いなくなっても、残るもの
休憩回です。
一度王城から舞台を移し、ソウマと別れた直後のリリア・フィア視点になります。
文字化け有。
足音が、二つしかなかった。
それが、どうしようもなく現実だった。
乾いた地面を踏む音。
風に揺れる草の音。
遠くで鳴く鳥の声。
世界は何も変わっていない。
変わってしまったのは、自分たちの方だった。
リリアは前を歩いていた。
さっきまでなら、あの男が隣にいた。
少し後ろを歩いて、周囲を警戒している気配。
時折、どうでもいいことを口にする声。
危険な場所でも、緊張を少しだけ和らげるような存在。
それが、今はない。
分かっている。
自分で選んだ。
自分で、手を離した。
それでも。
歩くたびに、目に見える隣の空白が、リリアの心を嫌に痛めつけていた。
「……」
リリアは一度だけ、横を見た。
当然、そこには誰もいない。
少し離れた場所にフィアが歩いている。
いつもなら三人の中央にあったはずの距離。
その距離は、今は妙に広い。
「……リリア」
後ろから声がした。
反応が少し遅れる。
「……何?」
振り返らずに答えた。
フィアは一瞬黙った。
何かを言おうとして、やめた。
その間が、自然に感じられた。
おそらく、自分も同じことをしてしまっているからだ。
言いたいことも、聞きたいこともある。
しかし、今それを口にしてしまえば、またあの時のようになる気がした。
あの場所で。
ソウマを止めようとして。
止められなくて。
最後には、互いに傷つける言葉しか出なかった。
本当にそんなことを思っているのか、分からないままに出た言葉は、築き上げた大切なものを一瞬で破壊し、後にも残る傷を残していった。
「……なんでもない」
フィアが何か避けるように呟く。
リリアは小さく息を吐いた。
「そう」
それだけ返した。
本当なら、もっと違う言葉があったはずだった。
大丈夫なのか。
辛くないのか。
あの判断で良かったのか。
いくらでも聞けた。
しかし、聞かなかった。
まず自分自身が答えを持っていないから。
フィアに問いかける資格がないと思ったから。
しばらく二人は無言で歩いた。
太陽は少しずつ傾いていく。
ガルネスの街並みが遠ざかり、周囲には自然だけが広がっている。
その静けさが、今は逆に苦しかった。
今はただ、戦いが続いていることを願っていた。
敵がいた。
守るべきものがあった。
剣を振る理由があった。
鬆シ繧後k、繧ス繧ヲ繝槭→縺?≧蟄伜惠があった。
しかし今は違う。
何もない。
ただ、選んだ結果だけが残っている。
リリアは手を握った。
まだ感触が残っている。
ソウマの腕を掴んだ時の感触。
必死に止めようとした時の感触。
そして、振りほどかれた瞬間の感触。
「邪魔だ」と明確に拒絶された時の、あの本気の感触。
「……」
ズキッ……
胸の奥が少し痛んだ。
あの時、もっと別の言葉を選べたのではないか。
もっと違う方法があったのではないか。
何度考えても、答えは出ない。
ただ、最後に見たソウマの顔だけが、ずっと頭から離れない。
最後に見たあの顔に浮かんでいた、
怒り。
苦しみ。
焦り。
葛藤。
渇望。
憎悪。
自己否定。
そんな顔だけが、ずっと頭から離れない。
あれは本当にソウマだったのか。
そんな考えが浮かんで、すぐに否定する。
あの顔も、ソウマだった。
だからこそ苦しい。
偽物でも、別人でもない。
自分たちが知っているソウマが、あの言葉を口にした。
それが何よりも辛かった。
あの顔は、知らないソウマだった。
「……フィア」
今度はリリアが呼んだ。
「どうしたの?」
返事がある。
その声に、少しだけ安心してしまった。
「……」
だが、何を言えばいいのか分からなかった。
結局、出てきた言葉は別のものだった。
「……疲れてない?」
フィアは少し驚いたように瞬きをした。
「……大丈夫だ」
「そう」
また沈黙が落ちる。
しかし、先ほどまでの沈黙とは少し違った。
