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のどあめの備忘録  作者: のどあめ


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5/6

秋は木の実

久しぶりに見かけたどんぐりを見て思い出す秋の思い出。


通勤の途中だった。

愛車(チャリ)の前にころんと転びでたどんぐり。


それを見てまず思い出したのが、夢中になってどんぐりを拾う我が家の子どもたち。親である私も子どもの頃は夢中で拾った。


人はなぜどんぐりを見つけると拾いたくなるのだろう?


一説によると本能ではないかと言われる。縄文時代はどんぐりを収獲して食べてきた先祖。先祖の記憶が呼び起こすのでしょうかねえ。


上の子、はなに話すと

「そうだね、たろうが小さな頃は夢中になって拾ってたね」

と他人事のように話すものだから、「おまえもじゃ!」と突っ込みを入れてしまいました。


はなは数よりも種類のコレクター派だった。幼稚園児の時は、あちこちの公園、駐車場、寺社等どんぐりスポットをめぐるツアーをしたものだ。


「おかあさん、これ何のどんぐり?」


挿絵(By みてみん)



「これはマテバシイのどんぐりだね~」

「お。くぬぎのどんぐりだ、珍しいね」


公園は良い。さりげなく公園の標識をチェックしながら答えられるから。しかし、標識のない駐車場や道端で聞かれるとちょっと困る。


「おかあさん、これは?」


挿絵(By みてみん)


「う~ん。樫のどんぐり、かな?丸くて小さくて焦げ茶色だね~。あ、そうだ。はな、今、何粒拾った?数えてみようか~。ひと〜つ、ふた〜つ……」


何気なく話を反らす私。


義母にその話をしたらどんぐりの絵本を送ってくれた。さすが息子を金をかけずに難関大に送りこんだ母親は違う。


なお、下のたろうは量派だった。

大量に拾ってきたビニール袋一杯のどんぐりを部屋に放置するものだから、悲鳴をあげるはめになった。育児あるあるです。以後、拾ってきたブツは洗ってから冷凍庫行きになりました。


彼は赤い実派でもあった、

「これはニシキギだね。葉っぱが錦みたいに広いから錦木っていうのかな?」

「それは、アオキの実だね。皮をむくと白いんだよ」

「おかしゃん、これは?」


挿絵(By みてみん)


「これは……ソヨゴだって(よかった、書いてあった)」


当時Googleレンズはまだ無かったんじゃないのかな。四苦八苦しながら、たろうの赤い実集めに付き合っていた。彼は光り物も大好きだった。もしかしたら、たろうの前世はカラスだったんじゃないだろうか。


 義母は赤い実がなる木の本も送ってくれた。ものすごく助かった。できる母親は子どもの探求心と知識の広げかた、突き詰め方が違うよね。



翻って私、のどあめ。実にのびのびとおおざっぱに育てられた。


田舎に住んでいた頃。近くの祖父母の家の前には毎年、大量のどんぐりが落ちていた。小さな私は勝手知ったる祖父母の庭でどんぐりを夢中になって拾いに行ったものだ。


私は色つや派。細長くてすべすべした明るい茶色のどんぐりと小さめだけど焦げ茶色で先が尖ったどんぐりを集めていた。母に聞くと、コナラと椎の実だと言うがそれ以上の事は教えてもらわなかった。


砂とセメントの粉で指を粉々に白くして持ち帰ると母は嫌そうな顔で


「早く手を洗いなさい」


と言い、どんぐりはどこかに持ち去られた。そして又、拾いに行くを繰り返していた記憶がある。


「のどあめちゃん、車に気をつけるのよ。ひかれたら死んじゃうからね」

「うん」


ビニール袋を持って言葉少なに頷く未就学児の私。祖父母が商売をやっていた関係で祖父母宅には頻繁にトラックが出入りしていた。そこで一人、どんぐりを黙々と拾う私。


今、考えるとあぶないな。


しかし母は「のどあめは言えばわかるから」と謎の信頼で放置していた。……昭和の時代です。


今思えば。拾いに行く前に私が毎回ビニール袋をねだるので、母的には勝手に家を抜け出されるよりはましだと考えたのかもしれない。私の大抵の行き先は祖父母宅だったけど。あ、そういえば


「知らない人についてっちゃ駄目よ!口をきいちゃ駄目!」

「おじいちゃんおばあちゃんの家以外行っちゃ駄目!」


と注意されてましたわ。

お母さん、苦労かけてすまんかった。

  

祖父母宅と自宅は、秋になると色々な木の実がなるので毎年の楽しみだった。


例えば柿。

祖父母の家に落ちた柿を拾うと母は

「のどあめちゃん、それは渋柿よ」

と少し嫌な顔をして言われたり。


自宅の柿の木によじ登った時に毛虫に刺されて指が腫れ上がって大泣きしたり。黄緑色のきれいな毛虫(というほど毛はない)のトゲはえぐかった。


学習した私は以後、楓の木に登るようになった。楓の枝を揺するとブーメランの形をした楓の種がひらひらと弧を描いて落ちていくのを木の上から眺めたり。


自宅裏手に植えてあった温州みかんが初めてなった時は毎日のぞいて食べ頃を楽しみに待っていた。


日に日に大きくなり色づくみかん。

太陽の光を浴びた小さめのみかんは甘くて美味しかった。


翌年からみかんの実がたくさんなるようになり、梢近くの実は小鳥のおやつになった。母は鳥と戦っていた。やつら、美味いと人間様より先につつきにくるからね。


なお、引っ越した先にはイチョウ並木があってね。


「のどあめちゃん、お願い」


母がビニール袋と割り箸を私に渡す。

おわかりでしょうか。イチョウ並木の銀杏拾いです。(繰り返しますが昭和の時代です)


やってみると臭いし靴裏はベチャベチャするし、楽しいことは何もなかった。それでも持ち帰ると母は土に埋めて銀杏をご機嫌で食べてたな。ちなみに今でも私は銀杏が苦手です。


暇庭宅男さまの銀杏収獲のエッセイを読ませて頂いた時は、あの強烈な匂いがよみがえって農家の方々の苦労に想いを馳せた。冷水であれを洗うのは大変そう。

 

今年はどんぐりも銀杏も豊作のようです。暇庭さまの所も豊作なら良いなぁ。

昨年書いたエッセイ(未投稿)に加筆修正をくわえたものです。

赤い木の実、なぜかソヨゴ(冬青)だけが覚えられないのです。

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