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第013話 召喚魔法

「あまり良い子だと天使様に手足を取られてしまうよ」

死んでいる猫を助けている5歳ぐらいの娘を、男がなだめている。

娘は、猫が死んだ事を理解出来ていないようだった。


「どうして?さっきまで、鳴いていたよ」

「もう、寿命だったのさ。あとは、埋めてあげよう」

「埋めたら可哀想だよ」

「土に戻って、また戻ってくるさ」

「そうなの?でも、なんで、天使様に手足を取られるの?」

首を傾げて娘が話をせがむ。


「ある国に聖女様がいらっしゃったんだよ。あまりに、優しくて気高く他人の幸福が、何よりの喜びだった。ある時、天使様が降臨したんだよ。その時、聖女様の隣国は、疫病が、流行っていて毎日沢山の人が死んでいたんだ。

天使が、こう言ったんだよ。

『お前の両足をくれたら、隣国を助けよう』

聖女様は、迷わず両足を捧げたのさ」


「自分の国じゃないのに?」

「そう、それだから、聖女様なのだから」

娘が難しい顔をする。


「やっぱり、まだ難しい話だったね。大きくなったら続きを話すよ」

苦笑いして、男が複雑な模様が描かれた白い布を被って、仕事に出かけた。

試したい魔法は、攻撃召喚魔法。

ファシリティのゲーム内では、下級の攻撃召喚では、数千程度の魔力で召喚が出来るので、ソロ(ひとり)で可能だが、最上級の攻撃召喚は、使用する魔力が10万以上の為に、ソロ(ひとり)では召喚できない。


魔力5000以上のプレイヤーが20人程集まり、同時詠唱で初めて成功する為、最上級の召喚は、ギルド単位で集まって実行する場合が多い。


ゲームであれば、召喚に成功すると、詠唱したプレイヤーが召喚した存在に取り込まれて、召喚した存在の最大威力の攻撃を相手に与えて、召喚が終了し、取り込まれたプレイヤーが元に戻って、召喚した存在が消える魔法である。


この世界で使うと、どうなるのか?

少しワクワクもあるが、取り込まれたら戻れるのか不安もあるが、せっかく魔力を使いたい放題だし、いざ実験!


黒竜に近い存在で、巨大だと言うと、召喚の選択は一択であった。

わかりやすいように、大声で詠唱する。

ターゲットはカルラ山の横にある、少し小さめの誰も住んで無いと思われる岩山である。


「バハムート!!!」


私が消えて視界が、空から見下ろす視界になった。

召喚したバハムートに取り込まれ、空に浮かんでいるようだ。

バハムートとは、巨大な魚だが、ドラゴンの様な魚である。

例えるなら鯨の様なドラゴンであり、とにかくデカイ。

綺麗な青空の様な色で、ドラゴンの様な鱗が光る。


体感的に黒竜が、消しゴムぐらいの大きさで、ナッチやマギアが、アリの様に感じるので、かなりの大きさになった様だ。


物凄い魔力が、口に集まるのを感じる。

なんか、ヤバイ気がする。


秘密チャットと言うか念話?らしき回線を、黒竜とマギアとナッチおよび、生き返った3人につないで会話する。

『すまない、想像以上に威力が出そうで、爆風など衝撃が襲って来ると思う。黒竜!5人の盾になってくれ。他の人は、対衝撃準備お願い!』

『その、デカイのリュウジなの??100m以上あるよ!!』

『やはり、リュウジ...人間じゃないだろう??』

『バハムートって伝説で聞いた時あるぞ』

『神?』

『デケェ!!!』

『それが、お前の真の姿なのか?何という巨体だ。わかった、お前と言う存在を認めて、この小さき者を守ってやろう』


黒竜が羽を広げて5人をガードする体制を取った。


口に蓄積されたエネルギーの塊を、カルラ山の横の山へ吐き出す。


世界が光に包まれた。

巨大な力の流れが生まれ、山が光に溶けて行く。

山の岩が全て蒸発し、巨大なキノコ雲を作り出す。

ゲームでは、こんな特殊効果はなかったが、これはすごい!

キノコ雲って、初めてみたよ。


少し遅れて黒竜の場所に、衝撃波がやって来る。

「グアアァァァ」

流石の黒竜も飛ばされないように、必死になっていた。


ここまでの威力とは.....

しかも、召喚中は、意識があるが、攻撃を中止する事も、目標を変える事も出来なかった。

今後は、尊重な運用が必要そうだ。


空から見ている視界が、黒竜の前の視界に戻り、召喚した存在が消えて、人間に実体化する。


5人と黒竜が、元....山だった場所を見て呆然としていた。

私も見ると、山があった所に山と同じ大きさのクレーターが出来ていた。

バハムートは、巨大なだけで、実は最上級の攻撃召喚では威力が低い方のはずなのだが....

黒プレートに描かれている数字が、15から49に変わった。

隣の山にいた、サイクロプスを全滅させたのかもしれん。

一般人を巻き込んでいる可能性が怖くなった。


確か、ゲームではログを見れたはずだな。

ステータス画面を開いてから、ログ情報を連想すると、表示された。


サイクロプスを倒した。

サイクロプスを倒した。

キングサイクロプスを倒した。

サイクロプスを倒した........


すごい数だったが、全部、サイクロプスだったので、ひと安心だが、キング?

ゲーム中には、いなかったモンスターだな。


「リュウジ.....いや、リュウジ様。私は、何も見なかった...何故、黒プレートかも完全に理解した。敵にならないことを心から祈っている」

「修羅の国だとリュウジが、普通!?修羅の国って...天界?」

マギアから、崇拝の眼差しを、ナッチからは、捕食者の眼差しを受ける。

ナッチは、私を狙っているのかな?

