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第011話 サイクロプス

「聖女様、今日も宰相がお見えになっております」

神殿の奥の小さな部屋に、神官が聖女を迎えに来ていた。


そこには、14歳ほどの金髪で右目が赤い瞳で左目が青い瞳の少女がいた。

病的に白い肌で、弱々しく見えるが、そこが神秘的な気配を醸し出していた。


頭から白い複雑な模様が描かれた布を被っている神官が4人、聖女の手足を持って運び出す。


神殿の祭壇にある、椅子に座らせると祭壇の大きなドアが開き、身長2mある筋肉隆々の露出が多い白い服装の男が入ってくる。


「本日も麗しく。メキドの街で異教徒が、発見されましたので鎮圧致しました。聖女様の預言は、よく当たります。次は、何処の街に異教徒が現れますか?」


「........マキア神殿のパピロ街に.....シハヤ宰相を打ち倒す存在を感じます....」


「これは!この神殿とは!さすが聖女様です。神官を集めて対応致しましょう」


宰相が荒々しく祭壇のドアを叩いて、外に出て行った。


椅子に置いてある聖女が崩れる。

手と足が外れて、顔に付けている耳と義眼の一つがとれる。


「これは、いかん」

急いで、取れた手足を拾って、眼球がえぐられた場所に、落ちた義眼を入れる。

手足を付けないままで、奥の部屋に運んで行った。


身長3mほどの、緑の皮膚の一つ目の人型モンスターが3匹現れた。

見慣れたサイクロプスだった。

この世界に来てから、初めてのモンスター遭遇だ!


ゲームでは、大きい棍棒を持って、布をまとっていたが、この世界では、手には何も持っておらず、全裸だ!

大事な所には、何もついていない。

この世界では、モンスターは、どの様に増えていくのだろう?


「リュウジ!敵だ!」

背中から大ハンマーを外してマギアが、構える。

ナッチは、まだ口に食べ物が残っている為か、モグモグ咀嚼しながら、スカートの中から大剣を取り出した。


「マギアさん、サイクロプスって売れる部位ってあるんですか?」

「襲われているのに、何を言っている?目の水晶体が高く売れる。目は傷をつけないように倒すのが基本だな。あとは、骨が売れるが肉は不味くて売れない。それより来るぞ!」


3匹がそれぞれ、マギアとナッチと私に襲いかかる。

サイクロプスのレベルを見ると、30程であった。

マギアは、50超えてるし、ナッチは、30だが、真実の義眼で強化されてるから、心配なさそうだな。


マギアは、先制して大ハンマーで、相手の腰を振り抜く。

避けられずに、一匹吹っ飛んでいった。


ナッチは、摑みかかる手を避けて大剣で胸を突いて一撃で倒していた。


私は...レベル15なので、殴って来たレベル30の拳をかわせず、後方へ吹っ飛んで、倒れている所に、サイクロプスが蹴りを連打して、すべてクリーンヒットしていた。

ダメージを受けると、何故か気持ちい体になってしまった。


んんん!気持ちいい!!癖になりそうだ!!


この世界では、生命力が0に近ずくと体調が悪くなる

0から離れれば体調が良くなると言う原理の様だ。

生命力がドンドン、マイナスになっていき、0から離れて行くので、感動するほど気持ちい。

全身をマッサージされている様だ。


「リュウジ大丈夫か!!」

私を心配して真っ青な顔で、マギアが吹っ飛んだサイクロプスにトドメを指して、駆けつけて来た。


ナッチの剣が、私を蹴っているサイクロプスの首を両断した。

青い血が飛び散る。

「リュウジ!なんで遊んでるの!私の剣を受けて平然としてた人が、ふざけないでよね」

「いやすまん、君たちの動きに見惚れてしまってね」

「それなら...仕方がないわね」


マギアが、何事もなかった様に立ち上がる私を見て驚く。

「は?いま物凄く、殴られて蹴られてたよね?私でも無事じゃないレベルだった気がするんだけど?」


「マギアは、知らないのね。リュウジは、凄い生命力で、あの程度なら、歩行中に肩がぶつかったレベルの事なのよ」

どんだけ勘違いしてるんだ、この子は!

いや....めっちゃダメージ受けてるから.....

生命力 ー2347/ー732

1500程減っとる。マギアでも一回死ぬレベルのダメージを受けてたなぁ


「なんなの、この2人は!緊張感が.....力が抜ける」

マギアが、頭を抱える。


サイクロプスを右手で触って、装備したと思い込んで、武装解除と考えると、アイテムボックスにサイクロプスの死体と表示されて、サイクロプスの死体が消えた。


お!凄い!この世界では応用するれば、なんでもアイテムボックスに入りそうだ。

今度は、大型の建築物とかも、試してみようと考える。


死体を3匹とも、しまった所でマギアがため息をついた。

「それは、まさかサイクロプスの死体を収納したのか?」

「出来そうなので、試したら出来てしまいました」


「リュウジには、驚かされすぎて死にそうだよ」

肩を落として、残った昼御飯をナッチとマギアが食べ始める。


この出来事の後に、飯食える2人にも、驚きだよ!


生命力が自然回復中は、0に近ずくので毒攻撃を食らった様に、あちこち筋肉痛のような痛みが走る。

大体、今回の事で原理は、わかったぞ。

回復魔法を自分にかけて 生命力をー732/ー732に戻すと激痛が走る。

「ひゃあァァァ」と思わす叫んでしまう。

驚いて、二人が口の中の食べ物を吹き出す!


