第048話 10年後の世界
ミワ王国の議会に議長と51人の議員が会議をしていた。
「どう責任を取るのだ!議長!」
「貴様のせいで、兵が20万人死んだぞ!」
「戦火は広がる一方だ!」
「既に、この首都にも攻めて来ているぞ!」
「逃げ出していく国民が、止まらん」
51人が、議長を責める。
議長は、黙ってそれを見つめていた。
「すまないな、諸君。だが王国は、不滅だよ。一緒に彼に裁きを受けに行こう」
「何を言っているんだ議長!」
議員が、興奮して立ち上がる。
議長が、議長席にある、ボタンを押すと議会があった建物が爆発した。
王都に戻って、街に入ると..過去より人が多い気がする。
前来てから10年ほど経過していたな。
アイテムボックスから大分減った、裸族対策の服を大量に仕入れ、食料も補給した。
かなりの量を補充したら、夕方になっていた。
こちらで、10年過ごして、あちらに戻ると1年しか経過してなくても10歳ふけるのかな?
くだらない事を考えながら歩いていた。
誰かに会うなんて運命的な出会いもなく宿屋に入る。
普通に部屋を借りて普通に食事して普通にベットで寝る。
ああ!なんだこの平和感!
この世界に来て初めてぐらいの普通の夜だ。
アイテムボックスから、向こうの世界から持ってきた、読みかけのライトノベルを取り出しベットで読み出した。
コーラも取り出して飲む。
一回、向こうの世界の物も買い占めが必要だな。
お金をどうするかが問題。
こちらの金貨を金交換所で交換しても怪しまれるだろうなぁ。
そして、意識を手放した。
起きると....目の前に、外見は18歳ぐらいで超美人。
金色の髪に吸い込まれそうな銀色の瞳、髪は長く腰まで伸びているメテが、いた。
胸の谷間に顔が埋まっている。
しかも、私は首だけだ。
息が吸えずに話すこともできない。
念話のような物を開始する。
『メテ?私の体は?』
「起きたか?リュウジ、体は、隠した」
『返して欲しいんだけど?』
「10年経っても変わらぬ姿。首だけで生きてる。血も出てると思うがすぐさま再生され溢れた血が消える。
かといって吸血したら美味で永久。
まるで、私の為の人間だ。いや、もはや人間じゃないな...」
『か、え、し、て!』
「ん?永遠に添い遂げるなら返しても良いぞ」
『今すぐ滅びますか?メテよ』
「さすがに今までリュウジを見ていたが、勝てないだろうな、駄目か....」
ベットに近ずいて、ベットを片手で持ち上げると首無しの私の体があった。
首をくっつけるとすぐに再生した。
「どうやって発見したんだ?ここは魔国ではないぞ?」
「リュウジ、既に東の大陸は、ブレカ帝国に統一されて、そんな国は既にないぞ?
あと統一されていた西の大陸が、いくつかの国に別れて戦争中らしい。
なんでも天空の城の守護が10年途絶えている。」
「はい!?」
流石に驚く。ブレカ帝国!?
西の大陸の戦争は原因が私か?
「リュウジが消えたぐらいに、各国の守護天使が相次いで行方不明になって、ミワ王国がクルト帝国に奴隷制度を巡って宣戦布告、ちょうど、クルト帝国皇帝が元七騎士団の男に暗殺で殺されていて、弱っていると判断したようだが、次期皇帝になった、息子のブレカが、バケモノの様に強く、七騎士団も、全員強固で逆にミワ王国が滅んだ。
その後に、バランスを調整していたネムル法国が、役目を終えたとして、属国となった。
魔国は....実は、2年前程に私の力が認められて私が国王になってしまってな...面倒だからブレカの妻のクトゥルフに譲っておいた。
既に魔国で私の夢は叶ったのでな、吸血鬼の事は、リッチに管理を任せて、リュウジを探していた所だ」
ツッコミ所が満載の展開だ。
「ミワ王国とクルト帝国が合わさって、ブレカ帝国になって、ネムル法国が属国になって、魔国がブレカ帝国の女王が治める分国になったって事ね。
クトゥルフとは、何処で知り合いになったんだ?」
「リュウジを探している際に、ブレカとクトゥルフに出会ってな、リュウジを知っていたので、すぐに和解したぞ」
ブレカとクトゥルフの馴れ初めが凄くきになる。
会いに行かなきゃな。
「あと、ネトと白い竜が来てリュウジに伝言を頼まれた。ネトがリュウジのおかげで竜王になったらしい。北にある島を支配してるから遊びに来てだそうだ。
人化を常に義務ずけたら食料が余る様になった為、いまやベビーブームと言っていた」
今後、行くべき所が増えていく....
まずは、歳とったブレカとナッチとネネに会いに行くかな。ネネさんと同い年だったのに10歳年下になったのか....ちょっとショックかも。ナッチは、同い年だな。筋肉減って美人になってないかな?
「それにしても、よく私を見つけられたな。どうやって見つけたか教えてくれたら一緒に行動するけど?」
「リュウジらしくないな、脅迫とは....10年間で何かあったのか?」
「どうします?」
「......私は、魔力を見るのが得意だ。空間にも魔力があり街の中にも魔力が彷徨う。なぜか魔力が少ない感じがする方向に進むとリュウジがいる。かなり曖昧だが同じ街にいた場合は、確実にわかる」
なるほど、大体意味は理解できる。マイナス魔力の為に周囲の魔力が私に引き寄せられマイナスの穴に落ちていくんだな。落ちた魔力は何処に行くんだろうか?
