↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

おそらく友人候補に奇襲をかけられた話

結局、私が無事に新しいクラスへとたどり着いたのは、ホームルームが始まる数分前、というぎりぎりの時間だった。

宮本くんが保健室から持ってきてくれた氷嚢で、ぎりぎりまで目を冷やし、女子トイレでないたことがばれないように念入りに化粧を直した。その間、ずっと廊下で待っていてくれた彼には、何度も帰っていいと伝えたのだが、「泣いた女の子を一人で置いていくほどひどい男じゃない」といつもの笑顔で返されれば、私に反論の余地は無かった。


…こんなときばっかり女の子扱いして……。ほんと、ずるい。

この人は、私のことなんてどうせ友人以上には見てくれないのに。なんでこんなにやさしいんだろう…。





「…お助けキャラだから、か…」




私がヒロインで、彼がお助けキャラだから。

私が困ったときに現れて、私が欲しい言葉をくれる。だからこんなこと当たり前なんだ。


そんなことは十分理解しているのに、これから出会うはずのヒーローなんかより、ずっと彼のほうが王子様に見えてしまう。彼の笑顔と優しさが、私の心を離さないのだ。

















「はじめまして、西園寺京香(さいおんじきょうか)です」

「は、はあ」

「町本…百合子さん?よね?」


さて話は、冒頭に返る。私と、宮本くんが、教室にたどりつき、一緒に中へ駆け込むと(どうやら一緒のクラスだったらしい)、それまでざわついていた室内が一瞬動きを止めた。そして、私たち、いや、主に私を見て、再びざわめき始める。


ああ、もうさっきの話が広がってるんだ…。


そう認識した私は、心配そうにこっちを見る宮本くんに対して、「大丈夫」と小さく断りを入れて、座席を確認するために、黒板に貼ってある表のところまで足を進めた。





そして、彼女に声をかけられたのは、座席表の中に自分の名前を探している最中のことだった。


ぽんぽんと肩をたたかれ、振り返ると、そこに立っていたのは一切の隙の無い完璧な笑顔を浮かべる美少女、いや、美女、宝塚系美女だった。






あまりの美女っぷりに一瞬固まってしまった私を気にすることなく、「町本さんは私の隣よ」と彼女、もとい西園寺さんは私の手を引く。


端から二番目の後ろから二番目。なんとも説明しにくい席に案内されて、私がそこに座るや否や、隣の席に着いた彼女はこちらに身を乗り出して、目を輝かせる。



「で?どうなの?あのうわさってホント?」

「う、うわさ…?」


そうよ!う、わ、さ!

興奮しているのか、彼女の声が教室内でどんどん大きくなっていく。ああ、もうちょっと、もうちょっと声のボリューム落としてくれないかな、西園寺さん。でも彼女は空気を呼んではくれなかった。








あのいけすかない九軒を抜かして入試トップを取った美少女がそれだけでも十分なのに、喧嘩でぼっこぼこにあのあほ負かしてくれたって!


「私、今までの人生の中で、今さいっこうに気分がいいわ!ありがとう!町本さん!!!」



…西園寺さん、それ、半分以上間違った情報です……。

教室中が固まった空気の中に、それをものともせず入ってきた担任の先生のせいで、私は完全に反論のタイミングを失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。