エピソード4「復讐者の魂」(1)
アトス達からは、数10キロ離れた地点。ヒルトライ郊外にある、薄暗い洞窟の中。
湿っぽく名前も知らないキノコも生える場所、そこでゾゴイは眠っていた。
洞窟の中には、ゾゴイの他には一つの影。額から冷や汗を掻いているゾゴイは、安置されていた。
ぴとり、と洞窟内の水滴がゾゴイの額に当たる。
「……此処は」
「気付いたか」
片腕を失った怪物が、冷たい水で目を覚まし起き上がったゾゴイの前に立つ。
ゾゴイと怪物は対比すれば、倍以上の体格差があった。
「っ!」
ゾゴイは怪物を見た瞬間、後じさる。
「な、なんなんだアンタは」
「俺はお前だ」
怪物は慄いているゾゴイに向かい、怪物はそう言葉を吐く。
「どういう事でぇ、わ、私に何の用で。取って食おうとしたって、美味くはないですぜ」
「……どうもこうもない、貴様の心は見させてもらった」
ゾゴイが取り繕おうとすると、怪物はそれを静止し、残った腕でゾゴイの肩に腕を置く。
「なんでぇ!」
「貴様には……後がない、違うか」
怪物は姿勢を下げ、ゾゴイの前に自身の顔を持ってくる。肩に置かれた手を振り払い、ゾゴイは逃げようとする。
「ひっ……おっかねぇ!」
「違うかと聞いている!」
「……ィィ……」
掠れて、声にもならない声をゾゴイは上げる。
「待て、そもそも、誰が貴様を安置したと思っているのだ」
怪物がゾゴイを問い詰める。
「……」
「いいか、貴様が兵士に殺されそうになったところを救ったのは俺だ。ならば相応の働きをしても罰は当たらないと思うが?」
怪物はさらに、ゾゴイに詰め寄る。
「何が……目的でぇ」
「世界の……破壊」
「それで私になにが出来るというんでぇ?」
「貴様の体を貸せと言うのだ。なぁに、心配ない、相乗りをさせろという訳でもある。それに私が居る間は貴様の力は何倍にもなるのだ」
「……世界の破壊?」
「あぁ、悪くはなかろう? 貴様を破壊した世界に対しての復讐をするのだ。百の痛みに千の報復をするのだ」
「千の報復……」
ゾゴイの目が、輝く。
「来るがよい、ゾゴイ。我々と同じ世界に。貴様の守りたい世界を守る為にな。俺の力を貸してやる……」
怪物はゾゴイに憑き、液体のように浸透していった……。




