遅刻
「うわっ!!!なに!?」
野鳥の声が大きすぎて飛び起きてしまった。
体が少しこわばっている。自然の目覚まし時計はちと乱暴みたい。
とりあえず、買っておいたカレーパンを一口ほおばる。
さくり。カレーのスパイスが口中に広がり、
じゃがいも、にんじんがところ狭しと口の中に入ってくる。
おいひい。カレーパンはぼくら人類の味方だ。
一息ついて、僕は身なりを整える事にした。
顔を洗う。
「冷たい・・・・・・」
水道水がとても冷たい。
冷たさで皮膚がきれてしまうとおもってしまうぐらい。
そういえば、以前住んでいたところに比べて少し涼しい。たぶんその影響かな。
今の時期だと前に住んでいた所だったら、水道の水をひねったら生ぬるい、けだるさに満ちた水が出てきただろう。
入居して初めての朝だ。
意味もなくラジオをつける。天気予報をやっていた。
一日晴れで、まさに初夏の天気だそうだ。
ふと居間を見たけれど、リビングにはもちろん何もない。
がらんどう、布団やらはもうすぐ届くと言っていたため、
今日もまたザコ寝になるかと思うと気が重くなる。
チャイムが鳴った。玄関に行く。
これでまさか森さんだったら、驚くよ。
扉を開けたら、そこには例の森さんが立っていたのだ!
嘘でしょ!?
しかも片手にはおいしそうな弁当用のバスケットをもって。
「なんで僕の家を知っているの?」
「家の場所とかも知れ渡っているわ」
ここの村にはプライバシーのプの字もないのか。
「そして、何故ここに?」
「決まってるじゃない、今日学校だもの。ちなみにこれは、お弁当用」
バスケットをフリフリとふる。確かに彼女はかばんを背負っている。
脳のカレンダーは見事に月曜をしっかりと指していた。
初日からか・・・。
「ちょ、ちょっとまって!」
ドタドタと居間に戻り、僕は慌てて服の鞄を開ける。
学校初日はこの白いワンピースを着るのがポリシーなんだ。
制服も届いてないしね。
くるりと回る。ふわりとスカートがあがる。
よし、準備完了!