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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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冒険者達との別れ

 俺は昼食を済ませていつもの場所に向かった。終始、母さんが笑顔だったのがとても怖かったけど。


「そう言えば、父さんに母さんのこと言わなきゃな。」


 そんな事を考えながら広場に向かうと二日酔いで苦しんでいる父さんがいる。今朝、見た時には寝ていた人たちは全員起きているようだ。


 父さんも苦しんでいるようだが母さんの事を言ったらそんな苦しみも無くなるだろう。


「父さん。」


「あ、アレクか。水、水を出してくれ。」


 どうやら生活魔法が使えないほど酔っているらしい。俺は父さんに言われた通りに机に置いてあったコップに水を入れて渡した。


 すると父さんは一気に飲み干して少しは気分が良くなったようだ。


「ありがとうなアレク。」


 父さんに感謝を貰ったがこの後の事を考えると気の毒に思ってしまう。


「お礼はいいよ、ただ父さんに悪い知らせがある。」


「なんだ?」


「母さんが本気で怒っている。」


 俺がそう言うと父さんは顔を青白くし、頭を抱え始めた。俺の声が聞こえたのか、何故か周りの人達も頭を抱え始めた。どうやらこの村では男は女の尻に敷かれている人ばかりのようだ。


 俺が周りを観察していると父さんが俺の体を掴んで頼み込んできた。


「アレク頼む!母さんを宥めるのに協力してくれ!」


「ごめん父さん、この後、用事があるから。それと諦めた方が賢明だよ。」


 俺がそう言うと父さんは項垂れながらトボトボと家に帰って行った。そうして、俺は父さんを見送るといつもの場所に向かう。


 いつもの場所に向かうとニノが剣を振って待っていた。


「よ、ニノ。」


 俺が声をかけるとニノは素振りを辞めてこちらを振り返る。


「アレク、おはよう。」


「ああ、おはよう。それとニノに話しがあるんだけど大丈夫か?」


「大丈夫。」


「なら、良かった。実はなーーー。」


 俺はニノに魔力適性を調べると言う話しをした。そして少し遅れて行く事も。


「分かった。楽しみ。」


「そう言えばニノは火がいいんだっけ?」


「そう、私の憧れと同じ。」


 目をキラキラさせながらニノは言う。この時だけはニノって子供っぽいんだよな。


「そうだったな。なら火じゃなかったら魔法は使わないのか?」


「使う。だけどもし魔力適性が何もなかったら、その時はお父さんの真似をする。」


 俺はニノに言われて思い出した。ニノに魔法の適性がない可能性を。だけど、ニノの強くなる姿勢は魔力適性が無くても関係無さそうだと思った。


 俺達はこの後も話しをしたり、剣を使う時の姿勢制御をしたりした。俺達は1時間くらい経ったか確認する為に、広場に向かった。


 広場にある時計を確認したら、後少しで1時間と言うくらいだった。俺は時計を見て思った。ユークさんがきた時、太陽が真上になったらと言っていたが、あれは俺が時間が分からないと思っていたからなのだろう。


 そんな事を考えながらニノと一緒に俺の家に向かっていると、冒険者達が帰る所に遭遇した。俺達は駆け寄りながら声をかける。


「レイさん達!」


 すると俺の声に気づいたのか馬車にまだ乗っていなかったシンシアさんとレイさんが振り返った。


「アレクとニノだ〜。」


 そう言ってシンシアさんがこっちに歩いて来た。それといつの間にかシンシアさんはニノを呼び捨てにするほど仲が良くなったらしい。


「もう帰るんですか?」


「ああ、馬車の時間が今日まででね。」


 そう言うのはシンシアさんの後ろから来ていたレイさんだ。


「そうなんですか。もう少しいて欲しかったですけど仕方ないですね。」


「本当だよね。まだアレクと話したい事もあったし、ニノともまだ話したかったしね。」


 そう言うとシンシアさんがニノに耳打ちをして、何故かニノの顔が赤くなった。


「僕もまだ話したかったよ。だから、次会う時は沢山話そう。」


「そうですね。」


 俺がレイさんと約束をしていると、ニノとシンシアさんも何か約束しているようだ。


「冒険者さんもう時間ですよ。」


 馬車の運転席から顔を出して御者と思われる人が言った。


「どうやら、時間のようだね。」


「そうですね。ではまたいつか。」


「またいつかね、アレク、ニノ。」


 そう言って冒険者達は帰って行った。俺達は馬車が見えなくなるまで見送ると気持ちを切り替えて俺の家に向かう。


「少ししか一緒にいなかったけどレイさん達はいい人だったな。」


「うん。それに冒険の話しを沢山聞いた。」


「ああ、そうだな。そう言えばさっきシンシアさんと何を約束したんだ?」


 俺がそう聞くとニノは顔を背けて言った。


「ア、アレクには教えない。」


「えっ、何その反応、逆に気になるんだが。」


 そう聞くとニノは口元に人差し指を立てて小悪魔のように、けれど邪気を一切感じないその笑顔はとても可愛かった。


「これは女と女の約束。」


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