第126話 太陽と吹雪。
少し執筆に戸惑ってしまい遅れました。続きです
(あ~色々と逃げ回ってたら、いつの間にかおらんやんけ。なんやねん、アイツから喧嘩売ってきたやんけ……)
ふて腐れながら吹雪は、次の仕事準備がある為に雅を探す。
(どこ行ったんや。なんか、ここから何か騒いでんな)
吹雪は応接室の扉を少しだけ開き、覗き込んだ。
「神崎忍いんだろ? ちゃんと会うまで大人しく待ってやるから、会わせてくれんだろうな?」
「……成る程、何処で情報を手に入れたのかは聞くまいが、その先には触れない方が身の為だぞ?」
「ここで喧嘩っていうのか?」
二人の小さい言い争いと修羅場を見て、状況が悪いと思い、静かに応接室へ入室する。
入ってくる音で南雲は気づいた。が、敵意ないと感じ敢えて無視した。
「違うな。今回特別に私達はボディーガードを雇ったのだ。それも結構役に立つ……」
「はい、ちょっとゴメンよ。結構長い時間握手してるもんやから、ちゃんと握手券買うてもらわんとアカンで?」
吹雪は修二と知らず、暴漢魔と勘違いし、穏便に済ますよう対応するのだ。
「悪いなミヤッビーは痛いって言うてんねん。そろそろ離してくれまへんか?」
まだ融通の利く人物で雅の手から、ゆっくりと離してくれた。けれど、他人に睨まれた事が気に障り、吹雪は憤慨する。
「なんや? なんか文句でもあんのか?」
「いや別に。ただ頭悪そうな奴が、俺に対して舐めた口利いてるから、滑稽やなと思ってな? 気に障ったんやったらゴメンな?」
こちらも吹雪とは知らず、弁護士を忘れて喧嘩腰で対応する。
「なんや喧嘩売っとんのかいな? ええで表出ろや、ボコボコにしたるわ」
「上等や! 掛かって来いやコラァッ! なんやビビって手出されへんのか!?」
「ええで手出したるわ。そっちから先に手出せや!」
そして激しい関西弁口喧嘩より、周囲は困惑な状態で無意味に傷つく。
そんな状況の中、騒ぎを駆け付けた忍だけはドン引きした表情で、ドアの隙間から覗いていた。
(何故、お前も煽られてキレているんだ……雅、お前もそれだけストレスが溜まってたんだな。休暇はやりたい所だが、コレは魔界連合関係の仕事だから我慢してくれ……しょうがない。色々と問い詰められるが、ここは出て場を収めるしかないな)
もう収集つかないと感じ、ここからは本人が出るしかないと判断した。
騒ぎの中、堂々と応接室へと入室する
「大丈夫です。ここは任せてください」
受付嬢が警察へ連絡する瞬間、忍は手を包み営業スマイルで落ち着かせる。
落ち着いた受付嬢は携帯電話を仕舞い、忍の行動に注目する。
忍は両手を大きく胸の高さまで、上昇させて開き、勢いよく閉じた。こちらへ注目させるには一発で十分。
そして修羅場を収めることもできた。
「皆様、お静かに……ミヤッビーと受付の人が困ってます。ここは穏便に話し合いで解決しませんか?」
何年も大物と話している経験で、どう言葉を選び、この場を支配でき、交渉できるのかは理解していた。
それが必要なのは実践する勇気であった。その後は運へ任せるという、シンプルでリスキーな綱渡り等は考えない実践だった。
「……神崎忍」
「おや、輝。今日は兄の為に事務所まで来てくれたのかな?」
忍は修二を輝と呼ぶ。
嘘を最後までつき、場を収める為の修二にとって罰だ。
「……あ、あぁ、そうだぜ……兄さんよ。本当はミヤッビーからサプライズで渡して貰おうと思ったんだけどよ……その必要なさそうだからな?」
いくら演技とは言え、修二から兄さんという単語を聞いて、背中がむず痒く嘔吐しそうな気分だった。
けれど嫌な顔一つせず、最後まで貫き通す。
それから受付嬢には自分のオフィスで対応するとまで説明する。
「二人共、現場に戻れ。品川と南雲を別室に行かせたら、呼ぶから来い。分かったな?」
「「は、はい」」
今回の件で説教されるのかと思い、二人の身体は重く固くなった。
