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マグナムブレイカー  作者: サカキマンZET
第4章 覇気使い四天王。

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第143話 それは兄、それは弟。

今回は気が狂った回です。

「お前、兄貴なんかいたのか」


「いるわけねぇだろ! 俺は一人っ子だ。テメェもテメェだ! 俺は品川で、アンタは高島だろうが! 何処に血縁関係あんだよ!」


「生き別れってことは考えないのか……まあ、君とは血縁関係の兄弟ではな無い。だけど流派(・・)の出所は一緒だからね?」


 高島は何故か品川にバックハグしていた。

 忍からしたら男同士で気持ち悪いことしてるので、表情には出さないが内心ドン引きである。


「出所?」


「品川修二くんは霧崎喧嘩流の業火だろ? 僕、疾風なんだ」


 その言葉を聞いた途端、忍と品川も驚愕に包まれた。


「……というとアンタが別流派の兄弟子になるってことか?」


「そうだよ。だから嬉しいから君を大切に守ろうとしてる。それから、あのボンクラも早く片付けるよ」


 抱きつくのをやめて高島は忍と戦おうと品川の前へ出た。

 だが、左肩を思い切り捕まれ阻まれた。


「おい待てや。そこにおる神崎忍は俺の獲物や。いきなり出てきた兄弟子に、はいそうですかって譲れるわけないやろ。それに『アトラス財団』の社長なら部下の不祥事に責任取らんかい!」


 標準語を忘れるぐらい感情的に高島を止める。


「じゃあ幾らで譲ってくれるかな? 慰謝料も別料金で支払うからさ。一億? 五億? 好きな金額言っていいよ…おっと!」


 もう自由になった品川は強制的に体を向かせて、高島の顎へ目掛けてアッパーを放った。が、高島は体を仰け反って回避した。


「金の問題じゃねぇ! 神崎忍は俺にとって大事な目標(・・)なんだよ! それを邪魔するなら兄弟子でも容赦しねぇぞ!」


「……よく分からないな。品川くんは神崎忍を倒したいのが目標、僕も神崎忍は倒したい。目的が一緒なら対立する必要なくないか?」


「テメェの目的は神崎忍を殺す(・・)ことだろうが」


「……」


 完璧に図星を突かれて驚き反論できない高島。


「俺の目的は忍を殺すことじゃねぇ、倒して俺が『覇気使い最強』になることだ。殺しなら、それが終わってからやれ!」


「駄目だよ。それだと神崎忍の勝ち逃げになって、先生が認められないじゃないか」


 先程とは冷静な対応でなくなり、高島は品川の両肩を掴み、狂った表情となっていた。


「認められない? どういうことだ?」


「先生の理屈は間違っていないんだよ。先生の喧嘩なら『覇気使い最強』になれる。それを否定するのが、頂点にいる神崎忍なんだよ。ここで神崎忍さえ殺せば……」


「残念だが、俺はもう『覇気使い最強』じゃない」


「…何?」


 忍の言葉に高島は反応し、殺意を持った目で睨む。


「五年前、そこにいる品川修二に殴りあった末に俺は負けた。その時から『覇気使い最強』でなくなった」


「……」


 これで納得してくれと忍が思う中……


「じゃ今は誰が『覇気使い最強』なのかな?」


「そこはあやふやとなって、誰が『覇気使い最強』なのかは分からない」


「……それは困るな。折角、色々と準備したのに」


 高島が懐から取り出したのはレコーダーであり、それを握り潰した。


「高島さん、それってまさか……」


 品川はまさかと思い尋ねた。


「自首する為に持ってたんだけど、ここに『覇気使い最強』がいないなら、これは必要ない。まあ、結構高かったけど……!」


 高島は思い切り品川に右ストレートで殴られ、大きく吹き飛んだ。


「あの馬鹿」


 高島は背中から着地し、怪訝な顔で品川を見た。

 何もしなければ穏便に済んだ話を品川の感情で台無しと理解し、忍は頭を抱える。


「テメェふざけてんのか!? 『覇気使い最強』を殺したから、自首してやった事を消すつもりか? 消えねぇんだよ! 人を殺すっていうのはな! 人を殺すっていうのはな! めっちゃ怖いことやねんぞ!」


