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異世界特有のご都合環境⑧

「あれが我が国が管理する特異点、通称『荒天島』ですじゃ。四六時中吹き荒れる暴風雨が島の周りを取り囲むことからそう呼ばれとります」


その勢いたるや凄まじく、船で向かえば転覆、魔法で飛んで行っても墜落が必至だそうだ。過去、特異点の存在が確認されて以来、あの大嵐の中に突っ込んで生還した記録はないという。


その話を聞いたディアナが、さらに国王へ問う。


「そんなに激しい嵐が吹き荒れているとは、国への影響はないのですか?」


「それが不思議なことに、あの嵐は特異点である無人島を中心にした、ごく一部にしか発生しておらんのです。中心にある無人島は晴天で、嵐は広がりもせず縮まりもせず、あの勢いのまま常に吹き荒れているのですじゃ」


特異点に渦巻く魔素(マナ)の影響ですかのう、と間延びした回答を寄越す国王。


いやいやいや、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!


それってつまり、いつまでたっても特異点に近づくことすらできないってことじゃないか!


「じゃあ、どうやって魔晶を回収すればいいんだ!?」


「お、おお、落ち着きなされユーハ殿のののののの」


「マスター! ベロニカ王を揺さぶっても嵐は止みません!」


お、おう……思わず我を忘れて王様の肩をめちゃくちゃに揺さぶってしまった。


謁見の間に控えていた兵士たちが一瞬警戒心を露わにする。


「す、すいません」


「い、いやいや、お気になさらず……少々びっくりしただけですわい。ほっほ、ユーハ殿は若くて元気が有り余っている様子ですのう」


肩をすくめる俺に、寛容な言葉をかけてくれるベロニカ王マジ天使。こんないい人に詰め寄ってしまったなんて申し訳なくなるな……


息を整えた国王は、彼方の特異点を見据え話をつづけた。


「さて、あの島へ渡る方法ですが、そう難しい話ではありません。嵐が納まるまで待ち、船なり魔法なりで向かえばよいのですじゃ」


「……はい?」


それ、言ってることが矛盾してるのでは。だってさっき、四六時中嵐のままだって。


……いやな予感がする。


「ベロニカ王。嵐が止むのはいつ頃なのですか?」


的を射たディアナの質問に、王は平然と答えた。


「ふむ……まぁ、三、四か月といったくらいですかのぅ。平均してそれくらいの周期に一度、嵐が引くと記録が残っておりますぞ」


「…………はいいいいいいい!?」

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