「さて、約束だ、何処に行くのだ?私は永遠に付いていこう」
「永遠なんて約束はしていないですよ。王都に行って図書館に行こうかと思ってますよ」
「図書館?」
「ハーデスに関して調べようかと」
「ハーデス様なら、知ってい...まさか...なるほど...用事を思い出した。また時間ができたら会いに来る」
私の顔を良く見たあとに、体を蝙蝠に変化させて窓から飛んで行った。
まるで、セラフィムの時と同じ印象を受けた。
ハーデスに関して知っているが、教えてはいけない、なにかがあるようだな。
もとクルト帝国の王都の城に、徒歩で行くことにした。
城の入り口に着くと、10年前に椅子に縛られた所を助けてくれた門番と同じ門番が立っていた。
大分老け込んで、かなり良い味を出してる中年門番さんになっている。
「お久しぶりです」
「あ....どっかで見た時が....って椅子の縛られてた人?昔と全く同じ容姿なんだが、人間じゃなかったのか?」
「覚えてくいてくれて助かります。ブレカいます?」
「椅子に縛られてブレカ皇帝に放り投げられた人なんか忘れないよ。ブレカって、ブレカ皇帝???」
かなり、訳が分からぬ顔をしている。
「無理ですか?」
「知り合いなのは、知ってるけど皇帝には連絡つかないぞ!騎士団長に知り合いは?」
「ナッチかネネは?」
「......序列一位と二位か...ちょっと待っててくれ」
門番が、新人っぽい門番の数人に伝言して、城の奥へ走っていった。
待っている間に、新たな人物が現れた。
2人の魔導師風の綺麗な緑色のローブを着て杖を持った男に、はさまれて、身長が175cmぐらいで、模様がない真白いローブを全身に被り、外見は、口元しか見えない。
左手に宝石が散りばめられた杖を持っている。
「久々に、城へ戻ると魔力の異常な動きを感じたが、お前かな?」
白いローブの人が言う。声からして女性?
「私、リュウジ・トリデと申します。要件がありまして、ネネ団長かナッチ団長へ会いにやってまいりました」丁寧に返答してみた。
「ほう、私は、序列....今は四位のワト・シゲテだ。最近は、序列がコロコロ変わるのでな」
序列を言われても、いまいちピンとこない。
「ワト団長は、どのような魔力の流れを?」
「この城全体の魔力が、どこかに穴が開いたように少しづつ減ってる感じがしてな。かなり微細なので私しか気が付かないようだが、すべてお前に流れてる気がする」
メテ並みの魔力感応者ってことかな?
魔導師っぽいので詳しそうだ。質問をしてみよう。
「いま、お時間大丈夫であれば、聞きたいことがあるんですが?」
「お前に興味があるが、ネネ団長と知り合いならば深くは聞かぬよ。で何が聞きたい?」
口元しか見えない、ローブの中はどうなってるんだろう。暗光の魔法で顔を隠してるのかな?
「ハーデスに関して知ってることがあれば教えてほしいです」
「冥府の帝王の事か?冥界にいると言われているが、場所はわからない。しかし死ねば会えるはずだ」
「死ねば会える?」
「一度死んで生まれ変わった者も、この世のにはいる。作り話かもしれないが死んだ際に出会って裁かれるらしい。まぁ、戯言かもしれないがな」
死ねないから会えないって事か?他の奴なら死亡にして蘇生魔法で行けるが...
身長165cm程の小柄で腰にレイピアを帯剣している、高価な皮で作られた鎧を着て、緑の髪で緑の瞳で40歳ぐらいに見えるネネが走ってきた。
つづいて、身長175cmほどの30歳ぐらいの赤い髪で肩より少し下まで髪を伸ばしていて、前髪は左半分の顔を隠すようにセットされているナッチが、走ってくる。
相変わらず、ナッチは、動く筋肉で結構マッチョである。
「久しぶり!ぐへぇぇ!」
ナッチに顔面を蹴られる。倒れた私に、ネネが首筋にレイピアを押し当てる...
「偽物か?10年以上経つのになぜ、当時のままなんだ?」
「蹴りの感触は、本物のリュウジだったな」
二人とも顔が真剣なので、本気の様だ。
「何かあったんですか?」
「数年前に皇帝が暗殺されたからな、犯人は、お前になっている。大丈夫、本物だったら死刑でも死なないだろ?」
ナッチがにニヤっとした。
前竜王の記憶
黒竜のネトが帰ってきた。
今まで、傍若無人であったが、リュウジという旅人が会いにくる時に、わからないと困るからと言って、常に人化している様になった。
お陰で、前回発生した黒竜の暴食による島の食料問題がなくなった。
しかも、白竜と一緒に、人間の食料を街で出稼ぎして島へ持ってくる様になった。
今まで、閉ざされていた人間との交流が始まった。
次の竜王は、ネトで良いと考えた。
竜王は、次世代竜王と闘って負ける事で繋いでいく。
私も歳だが、圧倒的に強いので手抜きをしてネトに負けようと考えた。
だが、圧倒的なのは、ネトであり人化したままのネトに完敗した。
島から出てから、常に死と隣り合わせの戦いをしてきたとしか思えない。死を傍らに置いて旅をして来たのだろうか?
だが、負けて力尽きた私には、もう聞く力も残っていなかった。
「なんで、強いかわからないって顔してるね。死を一杯食べたの。爺も死んだら会えるよ。だからさびしくない。よろしく伝えて....」
ネトの不可解な会話が、最後の記憶になった。
目を開けると、黒い鎧を着た男がと黒いドレスを着た女がが、謁見の間の様な所で、豪華な椅子に座って私を見ていた。
「お疲れ様。ネトが世話になったね」
あ、この人がそうなんだ...これはさびしくないな。話すことは一杯ある。
「彼女は、素晴らしい黒竜になりましたよ」
話が尽きないのであった。