「甘いな弟よ。お前は日向の世界で生きてきた人間だ。それでもいい、弟にそんなクソな世界を見せたくない。けれど、そこにいる神崎忍は……本当の人殺しだ」


 またしても驚愕の真実を高島から伝えられる。


「……何を言って……」


 これには頭の整理が追い付かず困惑した。


「神崎忍、お前に尋ねる」


 高島は立ち上がり忍と向き合う。


「……」


「お前が十三の頃、悪魔と人間の戦争により一人の人間を殺したな?」


「……あぁ殺した。否定はしない」


「おい、お前何言って……」


 品川が突っ掛かろうとした瞬間、忍が左手で制止させた。


「あの時、ああするしかなかった。言い訳はしない、俺は故意に人を殺した。同い年の少女をだ」


「おい、忍!」


「これが真実だ。品川、お前がどう思っているのか知らないが、俺の手は真っ赤に染まってる。何度も綺麗にしようとも、何度も過去は追い掛けてくる。だから平気でお前の骨を折れる」


「……」


「私にとって、その男が許されない動機の一つだが、これは建前だ。本音は神崎家に認めてもらおう、霧崎流が強いんだと……」


「……この際だ品川。俺はハッキリ言う……お前と戦う時は容赦しない。殺す気で行く」


 それは紛れもない本音であった。

 その証拠として異様とも呼べる殺気が肌にピリピリと感じてるのだ。


「……分かったよ。お前等が俺をおちょくってるって事でいいんだな? だったらテメェ等は今から敵だ。ここにいる二人まとめて掛かって来やがれ! そしてハッキリさせてやる、世の中手を汚さずとも楽しく生きていけるってことにな!」


 忍の態度や高島の過小評価された行動をされて、品川は思い切り憤慨し、自棄でもなく全員相手すると言い出した。

 品川は本気である。


「……嫌いじゃない綺麗事だ。だが、今となっては夢だ」


「夢を見ることはいいことだ。品川くん、痛いかもしれないが、兄の私に実力を見せてくれ」


「うるせぇ! 黙ってかかってこい!」


「悪魔二匹と人間一人、僕は見てるだけ……まあいいや。生き残った方に相手してもらお」


 もはや蚊帳の外であるペストマスクは端っこへ向かい、ポツンと座り込んだ。


「「「……」」」


 三人は睨み合うだけで動こうとはしなかった。


「睨み合ってるだけでつまんない……そういえば喉乾いたな」


 ペストマスクは空き缶タイプのポカリスエットをマントから取り出した。

 プシュと蓋を開けた時……爆音が響いた。


「……え?」


 ペストマスクは一体何が起きたのか理解できなかった。

 何故なら蓋を開けた音で戦闘は開始されていた。

 品川は右拳で忍の左頬を殴り、左足で高島の右脇腹を蹴り。

 忍は左手刀で品川の右肩を叩き切り、右足前蹴りで高島の腹。

 高島は右ハイキックで品川の左頬、左拳で忍の鼻を殴っていた。

 三人はそれぞれタイマンではなく、敵と判定したならば敵でも味方関係なく潰すと判断した。


 品川の負傷したところは左唇を切り、右肩脱臼。

 忍は品川と同じく左唇と口内を切り、鼻血を放出。

 高島は二人から集中的に腹を狙われたので、内臓がダメージを負った。


「ぐっ!」


「がっ!」


「ぎっ!」


 そして三人は拳ではなく、横蹴りで脇腹を蹴った。

 品川、忍、高島の順で円になるように。

 一人、一人が威力が違うので、当然誰かはいつか耐久できず折れる。

 その者は……


「クソッ!」


 耐久能力のない忍が膝に足へ着き折れたのだ。


(啖呵切っといてアレだが、品川は確実に強くなっている。品川(コイツ)は太陽の炎を纏って殴っているから、俺の透過能力は無効になるが……高島(コイツ)だけが不可解だ。一部でも透過能力は作動するのに攻撃が当たって(・・・・)やがる!)


 内心が焦り、驚愕、不可解、負傷で支配され冷静に対処できずにいた忍。


(忍からダウンしたか。暫くは気にしなくてもいいな)


(神崎忍から潰れてくれたのはありがたい。これで心置きなく弟の実力を試すことができる!)


 忍が起き上がるまでの間、二人は負傷しながらも戦い続ける。


「二人きりだ。どっちが強いか決めようクソ兄貴よ」


 品川は中指立て高島に向けて不気味に笑う。


「……嫌われた物だな。だが許そう! 私は兄貴であるからな!」


 高島は歓喜に極り、両手を大きく広げ品川の行動を許した。


(……血縁関係ないだけで弟認定するイカれた奴だ)


 忍だけは回復を急ぐ。

いかがでしたか?


もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。

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