完全に閉ざしているわけではない。
ただ、互いに傷を抱えたまま、その傷を癒すことも、触れることすらもできないでいた。
夕方。
二人は休めそうな場所を見つけた。
(……久しぶりの野宿)
火を起こし、食事の準備をする。
久しぶりとはいえ、慣れた作業だ。
手際よく準備をしていくリリア。
しかし、リリアは無意識に三人分の椅子を用意しかけて、手を止めた。
一瞬。
本当に一瞬だけだった。
それでも、フィアは見ていた。
何も言わない。
リリアも気づかないふりをした。
片付ける。
一つ余った椅子を。
それだけのことで、胸の奥が締め付けられる。
今まで当たり前だったものが、当たり前ではなくなった。
その事実を、こんな小さなことで思い知らされる。
「……」
夜。
二人は焚き火を挟んで座っていた。
炎が揺れており、その向こう側にいるフィアの表情はよく見えなかった。
「……私」
フィアが呟いた。
リリアは顔を上げる。
「……私の行動は、あれで良かったの……?」
その言葉に、リリアはすぐに答えられなかった。
「……分からないわ」
正直に言った。
「……そう」
フィアが小さく答える。
二人とも、同じ場所にいた。
正しいとも言えない。
間違いだったとも言えない。
ただ、失ったものだけははっきりと残っている。
「……ソウマ」
名前を口にした瞬間、胸の奥にあったものが少し揺れた。
もう隣にはいない。
呼んでも返事はない。
分かっている。
それでも。
名前だけは、まだ自然に出てきた。
「……明日、王都へ向かうわ」
リリアが不意に漏らした言葉に、フィアはすぐに頷いた。
「うん」
二人ともそれ以上何も言わなかった。
夜は静かだった。
静かすぎた。
三人で囲むはずだった火は、今や二人分の影しか作っていない。
リリアは目を閉じる。
眠れる気はしなかった。
きっとフィアも同じだ。
それでも二人は、明日になれば歩く。
王都へ向かう。
何か答えがあると信じて。
あるいは、答えがないことを確かめるために。
ただ、その夜二人は最後まで口にしなかった言葉があった。
――戻ってきてほしい。
◆◆◇
朝が来ても、何かが戻ることはなかった。
目を覚ました瞬間、リリアは一瞬だけ錯覚した。
いつもの朝だと思った。
まだ薄暗い空。
冷たい空気。
消えた焚き火。
そして、少し離れた場所に誰かがいるような気配。
しかし。
目を開けた先にあったのは、静かな地面だけだった。
「……」
しばらく動けなかった。
眠りから覚めた直後という短い時間だけ、現実よりも記憶の方が強かった。
昨日まであったもの。
三人で歩いていた時間。
くだらない会話。
危険な場所でさえ、どこか安心できた空気。
それらが、まだ身体のどこかに残っている。
だからこそ、目を開けた瞬間にソウマがいるかのような錯覚をしてしまった。
そして、その直後に思い知らされる。
もう違うのだと。
「……起きた?」
声に振り向く。
フィアが火を起こしていた。
いつから起きていたのか分からない。
「眠れた?」
リリアが聞く。
フィアは少し間を置き、言いづらそうに答えた。
「……少しだけ」
嘘だと思った。
しかし、リリアも同じような嘘をついていた。
「そう」
それ以上は聞かなかった。
聞けば、お互いに分かってしまう。
眠れていないこと。
考え続けていたこと。
そして、考えたところで答えが出ないこと。
朝食を済ませ、二人は再び歩き始めた。
王都へ向かうために。
その目的は昨日決めたまま。
しかし、昨日までとは違った。
歩く速度も。
会話の量も。
何もかもが違った。
「……リリア」
昼頃。
フィアが口を開いた。
「昨日のことなんだけど」
その言葉に、リリアの足がピタリと止まる。
「……何」
「……ソウマが言っていたことについてだよ」
風が吹き、草が揺れる。
その音が、妙に大きく聞こえた。
「……それが?」
リリアは数秒沈黙した末、フィアに続きを促した。
