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価値

仁はどうにか自分の考えをまとめようと一瞬無言になった後、ゆっくりと話し始めた。

「ザロの親父さんも駆除人だけど、年齢的にいつまでも最前線って訳にはいかないと思うから、タキリ様の言い分も分かるっちゃ分かるんだけど…でもじゃあお前が代わりに戦うのか?って感じじゃん。俺は正直かなり怖かったし、死ぬかもって思った程だから外野が偉そうに二人の進退を決めるのはどうかと思うんだよね。」

魔弾も仁の意見に同意した。

「むしろ命掛けてる分、ありがたく思えって話だよなー…なんか腹立つわ!」

「あの紙見た瞬間、俺も思った。命掛けてるのになんなんだよって。あー!ムカついてきた!早く浴場行って一杯行くしかないね!」

二人は広場まで来ると一旦着替えを取りにそれぞれ自宅へ戻る事にした。

宿舎へ帰る途中、魔弾は何人もの人々から暖かい声を掛けられた。

中には魔弾の目の前で神に感謝し始める人さえいた。

ーーなんかレテの人達ってすごい良い人って感じなんだけど、なんでタキリだけあんなんなの?そもそも化け物駆除したのに、あのやり取りってちょっとありえないよな。

魔弾は着替えを用意してすぐに浴場に向かったが、まだ仁の姿は無く浴場の外で待つ事にした。

広場はすでに日常を取り戻しつつあり、屋台の準備をしている様子が伺えた。

少し遅れて仁が浴場に到着すると、すぐに二人は浴場に入り汗を流し始めた。

「来る途中にいろんな人に感謝されたんだけど!普段話さない人まで話しかけてきて、ちょっとびっくりしちゃったよ。」

仁は嬉しそうに話した。

「あれ神に感謝してるんじゃないの?!やたら祈ってくるのなんなの?って思ってたんだけど、俺たちへの感謝だったのか。」

魔弾にはなぜ神に感謝をしているのか理解できずにいたが、人々の感謝が自分たちに向けられていたと知り、ようやく人々の行動に納得がいったようだった。

「あー分かりづらいよね、とりあえず神に感謝って言ってなかったら誰かに感謝してるって感じかな。対面で感謝するときはお辞儀付きの短い感謝で、神への感謝は結構長めかも。とりあえず俺はお辞儀で感謝されたら、感謝し返すってやってる。」

「あー!確かに何人かお辞儀してたわ!とりあえず俺もお辞儀しといたけど、なんで俺も神に感謝しなきゃならんのだ?ってちょっと謎だった。」

二人は浴場で汗を流し終えると、すぐに広場へ向かった。

途中何人かの感謝を受けると二人は祈りへの感謝を返し、広場へつく頃にはすでに屋台も営業を始めていた。

二人は簡単なつまみと酒を購入し、広場のテーブルで飲み始めた。

「そういえば、ジンの傷綺麗に治ってたね。俺の足もそうだけど回復早くない?」

「俺も崖下で目が覚めた時それ思ったんだけど、今思うと街のみんなが祈ってくれたおかげだったんだね。」

ーーえー…本当にー?神のおかげなの?なんかまだ信じられないわー…

魔弾は否定も肯定もせず、仁の話を聞いていた。

「そういえば報酬確認してないんだけど、そろそろ開けちゃう?」

途端に魔弾の目が輝く。

「お願いします!」

仁は腰袋から、支給金の入った小袋をテーブルに置いた。

小袋の膨らみは薄く、駆除の相場を知らない二人にとって見るからに中身は期待できないだろうと思っていた。

中身を石のテーブルの上に出すと、仁は少し驚いた表情を見せて喜び出した。

「金が入ってる!金2個も!金は1個で銀1000個分!すごい!」

ーー銀1000?!マジかよタキリ様最高ー!!

喜ぶ仁に釣られ魔弾も喜んではみたものの、ヤギレース以外に大きい出費の無い魔弾にはあまり価値が理解できなかった。

「ジンのあの高価なランプは銀どれくらいで買える?」

「えーっと、あれは確か金3個だったかな?店の一年間の売り上げが金3〜4個くらいだから結構悩んだんだよね。」

「あのランプそんなに高いの?!このままじゃあの火炎放射スティック買えない可能性が…」

魔弾の表情が一気に曇る。

「確かに…あのスティック高そうだもんなー…」

二人が暗い表情で酒を飲んでいると、突然ザロが現れ仁の隣に座った。

「どうしたの?」

二人の顔を交互に見てザロが心配そうに聞いた。

「いやー…世の中世知辛いねってね…。」

魔弾が溜息交じりに答えると、ザロは心配そうに返した。

「俺に出来る事があれば手伝うよ!」

仁がふとザロに尋ねた。

「ザロって駆除した化け物どうやって燃やしてるの?サキと同じ?」

「俺は燃やせないよ?燃やすのはいつもサキとゴウだね。」

ーー待って、二人しかあのスティック持ってないなら駆除人解雇はまずいんじゃないか?

仁も魔弾と同様の疑問が浮かんだようだ。

「じゃあ、二人がいない時はどうするの?」

仁の疑問にザロはすんなりと答える。

「普通に火で焼くんじゃ無い?死骸残しておくと、それ食った動物が化け物になっちゃうし。」

仁はさらに詳しく聞き出そうと話を続けた。

「ザロはこの先一人で駆除に行くときとかどうやって燃やすのかなって不思議に思ってね。」

「親父が使ってる石で燃やすかな。でもあれ袋に入れてても熱いから持ち歩くの嫌なんだよね。」

ーーあの鍛冶屋の人達が持ってた燃えてる石かな?スティック買えなかったらその石買っとく?

魔弾の表情が少しずつ明るくなる。

無言だった魔弾がここでようやく会話に参加する。

「その石ってどこで買えるの?やっぱり大陸?」

「大陸で買ったんじゃ無いかな?レテでは見た事ないよ。」

ザロが不思議そうに答えた。

ーーとにかく大陸にいかなきゃ始まらないってことか…

燃える石についての会話が一段落すると、仁が真剣な表情でザロに尋ねた。

「ザロ、今夜親父さんは家に帰ってくる?ちょっと話があるんだけど。」

ーー駆除人変更の申し立てについて話に行くのかな?

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