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異世界召喚はいつも突然だ③

「え? つまり君は、たかが舞台の応援練習をしたいがために、僕らを助けてくれないと、そう言ってるのかい?」


「そうだよ」


世界が崩壊とか、そんなの一高校生が背負うレベルの話じゃない。


そういうのは俺みたいなメガネのドルオタぼっちじゃなくて、もっとこう……周囲からも愛され受け入れられるような、常にクラスの中心にいるような、主人公気質のあるやつがやるべきだろ。せめて。


「ていうかたかがとはなんだ、たかがとは。ちゃんと曲ごとにコールを覚えないと、周囲との一体感が出なくて……」


「ふ、ふふ、ふざけるな――――――!」


ついさっき俺のした発言を、女王サマがお叫びあそばされた。

自分が頭を悩ませている問題を舐められたように感じたのだろうか、怒りで耳まで真っ赤にして、肩をわなわなと震わせている。


イケメン魔術師もどこか呆れ顔で俺を見ている。


「貴様! 我々は滅亡の危機に瀕しているのだぞ! 冗談でも偽計でもない! 真剣に種が滅びる現実に対抗すべく、異世界より助力を願ったのだ!」


勢い良く立ち上がった女王サマが、そのままつかつかと俺の元まで歩み寄ってくる。


兵士誰も止めないのかよ、と思い横目で見ると、主の剣幕にどうやらビビっている様子だ。

魔術師にいたっては止める素振りすら見せない。


憤慨の色を臆面もなく見せつけながら、女王サマのきつい視線が俺を射抜く。

大人っぽく見えたが、すぐにキレ易いところからすると結構若いのかもしれない。なんかちょっと涙目だし。


「それを、舞台! やけに拒否するものだからどんなたいそうな理由かと思えば、小娘が演技を披露するだけの舞台だと!? そんな、そんなもののために」


「おい」


自分で思った以上に低い声が出た。眼前の怒りにうるんでいた青い瞳が怯む。


……『大切なもの』を軽んじられたら頭にくるのはわかる。だからちょっとは罵倒を受けてもしょうがないかなと思った。


でもな。それは俺も一緒なんだよ女王サマ。

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