「私は」
フィアが続ける。
「私は……私は、まだ分からない」
「……」
「でも、止めるべきという考えは変わってない」
その言葉に、リリアの表情が僅かに揺れる。
「でも」
フィアは前を向いたまま言った。
「止めることだけが正しかったとも、思えない」
リリアは黙っていた。
それは、フィアが滅多に口にしない迷いだった。
いつもなら、必要なことを判断する。
感情よりも正しさを優先する。
そんなフィアが。
「……私も」
リリアが呟く。
「同じよ」
「……」
「だから今、こんなにもーー」
正しいと思った。
だが、正しかったと言い切れない。
間違いだったと思う。
だが、間違いだったとも言えない。
その間で、感情がずっと揺れていた。
しばらく歩いた後、二人は街道沿いの小さな分かれ道に差しかかった。
特別珍しいものではない。
左右に伸びた分かれ道と、古びた標識。
「……ん?」
フィアが足を止めた。
「どうしたの?」
リリアが振り返る。
フィアは分かれ道を見ていた。
「……こっち」
左側を指す。
「前に通った気がする」
リリアは首を傾げた。
「前?」
「……うん」
フィア自身も確信がないようだった。
「でも、違うわよ?」
リリアが答える。
「王都へ向かうなら、こっちだもの」
右側を見る。
リリアは忘れることのない記憶を辿った。
道筋も一致している。
フィアはしばらく黙った。
「……そうだね」
そう言った表情には、納得していない色が残っていた。
「変なこと言うわね、あなたも忘れることはないでしょう?」
「……少し、疲れているだけだ」
フィアはそう誤魔化した。
だが、二人とも同じことを考えていた。
疲れている。
それだけなら、どれほど良かっただろう。
その後、二人は右の道を進んだ。
しばらく歩いた先で、小さな祠を見つけた。
古く、誰も使っていないような場所。
リリアは特に気に留めなかった。
しかし。
「……待って」
フィアの声で足を止める。
「どうしたの?」
フィアは祠の前を見ていた。
「……ここを」
彼女の視線の先。
土の上。
そこには、いくつかの足跡が残っていた。
二人分。
リリアは眉を寄せる。
「私たちの?」
「……通ってないだろう?違うはずだ」
フィアが答える。
「でも」
一歩近づく。
「私たちのものに見える」
その言葉に、リリアは黙った。
(確かに、形なら似ている)
歩幅も、靴跡も。
しかし二人には、その場所を通った記憶がなかった。
「……」
フィアは周囲を見回った。
魔法の痕跡や、何かが起きた形跡がないか入念に調べる。
しかし、何も見つからない。
「……分からない」
小さな声だった。
その言葉に、リリアは少しだけ驚いた。
フィアがそう言うこと自体が珍しかったからではない。
今までなら、分からないものを前にしても、調べようとしていた。
原因を探ろうとしていた。
しかし今、「分からない」というだけで諦めた。
そこが不自然なほど新鮮だった。
「……分からないこともあるわ」
リリアが言った。
「今は進むだけよ」
フィアは少しだけリリアを見る。
「……ソウマなら?」
その名前が出た瞬間。
二人の間に沈黙が落ちた。
「……ごめん」
「……ソウマなら、調べると思う」
静寂が流れる。
しばらくして。
「だから」
リリアは静かに続けた。
どこか、辛そうに。
どこか、寂しそうに。
「だから、私たちは別れたんでしょうね」
フィアは何も言わなかった。
夜。
二人は再び野営した。
火を囲みながら、フィアが呟く。
「……リリア」
「……何?」
「今日のこと」
「……」
「忘れない方がいいと思う」
リリアは炎を見ながら聞いた。
「……どうして?」
「分からないから」
フィアは答えた。
「分からないものを、最初からなかったことにしたくない」
リリアは黙った。
それは、どこかソウマに似た考え方だった。
夜が深くなる。
