表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/26

幕間 天才じゃないので踏み込めない

「ここが知怜の家か。というか世名、なんであいつの家知ってるんだよ?」

「何度か家の近くの話してただろ?そこから推測すれば分かるじゃないか?やれやれ、これだから凡人は」


 気持ち悪っ!疲れのためか善意か、口に出すことはなかったが秀は確かに思った。

 世名も知怜もストーカーになったら別ベクトルで厄介なやつだな。


「こんにちは〜。……誰もいないな、どうしよう?」

「ドアが空いてる。さっさと行くぞ、こんなことに天才の時間を使うなどもったいないだろ!」

「おいっ」


 そう言いつつも秀は止めない。正直もう疲れていた。


「えっ!せせせ世名さん!なんで僕の家に……あっごめんね、部屋散らかってて。今片付けるからちょっと待ってて!」


 部屋に入った瞬間知怜の声が響いた。

 こいつ、昼間倒れたくせに元気だな……秀はそう思って呆れながら知怜のことを見たが、そこで違和感に気づく。


 なんかこいつ顔赤くないか?いや世名と話してるときはだいたい赤いけど……今回はそういうのじゃなくて、まるで風邪?

 よく見ると動きも少しフラフラしている気がする。


「熱は計ったか?」

「へ?熱?あぁ37.9℃だったから大丈夫だよ」

「何が大丈夫だよ!普通に風邪だろ!」

「いや、風邪は38℃からだから今回はセーフだよ!」


 よくわからんことをさも常識のように語る知怜を見て一抹の不安を覚えた秀は部屋を見渡す。

 机の上にはどう考えてもさっきまで使ってたであろう参考書と文房具……


「お前さっきまで勉強してただろ」

「もちろん!世名さんと勝負するんだから今回も勝たなくちゃ!」


 言葉だけなら健気に頑張るいい子だが秀は流されたりなどしない。


「病人が勉強してんじゃねぇ!さっさと休め!」

「じゃあベッドには入るから単語帳だけ……」

「いいから寝ろ!」

「そんな殺生な……」


 秀はなんとか知怜を寝かせることに成功した。

 はぁ、なんで寝かせるだけでこんなに疲れるんだ?

 というかお前も手伝えよ、世名!


 そう思って横を見ると、世名は部屋にある大きな棚を見ていた。そこには大量の参考書と賞状がある。


「……なんでこんなに頑張るんだろうな?」

「はぁ、頑張って成し遂げたいことでもあるんじゃないか?」

「……ふん、わざわざ頑張るなんて」


「……凡人は、大変だな」


 その言い方にいつものような力はない。知怜を馬鹿にする響きもなく、自分に言い聞かせているようだった。

しばらくの後秀は口を開く。


「……世名。……ずっと聞きたかったんだが」

「もう荷物は持ってきたんだ!帰らせてもらおう!」

「は?おいっ、人の話を……」


 次の瞬間には世名はいつもの調子に戻り、声もいつもの傲慢な響きをちゃんと持っていた。


 結局今回も踏み込めない。どこまでいっても凡人な秀にはこの先に踏み込む勇気がもうちょっとだけ足りなかった。

ちょいシリアスな話です。

不謹慎だけど、個人的にはシリアスな話のほうが書きやすい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