第118話 最強、東京に君臨。
忍達が伊波と出会います。二人共、煽り耐性なさそうですね。
数時間して喧嘩という問題はあったが、無事に東京駅へ辿り着いた忍一行。
表へ出て、これからタクシーに乗り、魔界連合本部まで向かうと考えていた矢先……
「もしも~し、さっきまでの威勢は何処に行ったんだぁ? これじゃあテメェを殺してもよ? 俺がスッキリする訳ねぇじゃん……分かるぅ?」
一人のチンピラをボンネットで顔を挟みながら半殺しにする。伊波がいたのだ。
多分、伊波が倒したであろうと思うチンピラが、リムジン周りで大量に流血しながら倒れていた。
「……確かに、あの判断をする奴には気をつけた方がいいな」
「だろ?」
顔写真は見たが、初見であんなキチガイ行動を目の当たりすれば、吹雪もドン引きし、危機感を持った。
それには無表情ながら忍も同意した。
「こっちは大事な客待たせてんだよ! テメェ等の所為でスーツが汚れたろうが!」
伊波は誰かを待っていたらしく、そこでチンピラに絡まれて今に至ると、三人は考察していた。
まさかとは思うが、我々の三人を待っている訳ではないか? と思いたくなかった。
「親っさんの命令じゃなかったら、あんなヒョロイ神崎忍なんて迎えに来なかったんだよ!」
(((あ、詰んだ)))
三人は目的を明確にされ、逃げ道も失い、社会的危機へと陥ったのだ。
「死んどけッ!」
ボンネットからチンピラの頭を救出し、最後にとドアを半開きにし、勢いよく力強く閉めたのだ。
チンピラの頭蓋骨が砕ける音が耳へと響き、一般人達は悲鳴を上げながら逃走した。
「……あのさ、ここは無難にタクシーから行かね? 閻魔さんに事情を言えば分かってくれそうだし……」
「そうしたいのは山々だが、あちらの好意を踏みにじったとして、失礼な奴だと他連中は思うだろうな……」
珍しく忍が落ち込み気味な様子で、伊波へ近づくのを躊躇ってしまう。
「ここは近づいて話を進めないと、アイツは次に何やらかすか心配ですよ。一般人にも危害を加えかねません」
「え~俺、アイツに近づくの嫌なんだけど……」
不快感を露にして、伊波へ指差して拒絶していた。
「何も忍様が近づくことなんてありません。あのクソパーマにやらせたら良いんですよ」
笑顔で恐ろしい事を告げる雅……
「えぇ……さっきまで主人にアイツから気をつけろって命令されてんのに、ジョーズを相手させるって馬鹿じゃねぇの!」
「安心しろ、ジョーズなら最初で撃退されて、別個体で現れるだけだから、伊波みたいに狂った奴等は早々現れるわけないだろ?」
「あぁ、そうか! なるわけねぇだろ! 別個体現れたとしても、俺に伊波を倒せってことだぞ! 最初で詰むわ!」
「そう言ったつもりだ。お前が伊波を倒している間、私達はタクシーを呼んで魔界連合本部へと向かう。これなら二人共、職務放棄として片付けられるから問題解決だ」
「テメェ道徳何処に置いてきた!?」
「貴様に道徳という言葉が知っているとは思わなかったぞ。だが、今はそんなの関係ない。さっさと死んでこい馬鹿!」
「あぁ、テメェ遂に馬鹿って言ったな! 人に対して馬鹿って言っちゃいけないんだぞ!」
「貴様が何もしない役立たずだから馬鹿だと言ったんだ!」
二人の間で火花が散り、それに挟まれている忍は呆れていた。
「……おい、お前等が口喧嘩してる最中にアイツ……こっちに気づいて来たぞ?」
なんと声が二人の声が大きかったのか、フラフラと凄い剣幕な表情で忍達へ近づく伊波……。
「おい、近づいて来たぞ! 対応しろよ。忍のボディーガードなら!」
「む、無理に決まっているだろ!? あのバーサーカーサイコパスに交渉しろって馬鹿言うな!」
お互いにキョドりながら、行動がアタフタし、混乱していた。
だが、そんな二人を無視し、伊波は忍へ近づいていた。
「……お待ちしておりました。どうぞ、リムジンにお乗りください……神崎忍さんよ」
伊波は鋭い目付きで忍を睨み付けながら、お辞儀をしていた。