フィアが眠った後、リリアは一人で今日の出来事を思い返していた。
分かれ道と、足跡。
存在しないはずの記憶と、決して忘れない記憶。
そして、最後にソウマが言った言葉。
胸の奥で、何かが引っ掛かった。
自分は本当に覚えているのだろうか。
自分が経験したと思っていることは、本当に、自分が経験したことなのか。
そんな疑問が浮かんで、リリアはすぐに目を閉じた。
考えることを止めた。
今はまだ、答えを探す時ではない。
そう思いたかった。
しかしその夜から、二人の中に小さな違和感が残り始めた。
世界ではなく、自分自身に対する違和感が。
朝になっても、空気は昨日のままだった。
火を消し、荷物をまとめ、街道へ出る。
やることだけを並べてしまえば、前までの旅と何も変わらない。
足元には乾いた土があり、少し先には王都へ続く道が伸びている。
空はよく晴れていて、一昨夜までの出来事を知っているものなど、この世界のどこにもいないようだった。
そのことが、リリアには妙に腹立たしかった。
自分たちは昨日、あれほど取り返しのつかない言葉を交わしたというのに、朝になれば鳥が鳴き、風が吹き、街道を人が行き交う。
世界は何も失っていない顔をしている。
失ったのは、自分たちだけだった。
「今日は、どこまで行く?」
フィアは前を向いたまま尋ねた。
「できるだけ進みましょう。王都まではまだ距離があるもの」
「うん」
リリアは妙に明るい調子で話したのを察して、フィアは短く返事をした。
それきり、二人は黙って歩いた。
以前なら、こうして二人きりになっても、決して気まずくならなかった。
ソウマが何か適当な話をして、フィアやリリアがそれに返して、気づけば別の話へ移っている。そんな時間が、いつの間にか当たり前になっていた。
今は、言葉を探すことそのものが怖かった。
何を口にしても、一昨晩へ繋がってしまう気がする。
だから歩いた。
隣にいる相手の気配だけを確かめながら、二人とも前を向いていた。
昼を少し過ぎた頃だった。
「……ねえ」
リリアが、ぽつりと言った。
「どうかした?」
「あの日のこと……」
そこで言葉が止まった。
フィアも歩みを止める。
「……やっぱり、いい」
「リリア」
「ごめん」
リリアはそれ以上、何も言わなかった。
フィアも何も言えなかった。
話したくないわけではない。
むしろ、話したかった。
あれだけのことがあったのだから、言葉にしてしまいたかった。
自分は何を間違えたのか、ソウマは何を考えていたのか、最後に自分が言ったことは本当にあれでよかったのか。
聞きたいことはいくらでもあった。
それでも、聞けば最後の別れが現実になってしまうような気がした。
「……ソウマなら」
リリアがまた口を開いた。
フィアの口が、わずかに強張る。
「……こういう道、嫌いじゃないわよね」
フィアはすぐには答えなかった。
少ししてから、前を向いたまま言った。
「……そうだろうね」
リリアも、それ以上は続けなかった。
二人はまた歩き始めた。
しばらくして、街道の脇に古びた道標が立っているのが見えた。
随分と古いものらしい。表面は風雨に晒され、刻まれたものもところどころ崩れている。
フィアが足を緩めた。
「……何か書いてある」
「そうね」
リリアも見る。
文字が並んでいる。
その文字を見た瞬間だった。
「……嘘」
リリアは息を呑んだ。
現在使われている言語ではない。
見覚えがあるわけでも、読めるわけでもない。
それでも、知っている。
これはーー
「……ねえ、フィア。これってもしかしてーー」
「……そのまさかだよ。これは古代ワルギス語。……知ってるだろう?」
「……もちろんよ」
古代ワルギス語。
アルセリオン王国の歴史において、決して軽々しく口にしてはいけない存在。
古い時代に使われていた言葉だから、というだけではない。
今を生きる人間のほとんどは、その存在すら知らない。
