第20話 カマキリテイム
前回のあらすじ
入学2日目→ウル達の移動(山脈)→友人のテイムに付き合う
目の前にいるのはレッサーマンティス。このレッサーマンティスは今からエネがテイムしようとしているモンスターだ。エネはモンスターをテイムしたことが無いらしく、テイム魔法もおぼつかないそうだ。
「え、え、え~とまずはこう!」
何も変化は無い
「えと、次に、こう!」
何も変化は無い
「さ、最後に、こう!どうだ!」
何も変化は無い。
エネがやろうとしたテイム魔法は鎖型だ。最初に1本の鎖を魔法によって出現させ、レッサーマンティスの胴体に巻きつける。次にもう1本出現させ、両方の鎌を鎖で縛る。最後に全体を鎖で包囲し、テイム終了となる。はずだった。
エネは1本目に片方の鎌を鎖でぐるぐる巻きにした。次にもう片方、最後に頭をぐるぐる巻きにした。行動の制限は出来ているが、これではテイムできるかどうか怪しい。レッサーマンティスの見た目が予想以上に不気味なものになってしまっている。両方の鎌は鎖に巻かれ、頭部も鎖に巻かれ、胴体や足には何もされていない。ミイラ化に失敗したかと疑うほどだった。
「ありゃ~ もう一回やろう!次は大丈夫だよ!」
「分かりました!もう一回やります!」
2回目のテイム
「まずは、こう!」
胴体に鎖が巻きつく
「次に、こう!」
胴体に鎖が巻きつく
「最後に、こう!!」
頭部に鎖が巻きつく
またしても醜い姿になってしまったレッサーマンティス。もはや可哀相である。胴体に巻きついている鎖がかなりきつそうで、足止めにはなっている。レッサーマンティスの鎌が無事なので、体に巻きついている鎖を断ち切ろうとしている。
「あちゃ~ またこれも難しいかな?もう1回だね!1回目よりは上手くいってるから次は大丈夫だよ!」
「う~。もう1回やってみます~」
3回目のテイム
「集中、集中!まずはこう!」
胴体に鎖が巻きつく
「次にこう!」
両手の鎌に鎖が巻きつく
「最後にこう!」
マンティスの頭部から下を鎖が巻きつく、少し遅れて頭部を鎖が覆う。
このままではテイムできる確立は約50%だろう。不完全な状態でのテイムのため、運が悪ければテイムできずに終わってしまう。そうなってしまうと、エネは落ち込むだろうとエルクは考え、少しテイム魔法をばれないように手伝っていた。最初頭部に巻かれていなかった鎖はエルクが継ぎ足したものだった。
「あ!」
エネが喜びの声をあげる。テイムに成功したのだった。エネの実力だけでも50%の確立で成功するのだが、エルクが手伝ったことによりほぼ確実に成功するようになっていた。エルクのちょっとした気遣いによってエネの喜ぶ顔が見れたのだ。しかし、エルクが手伝ったことにより通常のテイムと少し違っていた。
「名前はどうするの?」
「ん~とね、この子はティス!」
「(名前の付け方が僕と似てるような・・・)」
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ティス 従魔 マンティス
レベル:3
HP :630
MP :220
攻撃力:310
守備力:230
素早さ:260
魔法 衝撃
能力 斬撃強化 飛翔 部位再生
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通常のテイムと少し違う点、エルクがテイムをしたときには、エルク固有能力の効果によってそのモンスターはかなり強化されて従魔になる。エルクが少し手伝うと手伝った分強くなってしまったのだ。エネ1人の場合50%で成功するテイムがエルクによって100%に引き上げられたため、エルクがテイムした時の半分の効果が出ていた。
エネは鑑定を持っていないため、気付いていないが、かなり強くなってしまった。実際マンティス種はかなり強い部類に属している。虫系モンスターの中にはマンティス種よりも比較的に強い種族もあるが、マンティス種の鎌はどの種族に対しても有効である。斬ることも、挟むことも、断ち切ることもできるため、マンティス種は器用に戦われるとかなり手ごわい種族になる。