お辞儀をしながら客人を睨み付けるのは、いかがものかと三人は思った。が、ここは面倒な事を起こされる前に従い、リムジンの後部座席へと乗り込んだ。
「……」
「「「……」」」
あんな狂暴なイカれた性格なのに、運転だけは丁寧にしているギャップで、三人は驚愕しながらも話し出せない重たい空気だ
それに魔界連合本部まで辿り着くまで長い道で、重たい空気から脱出したく、早く着かないか?と思う始末だった。
「なあ? アンタ等、関西出身なんだろ?」
突如と伊波から沈黙を破り、三人へと話しかけたのだ。
「あ、あぁ、そうだ! 関西出身で大阪生まれだ。」
ここはメンタルだけは強そうな吹雪が、伊波の相手をする。ただ見栄を張って、恐怖心を紛らすために相手しただけ……
「噂程度しか聞いた事ねぇけどよ。飯の時、オカズ代わりに小麦粉食うって聞いたんだけどよ? それってマジ?」
ダルい表情で伊波が吹雪へ尋ねたのは、関西人特有のお好み焼きと一緒に、ご飯を食べるのか?という質問だった。
案外、普通な質問に対し拍子抜けはした。が、ここは間違った知識を訂正しながら返答する。
「小麦粉じゃなくて、お好み焼きとか、たこ焼きなんかと一緒に食うが正しいな。あぁ、俺は飯と一緒に食うぜ」
なんとか伊波の逆鱗には触れないよう、吹雪は返答した。
「……舌おかしいんじゃねぇの?」
その一言により、不良吹雪が覚醒して右拳で殴りかかろうとする。が、ここは真ん中へ座っている忍に停止される。
「ここで問題起こすな。多分だが、戦闘と喧嘩では、お前は伊波に負ける。ここは大人しく耐えろ、後で閻魔に報告しておくから」
吹雪を耳打ちで話しながら宥める忍だ。
けれども怒りが収まらない吹雪だった。
「気持ちは分かる。だが、ここは忍様の為とも思って落ち着け……」
普段なら、吹雪が貶されて嬉しい所なのだが状況が状況なので、ここは味方となり落ち着かせる。
「おい、女。クナイとか手裏剣等の暗器を持ち出すのは構わないが、下手打って死体になりました! なんて事にならねぇようにしな?」
正に売り言葉に買い言葉であった。
雅は恐ろしく早い仕草で伊波の脊髄へ向けて、クナイを突き刺そうとした。が、小さな『ダークネスホール』を開いて防いだ。
「……よし、お前等。ここは一旦落ち着け……ここで喧嘩しても、コイツの思い通りになるだけだぞ。我慢できなくなったら、俺が相手してやる。いいな?」
そろそろ限界だと感じ始めたので、忍は我慢できなくなったら、鬱憤晴らしの相手にすると決めたのだ。
両方は怒りを抑えながらも大人しくなり、腕組みし、到着まで待機するのだった。
(つまんねぇな……)
どうやら伊波はわざと二人を怒らせて喧嘩しようと画策していた。が、伊波の本性を知っている忍によって阻まれ、表には出さないが退屈だった。
「……まあ、この程度の挑発に乗る馬鹿もそうだが、その程度でしか挑発できない奴も大したことないんだな?」
そして今まで黙っていた忍が口を開いて、伊波を罵倒していた。
「じゃあ、今すぐにでも殺るかい? 俺は何時だってゴング鳴らす準備はできてんだぜ?」
ここで喧嘩を売られている事に気づいた伊波は、停車せず忍と付き合う。
「残念だが、お前程度と戦って勝っても自慢にもならないんだ。だって……品川より弱そうじゃん」
「……じゃあ、どうする?」
ここで喧嘩する状況でもない提案に伊波は忍へ尋ねる。
「もし、お前が品川に勝てたら、納得するまで喧嘩ぐらい付き合ってやるよ。だが、負けた時は……二人に非礼を詫びるんだな。約束できるか?」
忍も理解している。伊波という男はイカれているが同時に極道という、男を売る商売だと理解して、この提案を述べたのだ。
「……良いぜ? その男をぶっ殺してアンタというメインディッシュを食らうのは俺だって教えてやるぜ……それはそうと到着ですよ。クソ客人共」
リムジンが停車したのは深い霧の中だった。
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