文献に残されている例も極めて少なく、王国の歴史を紐解けば紐解くほど、その名が表舞台から慎重に消されていることだけが分かる。
そして、その言語が最後に大きく記録へ現れた事件を、リリアは知っていた。
先々代国王が、まだ王位にあった頃の事件。
邇句ョカに伝わる、忘れてはならない記憶。
リリアは無意識に、道標から一歩だけ距離を取った。
「……読めないわね」
「読めない」
フィアも同じだった。
文字の形を知っていることと、その意味を理解できることは別だ。
二人とも古代ワルギス語について知識はあった。しかし、それを読み解くまでは持っていない。
だから、そこに何が書かれているのか分からない。
分からないまま、ただそこに存在している。
リリアはもう一度、道標へ視線を向けた。
風雨に削られた文字は、長い年月を経てもなお、消えずに残っている。
(どうして、こんなものが今……?誰が……何のために……」
そんな疑問が頭を過った直後、フィアが小さく呟いた。
「…………先々代国王の暗殺事件」
「フィア!」
「……首謀者の暗号」
「ダメよ、誰が聞いているかも分からないのに!」
「……ごめん」
二人はそれ以上標識を見なかった。
文字があった。
リリアたちが受け取ったのは、それだけだった。
「……行こう」
「……うん」
二人は道標に背を向けた。
その背後で、古びた文字だけが、何事もなかったかのように街道を見下ろしていた。
そこに残された意味を、誰にも知られないまま。
夕方になる頃には、二人の間に再び沈黙が戻っていた。
ただ、朝とは少しだけ違っていた。
話せないことがある。
戻れない場所がある。
それでも、隣を歩くことだけはやめなかった。
野営の準備を終えた頃、フィアが焚き火の向こうからリリアを見て言った。
「……明日も進もう」
リリアは少しだけ黙った。
その言葉が、王都へ向かうという意味なのか。
ソウマとのことを置き去りにしてしまうという意味なのか。
あるいは、そんなこととは関係なく、ただ明日を迎えるというだけなのか。
今のリリアには分からなかった。
「……そうね」
それでも、そう答えた。
火が小さく揺れる。
向かいにいるのはフィア一人だ。
ほんの少し前までなら、そこにはもう一人いるはずだった。
笑ったことも。
怒ったことも。
何度も言葉を交わしたことも。
そのすべてが、あの日という一日の向こう側へ置き去りになっている。
取り戻せるのかもしれない。
もう戻らないのかもしれない。
今は、そのどちらとも決められない。
だから二人は、まだ答えを持たないまま眠った。
翌朝になれば、また歩く。
王都へ続く道を、隣にいるフィアと二人で。
その道がどこへ続いているのかを、今は疑わない。
疑うだけの理由を、まだ二人は持っていなかった。
ただ、昨日まで三人で歩くはずだった道を、今日からは二人で歩いていく。
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『王都へ向かう者は、王都から離れる』
『目標物 王都到着』
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【今回の小ネタ 現象じゃないよ!】
三人旅が二人旅になりました。
椅子も一つ余りました。
……寂しいですね。
しかし、作者としては「二人になったからこそ見えるもの」も大切にしたいと思っています。
人がいなくなっても、その人と過ごした時間まで消えるわけではありません。
何気ない会話や、当たり前だった習慣、隣にいることへの安心感。
そういうものほど、いなくなった後になって初めて、その大きさに気づくものなのです。
二人の前に現れた道、足跡、古い言葉。
そして最後のアレ。
ところで、二人とも王都へ向かっているはずなんですが。
……王都、本当にちゃんと着くんでしょうかね?
私にもよく分かりません。
また次回お会いしましょう。




