↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第4章 覇気使い四天王。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/171

第161話 絆ぐらいは信用してやれ。

年内に投稿できる時に投稿します。

 身体を丸くし、暗闇の中ですやすやと眠る者がいた。

 多くに傷つき、何もかも全てが嫌になり、塞ぎ込んだ品川修二だった。


「……」


 いくら外が騒がしくても聞いている振りをしているだけ。俺には関係ないと思い、深く眠り続ける。


「おら、起きろ。馬鹿弟子」


 そこへ口の悪い懐かしい声が聞こえた。が、気のせいだと、自分へ言い聞かせ、深く眠ろうとする。


「おいコラ、人が死ぬ思いで頑張って来たのにテメェの態度はなんだぁ!」


 寝ている品川へ桐崎は、あの時と同じくサソリ固めで起こした。


「ぐげぇぇぇぇっ! 何さらすんじゃ! このクソボケ! 人が気持ちよく寝てるだろうが!」


「だったら永遠に深い眠りにつかせてやるよ!」


 更に弓矢固めされ、腹の底から聞いた事のない呻き声を上げる品川。


「お前誰だよ!? 師匠と同じ声しやがって! 今、その声聞いてると機嫌が悪いんだよ!」


「あぁん!? テメェ、育ての師匠に対して、ほの態度はなんだぁ? 俺一人死んだだけで、引きこもりやがって」


「えっ?」


 やっと気づいた様なので、桐崎は弓矢固めを解き、品川と対面する。


「えっ? でも、あの時ちゃんと……」


「あぁ、死んだよ。だが、テメェの所為じゃない。今回が、死ぬ時だったんだ。こればかりはどうしようもねぇよ」


 桐崎は品川と視線を合わせる為、胡座をかいて座る。


「まあ座れよ。時間が許す限り、話ぐらいしてやるぜ」


 そう対応となると、品川は正座し、いざ質問しようにも言葉が詰まる。


「……あ、えっと……」


「俺を助けられなかった事を後悔してんのか?」


「……うん」


 品川が質問したい内容を桐崎から察し尋ねた。


「まあ、アレだ。お前は怒るかもしれねぇけど、閻魔さんと契約したんだ。俺の命と引き換えに、輝の代わりに、お前の面倒を見てくれってな」


「なんで勝手にそんな事決めたんだよ!」


「言い訳になるかもしれねぇが、俺と輝の実力じゃ、もう忍の領域に追い付けなくなった。いくら、アイツが弱体化したとは言えな」


「チゲぇだろ! そんな事聞きたいんじゃねぇよ!」


「……聞きてぇのは死んだ理由だよな。あの状況じゃ俺を助け出すのは無理だ。ダメージを受け、更には虹矢の殺意と敵意は容赦なかった。絶対に俺を逃がさないし、殺すまで止まらなかった」


「俺たちが虹矢を倒せて、無理矢理でも助けられた可能性があっただろ!」


「今更、可能性うんぬんの話なんてするな。それに閻魔との契約は絶対だ。命という重さの代償として、お前を強くする。それの何処に不満があるんだ?」


「大いにある! そんな物の為に自分を犠牲すんじゃねぇよ!」


「うるせぇ! お前こそ右腕を破損して、閻魔さんの腕を移植しただろ! 何が自己犠牲はクソだ? 後先考えず何されたか分からずに放っておきやがって!」


「知らねぇだろ! もしかしたら閻魔さんは善意でくれたかもしれねぇだろ!」


「……あの悪魔が善意で何かくれるのは、何かしら求められる。等価交換だ。お前、閻魔さんと何か契約したか? あの人は契約しない限り、肉体の一部を……!」


 桐崎は何かに気づいた。


「どうしたんだよ……」


「修二、お前に神崎忍を任せる」


「はあ!?」


「だからお前は早く立ち直れ。今は無理かもしれねぇが、時間が解決してくれる。もし心配なら、忍を頼れ」


「なんでだよ! なんでアイツに頼らないといけないんだよ!」


 叱責する品川に、桐崎は両肩へ手を置いて落ち着かせ、真剣な眼差しで見る。


「忍も同じなんだ。同じというより、大切な者を失って、最強まで上り詰めた。二人(・・)の犠牲を払ってな」


「……どういう事だよ! 神崎忍は母親を神に殺されたから恨んでるんじゃ!」


「それは恨みを忘れない為に奮い立たせる動機。実際は仲間を失った事で、あんな性格になった」


「……」


 品川は黙って聞いており、桐崎は肩から手を離す。


「そして忍が恨むことになった神が……閻魔光だ」


「……ちょっとわけ分からねぇよ。なんでアイツが、閻魔さんを恨んでるんだよ! あんなに親しく話してんのに──」


「確かに、今(・)の閻魔なら親しく喋れる。だが、もう一人の閻魔が問題なんだ」


「?」


「要点だけ纏めるぞ。情報量が多いから、詳しくは今の閻魔に聞いてくれ。昔、忍が中坊の時だ。人間と悪魔の戦争があった。公(おおやけ)にはされてねぇ、政府が頑張って揉み消したからな。その時に忍と閻魔で大きな確執が起きた。原因は大勢の仲間を失い、戦争を止めるのが遅かった理由だと聞いてる」


