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彼女は普通に幸せな恋をする

「その、私、明智くんのことが好きです!付き合ってください!」


「えっと、ありがとう。告白とか初めてされたからさ、素直に嬉しいよ。…ごめん、実は墨田さんが俺のこと好きなの知ってた。」


彼は気まづそうに目を逸らす。


「友達に言われてさ」


あんなに大きな声で話してたのだから当然と言えば当然だ。るいは過去の自分の行動を呪った。


「その……テンパっちゃってさ、つい墨田さんのクラスの人に相談しちゃったんだ。」


もしかして昼休みはそれで…なんの根拠もなかったがるいはそれが真実だとわかった。


「そしたら、「相手は本気だったんだから、人に聞かずに自分で答えを出せ」って言われて。最初は断るつもりだったんだよ。正直、俺、墨田さんのこと何も知らなかったし。」


当然だ、そう思いつつも彼の言い方にどうしても一筋の希望が捨てられない。


「でも……その、本気なんだって分かってさ。そしたら、俺もなんか、もっと知りたくなって……。中途半端かもしれないけど、それでも……友達から、始めてもいいかな?」


別に彼は選択から逃げているわけではないのだろう。考え抜いた上で保留ではなく友達からという選択をした。


本当は今すぐに付き合いたい。これからあるたくさんの行事も彼女として入れたならきっと何倍も楽しいものになる。


けど、これが彼の誠意だってわかったから。私のことをちゃんと考えてくれたんだってわかったから。


「うん、いいよ」


それは、るいにとってこれ以上ない答えだとわかった。


…これで終わりでもいいのだろう。でもこのままだと友達のまま終わってしまいそうで嫌だった。


ふと、るいの頭に妙案が浮かんだ。


「あのさ、名前で呼んでもいいかな?」

「えっ…ああ、もちろん」


るいは付き合えたらいうつもりだった言葉を今言うことにした。


「じゃあ蒼太くん!これからよろしくね!」


絶対に付き合うという思いを込めて、自信に溢れた笑顔で言った。


その笑顔は魅力的で、紛れもなく世名が与えた自信と勇気によって生まれたものだった。


「っ!」


…彼の動揺にるいが気づくことはなかった。

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