表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/673

異世界特有のご都合環境⑥

少女のダンスパフォーマンスは、ルナちゃんのMVを見慣れたこの俺でさえも目が離せないくらいに洗練されていた。


鋭く激しいステップで気分が高揚したかと思えば、優美で艶やかな振り付けで一瞬にして魅了される。何の演出効果も無いサラの踊りのハズなのに、彼女の背後に光り輝くビームライトやスモークを空目してしまいそうになる。


武道館で繰り広げられているかの如き臨場感を感じさせる技術……いったいどれほどのレッスンをこなせば身につくのか、想像もつかない。


少女の、下手したら公害レベルにまで認定されそうな歌声も、全く気にならないほどに惹き付けられそうなダンスだった。


彼女は清濁織り交ざったパフォーマンスを、惜しげもなく五分ほど披露した。


歌い終えた少女は、額に流れる汗を手の甲で爽やかに拭い、溢れんばかりの笑顔を浮かべる。


「ふぅーっ、みんなありがとー!」


当初はその歌声に不快感しか感じなかったが、あれだけのダンスを見せてもらった以上、彼女の演技の素晴らしさを讃えないわけにはいかないな……そう思い、少女の二度目のMCに合わせて拍手を送ろうとした時だった。


「やっぱりみんなの前で歌えるのってサイコーだね――」


「コラー!! またお前か!」


少女が言い終わらないうちに、王城に続く通りから、怒声を上げて大勢の兵士が駆け寄ってきた。どうやら、避難していた市民の誰かが詰所の兵士に通報したらしい。


その様子を見た金髪の少女は、あわただしそうに手荷物をまとめ始めた。


「ち、ちょっと早いけど、今日の舞台はこの辺で! それじゃあみんな、また明日ね――――!」


足元に置いていたタオルや飲料水などの荷物を、慣れた様子でまとめ終えた少女は、海がある方の通りへ向かって全速力で駆けだし、あっという間に姿が見えなくなった。


足速ぇな……月神舞踏(ディアナアーツ)状態の俺たちに匹敵するぞアレ。


「逃げたぞ! 追えー!」


彼女の後を追い、相当数の兵士たちが広場を駆け抜けて行く。かなりの人数ではあるが、いかんせん走る速度が少女と比べ物にならない。兵士たちが視界から消えたのは、少女が広場を去ってからしばらくしてからだった。


許可なしのゲリラライブだったってことなのかな? まあ確かにあの歌声は、聞くだけなら害しかないと断ずるに充分な破壊力だったけど……


「……はっ。マスター、ベロニカ城へ向かう途中だったのでは」


「あっ」


いっけね。すっかり忘れてた!


自身も先刻まで忘れ去っていたらしいディアナの言葉に、改めて俺たちはベロニカの王城を目指すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