2月18日 夜
もう2年の後期も終わりが近い。そのあとは短い春休みがあって、すぐに3年になる。
俺の入っているサークルでは来年からの役員決めをしているところだが、それがかなり揉めてしまっている。その余波で他のサークルと練習場所を調整している渉外役がボイコットし、今日は活動できないらしい。なんとつまらない。
役員とか派閥とか、正直、俺にはどうでもよかった。練習は楽しく参加しているが、これ以上面倒になるのなら辞めてしまってもいいかと思う。
そんなわけで今日はサークルが休みになった。
そう言ったら、あさみちゃんと美奈子さんと飲みに行くことになった。
災い転じて福となすってこういうことを言うんだろうな。
そういえば高校のころ、男一人と女二人の三人組で遊んでる人たちを見て、どういう関係だよなんて勘ぐっていたこともあるが、案外ただの友達だったのかもしれない。そこに恋愛感情があったとしても、現状ただの友達、そんな関係。だとすれば、妬みのような視線を向けたのはちょっと悪かったかな。
「二人って高校一緒だったの?」
乾杯してすぐに切り出す。
このダイニングバーに入る前、あさみちゃんと美奈子さんが高校の時の話をしていたから。
「そぉだよ。言ってなかったっけ?」
「3年間同級生の腐れ縁。」
「ちょ美奈子!腐ってはないよ!」
「部活は?」
「アタシは文芸部。あさみは…」
「テニス部!」
自慢げな顔をしている。
スルーしてみよう。
「美奈子さん成績良さそうだもんね。」
「え? いや…中の中かな。」
「え、待ってそっち拾うの? ってか成績はあたしの方が良かったし!」
「そうなの、美奈子さん?」
「そーね、期末テストの順位とか50位くらい上だったよ。」
「ちょっとりょうちゃん、いちいち美奈子に確認取るのやめてもらえます?」
「だってさ…」
「だってじゃないよ、信じろよあたしを。」
「ぶっ!」
我慢の限界が来て吹き出してしまう。最近笑いのツボが浅くなってるなと自覚する。
「もー!」
つられて二人も笑い出す。
ひととおり笑って落ち着くと美奈子さんが口を開いた。
「てかさ、りょう君、アタシのことは呼び捨てでいいよ。」
「そう?」
「うん。アタシはりょう君のが呼びやすいから君付け継続するけど。」
「それでいいならそうする。」
「だったら、あたしも呼び捨てにしてー。」
あさみちゃんが空になったグラスを置いて言った。流れるような動作で店員を呼ぶブザーのボタンを押している。
「おお、そうする…けど、今日のこと忘れてて週明け『あさみ』って声かけたら引いたりしないか?」
「そんなに飲んでませんー。」
あさみちゃんの顔が赤い。
酒のせいか怒っているのか区別がつかないが、もう酒は回ってきているようだ。
「わかった。じゃああさみ、美奈子、これからもよろしく。」