「そりゃもちろん、仲間失ったのはキツイよな……」


 忍の過去一部を知った事により、品川は同情する。


「俺みたいに一人ならまだしも、その時亡くなった人数が数百人。これは遺体で確認できた数だ。確認できなかったのは魔界に連れ去られたか、補食されたかだ」


「……その戦争の原因はなんだよ?」


「教皇が悪魔に人権はないと発言した事が発端だ。そして幹部共が勝手に戦争始めて、俺たち仏教も巻き込まれた形だ」


「なんだよソレ……」


 戦争の内容と理由に品川は絶句する。


「良かったな、お前等は軽い喧嘩で済んで。まあ、腕は失っても元気に過ごせてるから……あぁ、そうでもないか」


「俺、そういう空気の読めない事を言うからアンタを敬遠してたんだよ」


「そういうお前も、今言う?」


 二人による乾いた笑い。


「ちゃんと生きてたら、ぶん殴ってやってたのに……」


 座るのが疲れて立ち上がる品川。


「シャキッとしてくれたら、こんな苦労することなかったのにな……」


 呆れ顔をしながらも嬉しい様子の桐崎も立ち上がる。


「もう……終わりか?」


 品川は徐々に曇った表情を見せる。


「あぁ、もうそんな時間だ」


「……何か……言い残すこと……ねぇのかよ……」


 品川は顔を下へ向けて、歯切れが悪い事を発する。


「ないな。前にも言ったが、生きててよかった。それだけだ。愚痴なら墓場で言うさ」


 そんな桐崎も顔を上へ向けて、真っ正面で話そうとしない。


「……兄貴と……神崎忍に……言うことは?」


 最後には耐えきれず涙を流し、高島へ何か伝える事はないか尋ねた。


「高島と忍には、ちゃんと飯食ってるかでいい。もうそれ以外何もねぇよ」


 もう何も伝える事がなくなり、桐崎は天を眺めて、目を瞑る。


「俺さ……師匠との誓いを……」


 泣きながら誓いを守ろうとしなかった事を桐崎へ謝罪しようとした。が、咄嗟に桐崎が停止したのだ。


「誓いを守れなかったくらいで怒らない。そんなに泣くこともない。このミスは俺の責任でもあるからだ。友の為、俺の為に、修二が邪(よこしま)な者へ変身する必要もない。起こるべくとして起きた事だ。時間を戻したって、ここで死ぬのが役割だったんだ」


「でも……俺は……俺は……」


「もし自分を恨み、納得できないなら自分を赦(ゆる)し続けろ。自分と対面し、赦し続け、全てに感謝してみろ。吹雪が生きていたら、間に合わなかった自分を赦し、生きていた事に感謝しろ。忍が目を覚ましたら、負けたアイツを赦し、また約束できる事に感謝しろ。俺がお前へ残す最後の教えだ」


 そろそろ時間なのか桐崎の足が徐々に粒子と姿を変える。


「俺は逃げてしまった。目の前の現実に向き合うことが嫌になって、全てが醜く見えて……そんな俺でも……やり直していいのか?」


「人間っていうのは綺麗な物じゃない。だけど、産まれた時から、前世と今まで汚した魂を死ぬまでに綺麗にする。そして来世で超絶な幸せになって生きる。そんな繰り返しで世界は回る。まあ、こんな話されても理解できねぇと思うからな、簡単に言えば……“馬鹿で素直に生きろ”って事だ」


 ここまで話し始めて桐崎の状態は腰まで消えていた。


「俺にできるのか……」


「忍を一回倒したんだろ? 後は仲間を絆を信用してやれ。頑張れよ修二、生きてて良かったと言えるぐらい、立派になれよ」


 そして桐崎は満面な笑みを浮かべて、完全粒子となって消滅した。


「……師匠(せんせい)」


 これからどうしようと考えていると、闇の奥から光が差し込んだ。


「……まだまだ、やらなきゃいけねぇことなんだな」


 ここにいても何も始まらないと思い、品川は光の先へ向かう。

いかがでしたか?


もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。