生き返りの3人組に関しては、放心状態だ。


「大きな者よ、要求通り、この山から離れよう。だが、行く場所がない。お前に...いや、貴方に付いて行こう。貴方が何故、人間の真似事をしているかも理解した。

あの姿では、この世界では食事も、ままならないからであろう。私も見習って行こうと思う」

召喚魔法による巨大化だったが、事前のハッタリに為に、人間の姿が、仮の姿と思い込んだようだ。


目の前に全裸の12歳の黒竜が、現れた!


ナッチが、ドロップキックして、私を吹っ飛ばす。

マギアが、薄い毛布を女の子に巻きつける。

3人組が、さらに放心するが、1人鼻血を出す。


黒竜とも、話がついたので、王都テトモスへ転移した。


「夢なのか?」「幻のなのか?」「騙されているのか?」

転移後に混乱する3人組を、マギアが冒険者ギルドへ連れて行く。

「リュウジ様は、後で来てください」

別れる際に一言いって、去っていった。


「腹が減ったぞ」

黒竜のネトが、ご飯を食べたがる。

まずは、ネトに服を買いに行こう。

路銀が既に、数ゴールドしかないので、節約して彷徨う。

ネトの服をナッチと選んで買ってあげている際に、街の様子が騒がしくなった。


「レイモン公爵が、暗殺されたらしいぞ!」

「さっき、早駆けの騎士が城に向かったぞ」

「騎士団が、出るのか?」

「貴族派と皇帝派で、一波乱ありそうだな」

「円卓会議が招集されたらしい。数日で団長が全員集まるぞ」


やっと、レイモン公爵の死亡が、伝わったようだ。

転移魔法が一般的ではないので、これでも、何頭も馬を乗り潰して最速で到着だろう。


「やっと、情報が届いたわね。すぐに調査の騎士団がレイモン公爵領へ向かうと思う。私達は、もう少し様子見ね」

久々に、真面目な顔でナッチが話す。


まだ、こちらの世界に来て、1週間も経っていないのに、巻き込まれていくことが増えて行くなぁ。


流石に路銀が、尽きたので、冒険者ギルドのマギアの所に、3人で向かう。

用語説明


ファシリティ(ゲーム)

種族(常時人型のみ)


人間

人型の基本人種

男と女がいるが、稀に両性が存在する

魔力を持ち産まれた時は、種族で最弱であるが努力によって伸びしろが一番大きい

突発的に、魔力が多い物や生命力が強い物が産まれる

最も多彩に分岐する種族


ハイ・エルフ

精霊と人の間の存在

外見は、エルフに近いが、存在は、精霊に近い為に無制限の寿命持つ

性別は自由で、その存在の性格に起因する所が大きい


エルフ

ハイ・エルフと人間の中間に存在する人型

耳が尖っている事と脂肪などの無駄な肉が付かない体質の為に痩せていて、胸が小さい。

発祥は、ハイ・エルフと人間の恋によって産まれた

精霊の血を引いているために、誇り高くプライドが高く、差別意識が高い

精霊が多い所に好んで住む


ダーク・エルフ

エルフが、闇魔法を覚える事により、エルフよりも人間に、より近い存在になった物

エルフ特有の脂肪が付かない体質が改善される為に、男子ならマッチョ、女子ならボンキューボンのナイスボディーになる場合が多い


ドワーフ

小人族と人間の中間に位置する種族

炭鉱の生活が長い為に世代を重ねることにより、小柄な外見になっていったが、採掘で筋肉が強化されて、小柄だが怪力の種族である。

無機物の加工が得意であり、様々な物を作り炭鉱での生活を可能にしている

過酷な山の環境により、好んで住んでいる。


小人族

人と小精霊(ものにやどるせいれい)の中間に位置する種族

小精霊よりも人に近いので、寿命は人間の数倍程度である

小精霊が多い所に好んで住む


悪魔

人型の物も多いが、本来は形がない力の塊である

人の悪意が集合体になって意識を持ったもの

消滅は、人がいる限り難しく拡散させて一時的に消す事は出来ても再度固まり復活する

封印もしくは、拡散の範囲を広げて復活を延長する事が出来る


人型の物も多いが、本来は形がない力の塊である

人の善意が集合体になって意識を持ったもの

消滅は、人がいる限り難しく拡散させて一時的に消す事は出来ても再度固まり復活する

封印もしくは、拡散の範囲を広げて復活を延長する事が出来る


天使

神と人の中間に位置する存在

神の思念が、人に宿った存在

人の部位を消滅させれば時間をかけて本来の神に戻る

性格は依代になった人物の色が濃い、その為、善意の思念の塊でも悪意的になる場合がある


魔人

悪魔と人の中間に位置する存在

悪魔の思念が、人に宿った存在

人の部位を消滅させれば時間をかけて本来の悪魔に戻る

性格は依代になった人物の色が濃い、その為、悪意の思念の塊でも善意的になる場合がある


獣人

人が突然変異して様々な人型以外の種族と交わった物

交わった種族の特徴よりも、人間の特徴を強く受け継いでいる

外見が特徴的で、ほぼ人間だが、耳や尻尾などの末端器官が他種族の特徴を出している場合が多い


魔族

人が突然変異して様々な人型以外の種族と交わった物

人間の特徴よりも、交わった種族の特徴を強く受け継いでいる

外見が多彩で、多種族の外見を人型に近くしたような外見をしている場合が多い


人化

多くの力ある人間型種族以外が可能である

人化により、様々な欠点と利点が存在する

幻覚系の実際には人型になっていないが人型に見える物と変身系の肉体を変化させる物と2種類の人化がある


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