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終末のイストリア  作者: 狗賓
出会いの章
22/43

買い物珍道中 後編

 シリアスなんて知らない……

 でもコメディーでもない。

 これぞプロットなしの二時間クオリティーorz

「そういやあんた……アリスさんでしたっけ?こんなとこで何してたんすか?」

 3人で歩き始めて早数分、目的の宿に着くまでの間(主にアリスが)ナンパされながら歩いていると、ふいにシフォンが口を開いた。

「あぁ……実は前の宿を引き払ってきましたの」

 その言葉を聞いたイレミアは若干目を見開いていたが、シフォンは当たり前だと頷き納得していた。

 やがて少し中央通りを外れた道にはいると、とある酒場が目についた。


(あ、そういえばいつが新月か調べてなかったっす……)


 アスティオはイレミアとアリスの仲間──【Ⅰ呪い《フルーフ》】に侵されたディクシアを救うため【Ⅰ精霊ガレス】を呼ぶのだが、光を極端に嫌う性質のある【精霊】は光の届かない洞窟か、大きな森の奥にしかいない。

 そして【呪い】を解くにはかなりの数の【精霊】の手助けが必要のため、光の最も少ない時──つまり新月の日でないといけないのだ。

 旅をしている途中なら空をみればある程度の予測は立てられるが、この都市は【明かりの絶えない都市】、星明かりはおろか月さえ滲んで見えにくい。

 しかしなぜか酒場のマスターになるような人物には、月や天候変動をピタリとあてる者が多い。

 イレミア達に待っているように言い聞かせ、情報を得るためにシフォンが酒場に入ると、そこには仕事上がりらしい船乗りの男がたくさんいた。

「いらっしぇーっ」

 よく見るとマスターとおぼしき男もガタイがよく、言葉遣いがまぁまぁ荒い。だが、揃えられてる品はさすが貿易都市と言うべきか、どれも一級品ばかりだった。


「おう、坊主。こんな酒場になんのご用で?」

「情報が欲しくて、10アルジーンで得られるだけで十分なんすけど」

「何だおめぇさん、ずいぶん手慣れてんな」


 まぁね、とシフォンが呟くとマスターは呵々大笑した。シフォンの物怖じしない態度をいたく気に入ったようだ。挙げ句にはサービスと言わんばかりに飲み物も出してくれた。

「で、欲しい情報って?」

「ここ最近の目ぼしいニュースと、1番近い新月の日。出来れば後者を優先で」

 任せろ、と胸を叩きマスターはカレンダーを取り出す。そこには細かい文字でいろんなことが書いてあるようで、少し離れたところにいるシフォンにはよく見えないが、どうやら集めた情報が書いてあるらしかった。

「坊主、運が良いな。ここらの新月は明日だそうだ。それと……」

 マスターがペラペラとメモ帳を捲っていると、酒場が少し騒がしくなる。振り返ると、アリスとイレミアが入ってきていた。

「ぜひⅠわたくし達にも、お話聞かせてくださいな」

 アリスが妖艶に微笑みながらカウンター席の真ん中を陣取ると、マスターは緊張したように頭を掻いた。

「じゃあ、こちらの情報はどうでしょう?」

 マスターは先程と打って変わった態度でアリスにメモを破って渡す。アリスはその内容に一通り目を通すと満足げに頷き「ありがとうございました」といって出ていってしまった。

 シフォンは情報代を出したのは自分なのに、結局アリスに取られてしまった気がして少し面白くなかった。だが、当初の目的は取り敢えず果たせたのでマスターに軽く頭を下げると酒場を後にした。

「そのメモ、何て書いてあるんすか?」

 ふいにシフォンはアリスに取られた情報が気になり、聞いてみる。元々、自分が手に入れるはずの情報だったため気負いすることはない。

「【呪い】の活発化の話と、賞金首“死神”手がかりについて、ですわ。まぁ、きっと貴方の方がお詳しいのでしょうけど……」

「【呪い】のやつは知ってるっすけど、なんで“死神”っすか?」

 その言葉にアリスがピタリと立ち止まる。

 振り返るとイレミアは怪訝そうな顔をして、シフォンは心底不思議そうな様子でこちらをみていた。

「まさか……知らないのですか?」

 アリスは本当に名にも知らないシフォンに気づく。

 シフォンがその様子に焦れたように急かすと、アリスは戸惑うようにポツリ言った。


「こ、この“死神”というのは……あ、貴方の主人──アスティオ殿、ですわ……」


 シフォンは目を見開くとボソリと言葉にならない声で呟く。隣にいたイレミアにはその口がハッキリと「何で?」と動いたのが見えていた。

 アリスは再び深い思考の渦に囚われていた。

(アスティオ殿……嘘や隠し事をするような方には見えませんでしたが、それならなぜお仲間に正体を明かしていないのでしょう?ひょっとして……)

 本当にアスティオは大丈夫なのか、とまで思いかけた瞬間。


「じゃあ、確かめればいいんだよ!」


 二人が振り返るとそこにはイレミアの真剣な顔があった。

 彼女は話の半分も理解できていなかったが、一度大切な仲間を任せると決めた相手が疑われていることが気に入らなかった。

──私が信じるって決めたのに、従者が従えないなんてダメじゃない!

 そんな無理矢理な考えで自分を励まし、二人に提案する。

「あの人が悪い人なら、赤の他人のディクシアを助けるはずがないでしょう?だったら、あの人がもしディクシアを見捨てようとしたならそう切り捨てればいい。私はあの人に賭けるわ!」

 イレミアが叫ぶと、アリスはその場に片膝をつき彼女の手をとると上目遣いで答えた。

「失礼いたしました、我が主。全ては貴女の仰せのままに……」

 次にシフォンに目を向けると、シフォンはため息をつきながら頷いた。

「さぁ、行きましょう。きっと二人とも待ってるよ」


 イレミアがそう言うと、一同は宿への道を歩き始めた。

 それぞれの心にわずかな不安を残しながら……

 日付跨ぐ前に書き終わって良かった…

 さぁて、次だー次々ー((白目

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