その後、また山登りしたが頂上までつかなかった。

山の中腹付近かな?

「リュウジ、転移でサクッと行けないの?」

「流石に、頂上は思い出になくって...」

「思い出?どう言う事!そう言えば、王都やカルラ山に何故、転移出来るの?」


あ!きずかれた....嘘はつかずに、上手く説明するとなると...

「有名な場所は、転移出来るんですよ」

「.......本当の様ね.....じゃあ、なんで修羅の国に転移しないの?」

あ!元の世界に転移出来るのか?戻ったらいきなり死体の可能性もあるのか...

怖くて転移を連想できん!


「そのうち戻るかもしれませんが、もう少しこの国を調べてからにしますよ」

「.....本当の事ね......」


この、やり取りを見ていたマギアが首を傾げる。

「ナッチは、嘘と本当を見分けられるのか?」


ナッチが赤く光った左目をマギアに見せて、説明する。

「真実の義眼よ。嘘をつかれると痛みが走る」

「え!最強クラスの呪いの魔道具じゃない!大丈夫なの?」

「リュウジが呪いを解いてくれたわ」

「え?えええええ!!!そんな事が出来る人がいるなんて!!......まさか....いえ....」

マギアが、突然考え出した。


「リュウジ、街へ戻ったらお願いがあるのだけど?」

呪いのを解いてくれの依頼っぽいなぁ


「戻ったら伺いますよ」

「うん!わかった」

満面の笑みをマギアが浮かべる。

ナッチが睨む。


マギアが持ってきた、薄い毛布を借りて、野宿を開始した。

晩御飯中にもサイクロプスが5匹襲ってきて、ナッチが晩御飯を食べながら、すべて、倒してしまった。

私は、ボーッと観察していた。

生身で、呪われずに真実の義眼を装備ってある意味チートだな。

「なんだろう?リュウジに会ってから身体が、思うように動くは!これが恋?」

何を言ってるんだ、この子は?ナッチは、暴力的で嘘がつけないので、ちょっと無理だ。それは義眼のせいだ。


マギアが呆れながら晩御飯を食べている。

マギアさん適応能力高いな....


そして、夜が明ける。

山頂へ再び登る3人組であったが、夕方になってやっと山頂へたどり着いた。


「マギア、黒竜いないんだけど?」

ナッチが、ボソッと怒気を孕んで言う。


周囲を見ると、ただの岩山の頂上な感じで、特に変わったところもない。

「夜になったから帰って来るのかな?」

「どうかしら?しばらく待って見ましょう」


また、野宿の準備をしていると、視線を感じる。

向こうの岩陰に、人影を見た。

ナッチも気がついたようだ。


秘密チャットを使用してみる。


『ナッチ、気がついた?』

『何かいるみたいね、私が左から回るからリュウジは、右から回って見て』

『なんだ!!二人の声が聞こえる!!』

『あ!なんでマギアまで聴こえるの?』

『念話って奴か?初体験だ。凄い便利だな』


マギアの感動を無視して、ナッチと私で一気に岩山の裏に回り込む。

マギアが、後を追ってくる。


岩山の裏に裸族がいた!


「ひぃぃやァァァ」

裸の女の子が、驚いて叫ぶ。

何故?こんな所に、女の子が!?


ナッチが、ドロップキックを私にして、私が吹っ飛ぶ。

ちょうど崖だったので、私が落下していく。

マギアが、慌てて薄い毛布を女の子にかける。


吹っ飛ばされた所から戻って来ると、ナッチが、串の肉をあげて餌付けしていた。


「ナッチ!突然ひどいですね。10m以上落下しましたよ。私じゃなかったら死んでますよ」

「リュウジだから大丈夫よ。それよりこの子は、何者?」


黒髪で黒目の12歳ぐらいの人間の女の子に見える。

「言葉が通じないのだが、リュウジの念話みたいので話せないか?」

マギアが、提案してきたので、試してみる。


『ああ!聴こえますか?』

『ヒャひい!言葉わかるのか』

『おおお!通じた。なんでこんな所にいるんですか?』

『5年前に、故郷で喧嘩した。負けて追い出された。ここ、ご飯困らないから、ずっと住んでる』

凄く、やな予感がする展開だ.......



用語説明


召喚魔法


召喚魔法は、3種類存在する

高位召喚魔法、使役召喚魔法、攻撃召喚魔法である


高位召喚魔法

勇者召喚や神的な存在など、自分より遥かに強い者を呼び出す召喚であり、高度な技術と魔力が必要である

複雑な為に、魔方陣を使うのが基本になっている

リュウジの召喚は、これにあたる。


使役召喚魔法

自分より格下の存在を自分の魔力を利用して、呼び出して自由に扱う召喚であり、使役中は、術者から常に魔力奪って行くために、長時間は使用できない

この世界では、メジャーな魔法で多くの魔法使いが使う基本魔法


攻撃召喚魔法

膨大な魔力を使用して、呼び出した存在と同化して攻撃を行う召喚であり、呼び出した時の魔力が尽きれば、同化が解除されて呼び出した存在が消える

ゲームでは、当たり前の魔法だが、この世界では伝説の魔法である

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