3月3日 曇り
「ね、りょうちゃん家遊びに行っていい?」
りょうちゃんは驚いたように眉だけを動かした。
「それはまずくない?」
「ん、大丈夫だよ。やましいことないし。」
「俺一応男なんだけどなー。」
「あたしん家は来たことあるじゃん。」
「いやいや、そうだけど…それはなんかあっても無理やり襲われたって言えるけどさ、男の家に付いて行ったなんて言い訳できないじゃん。」
「んー、でもほら、あたしだよ?」
あたし相手にそんな気になんかならないでしょ。だってりょうちゃんは女なら誰でもって人じゃないから。しんちゃんと違って。あ、これ言ってて悲しい。言ってないけど。
それに、下心があるなら止めたりしないはずだし。
「まぁ確かに俺はロリコンじゃないが、お前もレディとしての」
「りょーちゃーん…今の、どういう意味かな?」
笑顔で聞く。
「いや、ちょっと待ってくれ。とりあえず落ち着こう。今のは口が滑っただけで」
笑顔のままお腹にパンチした。りょうちゃんがぐぉっと言って前屈みになる。
「口が滑ったってことは思ってたってことよね。…ま、いいや、ほら、行こ。」
りょうちゃん家がどこかは知らないけど、先に立って歩く。いつも理棟の方に帰るからそっちの方だろう。
すぐにりょうちゃんが隣に来た。15分くらいでアパートに着き、ずけずけと中に入る。
「え…なんで片付いてるの? 彼女?」
「なわけねーだろ。」
りょうちゃんが呆れ声で言った。でも、だってあたしの部屋より片付いてる。
「あ、妖精さん?」
聞いたことある。寝ている間に部屋の片付けをしてくれる妖精さんがいるって。きっとそれだ。
「その質問の意味が分からないよ。こまめに片付けてるだけだって。」
聖人君子か! 真面目なところあると思ってたけど、ここまでだったとは…。
「だったらあたしが散らかしてやるー!」
「ちょっ!」
りょうちゃんの制止(?)をかわしてベッドにダイブした。端の方に寄って右手をベッドの下のスペースに差し入れる。
「エロ本はここかー?」
「探ってもいいけど袖、ホコリまみれになんぞ。」
落ち着いた声。
なんだその自信は。隠し場所はここじゃないということか。
「じゃあどこにあるの?」
「ねーよ?」
「ええ!?」
ないわけがない…よね。
「じゃあ寂しい夜はどうするの?」
「教えない。」
あ、一応性欲はあるんだ。聖人どころか植物かと思うとこだった…。
「ふーん…あ、ピコーン!」
あたしの頭の上に電球が光るイメージ。
「わったよりょうちゃん、パソコンだね!」
「そんなことより何か飲むか?ってかミルクティでいいか?」
スルーされた。図星か。でもこれ以上突っ込むと怒られそうだからいいや。
「角砂糖は2個ね。」
「いやねーよ! 今どき角砂糖常備してるアパートなんてねーよ!」
爆笑された。りょうちゃん、本気にしたんだ。
「冗談に決まってんじゃん! ウケたのになんか嬉しくないんですけど!」
「そうなんか? 悪い、ガチかと思ったよ。」




