親友(確定)とのよもやま話
「あら違うの?」
なんだ、つまんない。
そういいながらも、不機嫌そうな顔さえ絵になる彼女は、とても美しく、駅前のファストフード店がその一帯だけ高級ホテルのレストランのように見えたのは仕方ないことだと思う。
「ですから…。なんか…、難癖つけられたんですよ…。俺より順位がいいのは気に食わないって」
「ああ、言いそう。あいつ自分だけが正しいって思ってるやつだから。自分より頭のいいやつがいるはず無いって思ってるやつだから」
「それこそ馬鹿ですよね。進学校なんて全国どこでもあるのに。私だってそこの成績一位の将来のT大生候補なんかと比べられたら頭悪いに決まってるじゃないですか」
「星条なんて所詮おぼっちゃん学校だもの」
Mサイズ100円のしなびたポテトを二人で分け合う日本が誇る金持ち学校の女子生徒二人、という図は周りから見たらさぞ不自然に見えたであろう。
ただ周りに星条生のいない話せるスペースが、放課後の、私の家の最寄り駅にある某ハンバーガーショップしか思い浮かばなかったからしょうがない。
今日はあの後、ホームルームで、校舎の説明だったり、校則の説明だったり、一年間のスケジュールの説明、選択教科の説明があって、お昼前には下校となった。
俺様暴君襲来事件と西園寺さん勘違い発言事件によって、もう半分以上友人作りに失敗している私は、放課後まばらに残るクラスメイトの女の子たちに話しかける勇気も無く、宮本くんにあいさつしたらおとなしく帰る予定だった。しかし、そこで許してくれないのがこの世界の神様らしく、再びたたかれた肩に振り返れば、そこに立っていたのはやっぱり西園寺さんで。
「町本さんの話、詳しく聞きたいわ。食堂でランチをしながらでもかまわないかしら?」
そう言われてしまったため、これ以上変なうわさを流されてたまるかと、なるべく人のいないところを選んだ結果が、この場所である。
誤解を解きながら、彼女と雑談、まあほぼ西園寺さんによる九軒何とかさんへの愚痴を聞いていると、どうやら星条の女子生徒全員が盲目的な彼の支持者、というわけではないらしい。
外部生はもちろんのこと、割としっかりしている、長女として跡取りを期待されているような賢い女子生徒たちはみんな彼のことは苦手に思っているようだ。
確かにかっこいいし、頭もいい、カリスマ性も認めるけれど、あれはただのアホの子、だそうだ。西園寺さんいわく。
「自分が一番じゃなきゃ気に食わないただのガキよ。しかも異常に女を馬鹿にする」
あれが一番腹が立つわね。絶対昔女がらみでなにかあったのよ。
いらいらとストローを噛む様子に、私も身を乗り出した。
「そうなんですよ!『女の癖に』って!!どういうことだと思います?今どきあの差別っぷり…」
「腹が立つわよねえ」
「ですよね!」
「それで?我慢できなくてあいつの顔面にハイキック?」
「入れたかったけど我慢しました…」
「町本さん最高」
素敵な笑顔で握手を求めてきた西園寺さんに私も手を伸ばす。
がしっとかたく握りたった手に二人とも思わず笑いあった。