忍は通るついでにと二人へ報告する。
「さあ、こちらですよ」
こんな穏やかに最後まで演技されると、修二と南雲は少し恐怖すら感じてしまう。
オフィスまで辿り着き、修二から経緯を聞き、本人達も閻魔による目的だと伝えた。
そして関西弁ボディーガードの正体までも二人へ伝える。
「……吹雪、雅を呼んで社長室まで来てくれ。受付さん、すみませんが弟と南雲を近くのレストランで、ご案内願えますか?」
吹雪へ雅を呼ぶ準備、内線で受付嬢へ二人を対応してもらうと伝える。
「すまないが品川、南雲。俺には済ませないとならない仕事がある。レストランで予約を取った。そこで『アトラス財団』の対応について話そう」
「あぁ……レストランって何処だろうな?」
「神崎忍のことだろうから滅茶苦茶、高級なレストランだったりしてな?」
二人は高級レストランと妄想を膨らませ楽しみにしていた。
けれど、そんな期待は裏切られる結果となる。
予算も限られているので、案内されたのはガストという、ファミリーレストランだとは知らず向かった。
受付嬢から聞いた話によると、二人がファミリーレストランだと知った瞬間、「神崎忍殺す」と怨念の如く呟きながら入店した。
「鬼塚社長、『アトラス財団』で新しい情報が入りました。至急、吹雪と雅と私で緊急会議を開きたいです」
忍は内線で社長である鬼塚へ繋ぎ、緊急会議を開きたいと申し出た。
「分かった。一時間後に会議を開こう」
鬼塚から了承も得られ、急ぎ忍は会議用の資料作成へと行動を移す。
(少し話が早くなってきたな。こうなった以上は進めるべきに進めるか……嫌な予感がするな)
あまりにも物事が進み過ぎて、警戒する忍。
彼の危機的感知能力か本能かで、それは実現することになる。
社長室へ三人が集まり、鬼塚へ報告する。
「では、神崎。新情報とは?」
「あぁ、『アトラス財団』の目的は……俺だ」
あまりにも当たり前過ぎた返答に、三人はそれほど驚愕しなかった。というより「何言ってんだ。コイツ?」と雅を除いた二人が思った。
「……品川の話によると俺の家が襲撃された。目的を問いただすと、俺がいたと思っていたらしい」
「……お前、悪魔以外に何かしら恨みとか買ってんじゃねぇのか?」
「桐崎と品川とお前以外の心当たりはない」
「だったら、その可能性は低いって事になるんじゃねぇのか?」
「では何故、『アトラス財団』は家から手を引いた?」
「え? そりゃあ……金目物とか奪いに来たんちゃうん?」
忍からの質問に対して、吹雪は何も考えた返答を持ち合わせてなかった。
「真っ昼間からバズーカと兵隊を引き連れて、金持ちの屋敷に来るのか? そんな派手な行動してたら泥棒どころの話じゃなくなる」
「……せやけど、お前を狙ってる理由は自意識過剰とかちゃうん?」
「過去の因縁かもな……」
鬼塚のポツリと呟いた言葉に、雅は何か気づいた様子。
「一人だけいます。名前は忘れましたが、未熟な身でありながらも忍様へ挑んだ方が……」
「多分、ソイツだろうな。海道まで来れて俺に恨みを持つ存在は……確か、俺が誰かを認めないとかで揉めたはず……」
喉まで出かけている物が思い出せず、気持ち悪い状態だった。
「……動機は分かった。それで、これからどうするつもりだ?」
「あぁ、今日の夕方に関係者と交渉する予定がある。その時、弁護士の品川を引き連れて怪しい動きがあれば尋問し、情報を聞こうと思っている」
「そんで俺はいつも通りにボディーガードしとけばええんか?」
「いや、南雲と一緒にいろ。少し嫌な予感がする。バンで待機して逃走できる状態にしておいてくれ」
「……はいよ」
「……少し先の見えないリスキーな所となるが、ここは君達に任せる。俺も『アトラス財団』について深く調べるつもりだ。では、解散」
そして忍の予感通りに全てが動きだした。
いかがでしたか?
もし良ければ誤字や脱字や意見や質問等があれば教えてください。




