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10月14日 雨

「いやだ。」


 あたしが別れを切り出すと、しんちゃんは1秒も待たずにそう言った。

 涙目になっている。


「ごめんね。」


 そう言って席を立つ。

 しんちゃんならあたしを引き留めるとわかっていた。

 泣いて引き留められても、情に訴えかけられても、説得されても、嘘でも浮気はやめるって言われても、きっとあたしは揺らいでしまう。

 だからすぐにその場を離れようと決めていた。

 このカフェはドリンクを買ってから座るタイプだから伝票もない。ツカツカと出口に向かう。振り向かずに。

 お店を出て、傘をさしてさっき歩いて来た道を帰る。

 別れようって言ったのは自分のくせに、涙が出てきた。すれ違う人がびっくりした顔をするから傘を前に傾けて顔を隠す。

 数百メートルまっすぐ歩いて、とうとう交差点に来た。横断歩道を右に渡るとき、止まらずにちらっと後ろを見てみる。

 しんちゃんは追いかけてきていなかった。

 これもわかっていたけど。


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