第162話 悪魔、師匠となる。
今年の初投稿となります。
一方その頃、無数に増殖する鎧の化物と対峙している閻魔は……
(桐崎が行ってから数十分、大人数で襲撃されて今のところ負傷は無し。精神体では、ここまでが限界。まだまだ改良の余地はあるな)
今のところ、まだまだ余裕な閻魔。
だが、全力を出すには精神体では限界らしく難色を示していた。
「──終わったか」
何かを察知し、閻魔は構えを解いた。
「……」
「何か言いたそうだな? 別に構わない、答えられる範囲なら答えてやるぞ」
品川が背後にいる事を認知していたので、前向きながら尋ねた。
「……神崎忍が恨んでる相手は閻魔さんっていうのは本当なのか?」
「あぁ、本当だ。だけど、この話の続きをしたいなら、お前が目覚めなければならない。精神世界では邪魔者が多すぎる」
鎧の化物は主がいても関係なく、大人数で閻魔と品川へ襲撃した。
「こういう事になるので、早く目覚めてほしいのが理由。できそうか?」
あの大人数を相手に閻魔は空中へ一蹴しただけで、鎧の化物を粉砕した。
「さっきの不服そうな顔はなんだったんだよ!?」
「イメージ通りの動きができないので、納得できなかったからだ」
「はあ!? そんな子供みたいな理由!?」
「それはそれで子供に失礼だ。だが、お前もこれくらいのクラスにはなれば簡単だ」
(閻魔さんクラスは絶対無理だろ、今のままでは兄貴にも勝てねぇ……)
「確かに俺クラスになる事は不可能だろう。だが、接近する事ぐらいは可能だろ?」
「閻魔さん、本当にいいのか? 完璧にできない俺で……」
「俺が誰かに完璧なんて求めたか? そんな個性のない、機械人間みたいな奴は好きではない。俺と神が求めているのは、肉体が死んでも生きた人間だ。桐崎はそれを証明した。これからの人類、そうなってほしい」
鎧の化物には目もくれず品川を見続ける。
「えっ……」
「君には、その先駆けとなってほしい。死んだ魂とならず、生きて未来に影響を与える魂となってほしい。だが、その前にここから出ないとな」
「あ、あぁ……」
なんだか上手くはぐらかされた気はした。が、今は危機的な状況なので、言い争う時間はなかった。
「俺が頭まで援護する。その先はコイツ等も手を出せない、だが俺も侵入ができない。だから、そこからは品川次第だ」
「そ、そうなのか!? てっきり閻魔さんと出会えば不思議な力で、色々と割愛されて目覚める展開ばかりだと思ってたのに……」
「いや、無理だ。心と魂が切り離されている状態で、無意識な状態の相手を心だけ魂まで近づけさせる力なんてあるわけないだろ」
なんでもできると思えば、手が痒い所まで届かないポンコツ具合で、品川は唖然としてしまう。
(なんか輝さん以上に厳しいし、冷たいし、あんま優しくないな、この人)
性格的に合わない所があったので、やはりどこかで輝と比べてしまう失礼な品川。
「そんな馬鹿な事を考えてないで、負傷せずに脳まで行けるのか、その足りない頭で考えろ。いや、知識不足の精神力で行動しろが正しいか」
(心読まれてるし、実際に事実を言われるとメチャクチャ腹立つ)
「俺に小言を言われないようにしろ。今後、お前は俺の弟子として育てていく。それが桐崎との契約だからな」
「……分かりました。えっと……」
これから閻魔が新しい師匠となるので、社会人である品川も好き嫌いで判別してはいけないと悟り、呼び方を決めようとしていた。
「先生、会長、組長、ボス、兄貴、悪魔、色々と呼ばれていたが、好きなように呼べ」
「じゃあ後で考えておきます」
「分かった。それじゃあ一気に駆け抜けるぞ!」
「はい!」
精神世界で具現化したバイクを跨がり、刀とも一緒に創造する。
「うぉー! スゲェ!」
先程の桐崎と反応が違い、閻魔が創造したバイクをキラキラと尊敬した目で見ていた。
「バイク好きなのか?」
「まあ、飛行機以外の乗り物なら全然大丈夫なんですよ。実際に俺が初給料で買ったの中古のスープラなんですけどね」
「桐崎と反応違って、いい反応するな。よし無事に帰って、『アトラス財団』まで俺のバイクで送迎してやろう」
