45
今回短めです。(何か色々すみません、と先に言っておきます;)
ちなみに、クロストとミーナさんは他の精霊との契約はしていない為、魔力放出のみ。グリストラが土で馬の形を作り上げている隣で(あ、崩れた。惜しい!)じいちゃん精霊に『うーむ、ふーむ?』と首を傾げられながら見られている状態なのだけど――…
「うん、ミナリンもクロリンも合格っ♪ これから二人にも風の加護あげるねー!」
…――どうやら合格となったようだ。
「ふう…」
「良かったぁ」
クロストとミーナも魔力放出を止めて、私の近くに腰を下ろした。
ミーナさんは早速、風の魔法を使って椅子を作り出したみたいだけど空気椅子にしか見えないそれに座っている姿は何だか面白い。
魔力多いのかなミーナさん。と思ったが、私も初めての精霊の試練では魔力に余裕があった事を思い出す。(最初の試練では魔力を少し放出して見せるだけだからね)
椅子良いなー。円盤型とかスケボー型などの(ま、形にこだわっても見えないけど、いや。リボンや布とかで巻いたりすれば見える…かな? 難しそうだな)形を作り浮遊させれば移動手段に出来るかな――…
実現、出来れば色々と便利で良いな。
…――なんて、考えているうちに。
「おーっ、グリリン! 素敵なお馬さん! 凄いー! グリリンも合格っ♪」
グリストラも魔力放出状態を維持したまま、土の馬を作り出す事が出来たようだ。
ドサッと。隣に座ったのはグリストラだ。
「お疲れ様です、グリストラ様」
「っはあ、はぁ…は、やったよ、マリスティア…ははっ、それにしても、っ…キツいな」
グリストラも額から汗が流れているが、ハンカチを貸そうにも使用済みだからなぁ。あっ、そうだ。
「《水の器》。水よ…器に」
湯呑み位の水の器を詠唱で出して、飲み水は器の中に呼び出した。(さっきは、どちらも呼び出した形になるのだけど、器は詠唱で出した。ふう、これなら魔力放出量を減らす事が出来るね)
「グリストラ様、こちらを宜しかったらどうぞ」
水なら喉を潤せるし、汗についてはグリストラも自分のハンカチを使って下さい。私は知らない振りをさせて貰います。
水は器共々、魔法で今目の前で出したものだし、毒などは入れていませんよー! でも、一応。
「ご不要だったり、気になるようでしたら、毒味は私が致しますので仰って下さいませ」
この辺りは、ちゃんと聞いて置かないとね。
「いや、目の前で出した物だし、何かをする間も無かった。それに、マリスティアを疑ったりはしないよ。有難う。頂くね」
湯呑み(形がね)を受け取り、ゴクゴクと。グリストラは水を飲んだ。(意外に信用されてるんだなぁ、私)
「ふぅ…ありがとう。美味しかったよ」
「いえ、喜んで頂けたのでしたら、私も嬉しいですわ」
そして、このままこの場所に居る訳にも行かず。(忘れかけていたけれど、時間測っているし、次の班が来ちゃうからね!)
私達は、じいちゃん精霊に挨拶をして、風の精霊の試練の間を後にした――…
「マリリン達〜、まったねー!」
…――という、じいちゃん精霊に掛けられた声を背にしながら。
私達(今回はA班で一番最初の班だったんだよね)が帰路に着いている頃――…
「あれれっ? 王様じゃないですかーっ!? 何でここに居るのですかっ!?」
ポンッ、と。軽い音と共に緑色の三角帽子に、白い丸襟が付いた緑の半袖のシャツと半ズボン姿の男の子が石版から現れた。
「おー、おー。小さい坊よ、ワシはもう王様じゃないぞ〜? ところで坊は、ここの担当かのー?」
「そうでしたっ! 王女様が女王様になったのでした! はいっ、ボクがココの担当ですっ! 試練を受けに来た人間の子の魔力を感じたので、やって来ました!」
「ふむー。坊よ、ちーと遅かったの。一番最初の人間の子らなら、もう帰って行ったよ〜?」
「えええっ!? どーしよー?! ボク、お断りしちゃったって事になるのでしょうかー!?」
「大丈夫だよー、坊。ワシが見させて貰ったよ。引退して暇じゃったからな〜」
「あわわわわわ! す、すみませんんん!!」
「なぁに、気にするな。気が向いたから見たまでじゃ〜。じゃが、坊は暫し減給処分じゃなー」
「あわわわわわ!」
「ほれ、次の子らが来たよー? ふむ、若干魔力が弱いね〜…でも、ワシら風の精霊との契約が、初めての契約になる子らのようじゃな。坊よ、出てあげるといいよー。ワシも城にかーえろっかのー」
「坊、しっかりね〜?」
「はっ、はいっ!!」
…――なんて会話を精霊達がしていた事は知る由もない。
ここまでお読み下さりありがとうございます!!




