第141話 アトラスの四天王 その4
まだまだ忙しいので更新は遅れますが、頑張って続けたいと思っております!
「……お前にも怒る感情はあったんだな」
突如と竹島は品川へ意味不明な事を述べた。
「? 何、言ってやがんだ。俺は昔から感情豊かだろう、新手の不意打ちの手段か?」
あまりにも突然だったので、品川は新しい不意打ち手段かと思い、警戒する。
「……」
竹島は怪訝な表情は出たが、ここは真面目に戦闘しないと給料発生しないので、構える。
「まあ、ちょっと待ってくれや。戦闘し過ぎてニコチンが切らした。煙草タイムだ」
品川は胸ポケットからセブンスターの箱を取り出し、トントンと叩きながら、煙草一本だけ露出させる。
そのまま口に咥え、右ポケットからジッポライターを取り出し、着火させる。
喫煙しながら早い動きで煙草とライターを仕舞い、人差し指と中指の間で煙草を挟み、口元から離して、紫煙を吐き出す。
「……」
ただ煙草を吸っているので、竹島は見ているだけだった。
「あのさ、お前倒したら師匠の場所まで案内してくれる特典とかねぇのか?」
そして煙草を持ったまま、品川は竹島へ質問した。
「……どうだろうな。私はただの『覇気使い四天王』だからな……だが、副社長がオーケーするなら考えてやろう」
竹島はチラッと虹矢の方を見た。
「……あぁ、品川修二くんが見事、竹島権田を倒したらなら桐崎流星の場所を教えよう」
「ちっ、この馬鹿また勝手なことを……」
ペストマスクは虹矢が勝手に余計な仕事を増やすので、口を閉ざそうと動かそうとした瞬間……
「おっと、そこまでだ。ここは男同士の約束だから、お前等テロリスト集団が入る余地なんてねぇんだよ。ここは黙って大人しく見とけ」
それを制止したのは忍だった。
ナイフに込める力を強くし、脅迫ではないと示す。
「……貴様のワープ能力が無ければ、すぐにでも始末してやるのに」
どうやらペストマスクは忍の能力に気づいていた。が、対抗策が無いため、ここは忍に従うしかなかった。
「その約束ちゃんと守ってもらうぜ……そんじゃあ始めましょうかい」
約束を取り付け、始める為にタバコを口元から離す。
そして指の力でタバコを上空へ投げ捨てた。
「「……」」
お互いに黙って睨む。
竹島は強く拳を握りしめ、逆に品川はリラックスして、手を開いたり閉じたりする。
そしてタバコが地面へ激突する……刹那、互いは動いた。
「……ほう、アイツこの短期間で強くなってやがる」
観戦状態の忍だけは感心していた。
それもその筈、この勝負で先に先制したのは……
「ガハッ!」
竹島の鳩尾に渾身の左拳をぶちこんだのが、品川だったからだ。
そこからは容赦なく怒涛の勢いな連打だった。
何度も竹島の鳩尾へ目掛けて左フックで殴りつけ、右ストレートで顔面を殴った。
けれど意識を刈り取れた訳では無いので、竹島の顔は岩で覆われてガードされた。
だが、ガードされたからと言って止まる品川ではなかった!
「うぉぉぉぉぉぉッ!」
そのまま力で捻り込み、ゴリ押しで竹島を浮かせ、そのまま突進した。
「な、なんだとッ!」
あまりにの突然的な攻撃に対応できず驚愕し、されるがままだった。
「驚いたが、抵抗できない訳じゃないぞ!」
竹島は両腕で品川の右腕を掴み、流れに沿いながら、全体重でしがみついた。
「――太陽鉄甲」
冷静な判断で、右腕に太陽の炎を燃え上がらせた。
急速に熱量が上がったので、皮膚を瞬時に岩へ変化させて手を放し、品川から離れる。
竹島は皮膚で覆った岩を見てみる。すると、岩は溶岩へ様変わりしドロドロに溶けていた。
(この容赦のなさ……もう五年前の品川修二は何処かに消えたな……今は)
そう考えている内に、上空から品川が炎を纏った右拳で、竹島へ目掛けて振り下ろそうとしていた。
「!」
すぐに気付き両腕を交互させ、更に分厚い岩でコーティングし防御した。
(権田め、慣れて早めに対応してきやがったな。だが、その行為自体無意味なんだがな)
最早、逃げる気ないと理解して忍は虹矢からナイフを離していた。
ペストマスクもそれは分かっていたが、忍は未知数なので今、手を出す訳にはいかなかった。
「ふんっ!」と掛け声で岩と拳が衝突した。
(いくら重力を味方にしようとも、倍に固めた岩だ。先に貴様の拳が潰れ……!)
