13.友人Aの奇行などで天才は動じないのだ!
「神谷……」
「秀くん!もう我慢できない!あの虫を追いはらいに行こう!」
「もうちょっと……いや、十分俺は頑張ったな。うん、ごめん明智、頑張れ」
騒がしい凡人たちが合流した。というか、才田知怜、来てたのか。最近話しかけてこないから忘れていたぞ。
「世名さん!騙されちゃだめだ!そいつは世名さんに甘い言葉で近づく悪い虫なんだよ!」
「まじか!神谷そんなやつに絡まれてるのか!?相談にのるぞ」
「いやお前だよ!……いや違うな。お前では、いやでも……」
東雲秀、友人として言わせてもらうが物事ははっきり言ったほうがいいと思うぞ。
しかし、なるほどな。やはり凡人の中でも優れた部類に属する才田知怜は明智蒼汰の裏の顔に気づいていたというわけだ。だが!
「安心しろ、才田知怜。私はすでにこいつに現実を教えることに成功した」
「なぁ東雲、なんで俺の耳塞いでるんだ」
「お前のためなんだ明智。知らないほうが幸せなこともある」
今日はなんだか東雲秀の奇行が多いな。疲れているのか?
「世名さん、本当に大丈夫?困ってるなら僕あいつの弱みでも握って」
「だから怖ぇんだよ!せめてちょっとは躊躇え!」
「お前のような凡人に心配されるような筋合いはない!あいつはついさっき自身が凡人であることを認めたのだ」
そして、
「次はお前だ!中間テストでの勝負、忘れたとは言わせない!」
「もちろん!他の何を忘れても世名さんとの約束を忘れるわけがないじゃないか!」
いい心がけだ。天才の言葉は他の凡人の何倍もの重さがあるからな。まぁ何故か嬉しそうなのが気に入らないが。
「なぁそろそろ手、離してもらってもいいか?」
「えっ?あぁ大丈夫だ、危機は去った」
秀くんが可哀想。明智くんはなんかもっと可哀想




