、リザード族にも人間と同じように言語が有るってことかな!」


「モンスターの言葉とは違うのか?」


「違うみたいだね~ ウル達にも分かってないから」


「全然分からないわ。とりあえずどうするの?」


「こちら側には被害が出てないので開放してあげてはどうですか?」


「やっさし~!」


「それは危険じゃないか? また襲ってくるかもしれないぞ!」


「まぁまぁ。リザードマンと話をしてみるよ」


 リザードマンを開放するかしないかで、クラウVSエネ・ソウが始まろうとしていたが、エルクが止める。


 そして数分の間エルクとリザードマンが会話をしているのを眺めていた。


 エルクがエネに対して糸を切るような仕草をして、リザードマン達は開放された。


「おい! エルク!」


「まぁまぁ落ち着いて! 話すからさ」


「で、どういうこと?」


「このリザードマン達ね、実は___」


 エルクがリザードマンと会話した内容を纏めるとこうなる。

・リザードマンの住む村がモンスターが急激に移動を始めたことにより襲われた

・その村では最近になって行方不明が増えている

・最近になってガガト山で人のような者をよく見る

・対処しようと動き始めた頃にエルク達を見つけた


 と言うことらしい。


「___とのことで、僕達が犯人だと思って、襲って来たようです!」


「なるほどな。だとしても、襲われたことに変わりは無いんだが」


「兄さん、もういいじゃない。今はこうして襲ってくる様子も無いし」


「リザードマンさん達をどうするんですか?」


「話し合った結果ね、今日は村に行こうと思う」


「村? どこの?」


「リザードマンの」


「歓迎されないでしょ!」


「このリザードマンが言うには大丈夫らしいからさ!」


「だとしても危険よ?」


「少し怖いですね」


「最悪の場合は、ウル達に頼むから」


「不意打ちとかあるかもしれないぞ」


「ん~ そこまで心配なら僕だけで行くけど」


「確かにエルクなら何とかできそうだけど、それは反対ね」


「私も反対です!」


「え~ なんで?」


「分かってないな~ エルクのことが心配なんだよ!」


「エルクがやるなら俺達も付き合うけど、危険を感じたらすぐに逃げるなり、抵抗するなりするからな」


「さっすがクラウ! それでいいよ!」


「はぁ。兄さんがやるなら私も手伝うわ」


「じゃ、じゃあ私も。リザードマンさん達がかわいそうです!」


「皆手伝うのに私は手伝わないなんて無いよ!」


「皆! ありがとう!」


 エルクはリザードマンがテイムできないと言われたので、テイムできなくても仲良くなれれば誰か付いて来てくれるんじゃないかと考えての行動である。見返りを求める気満々である。


「じゃあ、村まで案内お願い!」


「全員付いて来てくれるのか!? 変な奴らだな」


 こうしてエルク達はリザードマンの先導に付いていき、村に到着する。案の定そこにいたのはリザードマンであり、リザードマン全員が武器を持って待ち構えていた。

読んでいただきありがとうございます!


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