竹島がそう考えたつかの間、両腕に纏った岩に亀裂が入り、粉砕したのだ。
「な、何ッ!?」
竹島が驚愕に包まれている間、品川は次の行動へと移っていた。
着地と同時に、身体を膝位置まで低くし、右足だけ伸ばし、弧を描くように足払いした。
バランスを崩した場面は、品川が見逃す訳なく、倒れた所で素早く馬乗りし、竹島の顔面へ集中的に殴る。
竹島は両腕で防御するしかなかった。
(……残念だが権田。真面目になった品川修二に勝てる訳ないだろ……アイツは五年もの間、お前とは違い、輝から直々に鍛えられたんだ。もう、品川はそこに立っていない、もう既に俺の近くまで来ているんだ)
先程までの戦闘を見て、忍は品川が有利だと判断した。否、有利というより、もう勝利すると確信していた。
普段から品川と忍はできるだけ手加減して戦うスタイル。舐めプでは無いが致命傷とか与えてしまうと、何かと物凄く面倒なので、軽症程度ですませるようにしている。
だが、真面目となれば話は別となる。
「オラァッ!」
品川は容赦のない攻撃を繰り出す。
トドメとして放とうとした拳は、竹島が身体を捻り脱出し、未遂となった。
「品川修二……何故、あの時本気にならなかった! こんなにも強ければ、我々ごとき勝てたはずだ!」
傷だらけの身体を震え立たせ、品川へ本気にならなかった事に憤慨していた。
「簡単だ。あの時、本気出してたら……後になって、テメェごときに本気になった自分自身が恥ずかしいって思うのが嫌だから、本気出さなかっただけだ。それ以上なんかいるか?」
それはあまりにも非常だった。
五年前までは敗戦した相手でも何気なく接していた品川が……今は、無表情で瞳には竹島は写っているが、写っていなかった。
(な、なんなのだ! あの目は!?)
いつもの竹島なら感情を表に出さず驚愕するところが、今回は違った。
それは今まで感じたことのない……そこに存在しない恐怖だった。
(わ、私は一体……何と戦っている? 目の前にいるのは品川修二だが、コレは品川修二なのか?)
竹島には品川に靄が掛かり、更には認識できなくなった。
特別月の覇気で惑わせている訳でもなく、ただ単純にそう見えているのだ。
「……どうした? 俺はただ突っ立てるだけだぞ。来ないのか?」
(ただ突っ立てる? こ、この野郎煽ってるのか? これだけのプレッシャーを放っておいて、余裕な表情で……)
品川の無表情で純粋な問いは、竹島には挑発されてる様に聞こえた。
だが、その怒りがトリガーとなり竹島は立ち上がり、雄叫びを上げて全身へ力を込めた。
「絶対防御の石像!」
竹島の上半身は岩が覆い鎧へと変化し、両腕は盾のようになっていた。
「……」
品川は黙って見ているだけだった。
「この技は吹雪にリベンジマッチで見せようと思ったが、品川! 俺を愚弄したから、貴様から先に味わあわせてやる!」
怒り心頭な竹島は品川へ目掛けて突進した。
「そうか……馬鹿にしたつもりはねぇが……謝るよ。すまなかった、竹島権田」
心にもない謝罪をしながら、品川は突進してくる竹島を右片手のみで軽く止めた。
「な、なんだと!?」
足にも膂力を込めるが動く気配はなかった。
「竹島権田、俺がお前に下す評価は……ガッカリレベルだ」
言いながら品川は左拳を上空へと向けて、振り下ろした。
品川のアームハンマーが岩と衝突すると、亀裂が入り、竹島は頭から出血し、そのまま倒れたのだ。
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