エネのテイムしたマンティスは同じ種族の中でも強い部類になるだろう。個体差の激しいモンスターの中で初期能力として、斬撃強化を持っており只でさえ脅威である鎌の威力が増している。そして、エルクが協力したことによる影響で、レッサーから進化し能力も魔法も増えた。
「エルクさん!ティスの能力はどうですか!?強いですか!?」
「う、うん!かなり強いかも!えっとね___」
エルクは鑑定した結果をエネに伝え、能力の効果も伝えた。
「あれ?もしかして、私よりかなり強いのかな?あれ?自分より強いモンスターはテイムできないって・・・ あれ?」
エネは混乱していた。初めてテイムしたモンスターが強固体だったために、自分の身の丈にあっていないと思うと共に、学園で教えられたことと違うことが起きたからである。
「ま、まぁ強いならいいじゃん!よかったね!初従魔おめでとう!」
「あ、ありがとうございます!これもエルクさん達の協力のおかげです!」
クラウとメルも一緒にエネを祝った。特にメルはエネと抱き合って喜び合っていた。
「それにしても、なんでそんなに強いのかしらね?」
「よく分かりませんけど、ラッキーです!」
「じゃあこれで今日の目的が達成できたということで!」
「のんびり帰るか~」
エルク達は目的を達成したため寮へ帰ろうとしていた。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「エネちゃん?」
「ティスの戦い振りを見てみたいのです!」
「あ~それもそうだよね! じゃあ1回モンスターと遭遇してから帰ろう!」
そういって、森をまた散策することになった。
「ぎゃあぁぁぁ!!」
森の奥から野太い叫び声が聞こえた
「!? 今叫び声が聞こえた!」
「エルク! 行こう!」
叫び声のした方向へ向かって走っていくと、そこに居たのは冒険者らしきパーティとそのパーティを囲むモンスターの群れだった。モンスターの群れは10匹ほどいて、そこまで強くないが、冒険者パーティも駆け出しなのかあまり強くないようでかなり苦戦していた。
「ティス!助けてあげて!」
ティス〈こんな雑魚共相手にならんな〉
「え・・・?」
「エルク! 俺達も行こう!」
「う、うん!」
冒険者パーティはボロボロだった。4人パーティなのだが、既に前衛の1人が倒れており、回復ができない状況だった。そこにエルク達が助けに入り、エネの従魔であるティスも包囲の端から順に切り倒しているようだった。エルクはモンスターをティスに任せ冒険者パーティの守りに徹していた。ティスの戦い振りは見事なものだった。
冒険者パーティの4人全員が回復したところで、既にモンスターの姿は無くなっていた。エネはティスの戦い振りをずっと見ていたようで、満足そうな顔をしていた。メルとティスについての話で盛り上がっているようだ。
「もう大丈夫ですね」
「すまない。助太刀感謝する。君たちが来てくれなかったら今頃大変なことになっていたよ」
「僕達は何もしていませんよ! 御礼を言うのならあの女の子達に言ってあげてください! あの子の従魔がほとんどのモンスターの注意を引き、しかも倒してくれたので!」
「あの従魔はすごいな。ははは、感謝してくるよ。ありがとう」
「いや~ マンティス欲しくなってきたな~」
「これ以上増やすと管理が大変になるぞ?」
「僕のところは基本的に放置だから!」
「そ、そっか」
「じゃあ帰ろうか!今日はもう疲れちゃったや!エネ~メル~そろそろ帰るよ~」
エネの従魔の戦い振りが確認でき、エネが満足したところで寮に帰ることになった。寮に帰ってからエルクはすぐに眠ってしまった。入学2日目も濃い1日となったのであった。
エルクはすっかり忘れているが、ウル達はディム山脈で狩りをしているため、エルクにもかなりの経験値が振り分けられていた。知らず知らずのうちにエルクもウル達もかなり強くなっていた。
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