バイクを誉められ顔には出さないが嬉しい様子の閻魔は、品川へサービスする。
「マジですか! 閻魔さんのバイテクを見せてくれるんですか!?」
忍からは下手なバイテクだと噂だけ聞いていた。が、どれだけ下手なのか気になり、悪魔に限って、そんな事ないだろうと思っていた。
「よし、それなら善は急げだ。はやく、ここから脱出するぞ」
「はい!」
殆ど閻魔が、迫りくる鎧の化物を無双状態で蹴散らし頭まで到達した。
その時、品川から見た閻魔は少しだけ口角が上がって嬉しそうだったという感想。
一方その頃、閻魔と品川の帰還を待つ黒政と皆木は……
「「……」」
待機疲れで、二人仲良く毛布に包まれ座りながら寝ていた。
「……来たか」
何かの気配を察知し、黒政は目覚めた。
「もう時間か~?」
黒政の反応で起きた皆木も眠そうだが尋ねた。
「あぁ、ちゃんと二人だ。結末が、どちらになるのかお互いに決める必要があるな」
「そうだろうな~面倒だが、品川の判断で殺し合いかもな~?」
「どっちがいい?」
「そりゃあ~……殺し合い。勝てば俺が三番総長だからな~?」
「それは構わない。だが、十三番総長の実力で俺に成り代わるには力が足りないと思うんだが?」
「う~ん、それは痛いところ突いてきたな~。じゃあ国家権力使って嫌がらせするしかないよな~?」
「やってみるか? 国家権力が通じない暴力相手に無駄な事をするか?」
「……いつかはやりたい。っていうか、今からでもやってやりたいね~」
「待ってるよ。その時が来るのを……会長、お疲れ様です」
黒政と皆木は閻魔が来る前に毛布を畳み起き、頭を深く下げる。
「おう、待たせたな。総長二人がお出迎えとは……きな臭いな」
半裸で満身創痍な品川を支えながら洞窟奥から出てきた閻魔は、二人の様子を見て察した。
「えぇ会長、実は依頼が衝突しました。村井黒政三番総長は品川修二の護衛。俺の依頼は、高島陸社長の指揮で警察が品川修二を引き取り、戦争が終息するまで保護するという内容です」
後天的に問題点が発生している為、皆木が責任を持って、一門一句、間違いがないよう説明していた。
「なるほど、それで殺気剥き出しで待機してたわけか。お前たちの意見は?」
「俺は品川修二の護衛なので面倒まで見ろという話なら、業務内容なので受けるつもりです。もし、皆木一太十三番総長から引かないならば……」
「総長死合を実行する考えです」
「そうか、なら品川弁護士。この場合はどうするべきだ?」
「……え?」
今、起きたばかりなので品川の意識は朦朧としている。つまりマトモな思考ができる筈もないのに、閻魔は尋ねた。
「二人が法律違反しようとしている。つまりは決闘罪だ。原因はお前らしい、どう決着をつける?」
そんな意識がハッキリしてない人物に運否天賦を任せるような事をしだした閻魔に、黒政と皆木は表情には出さないが、戦慄していた。
「あ~……えっと……じゃあ村井黒政さんが……俺を保護して、皆木一太さんが……えっと、ボディーガードを頼んだって事で……高島さん? に報告すれば解決じゃないですか?」
「はぁ~?」
「……」
もはや二人のプライドなんて無視した。ふざけた提案に、言葉も出ない上、憤慨してしまう気持ちだった。
「そういう事だ。弁護士の言う事は聞くように」
「……では、品川弁護士! 当事者が拒否の場合は……」
そこで黒政が反論しようにも……
「zzz」
品川は意識の限界らしく寝てしまった。
「もう受付は終了だ。そういう事だから弁護士の言う通りにしろ、以上会長命令だ」
そう言って閻魔は品川を担ぎ上げながら、その場を退出した。
「「やられた」」
二人は第四者である品川に言わせる事で、強制力のある命令をされた事に気づいたのだ。
「皆木、どうする?」
「……報告してくる~不本意だが~」
トホホと落ち込んだ様子で皆木は高島へ報告しに行くのであった。
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