その7
「それで、明日からどうするんだ?」
結成記念に2人の出会った、酒場へ向かい飲み食いをしている中でルージュがそんなことを聞いてきた。
「とりあえず、お互いLvが30以上になるまではひたすらレベリングですね。8時間はダンジョンに篭って狩りましょう。」
『極寒ダンジョン』の最奥にいるボスはLv35であり、挑戦適正Lvは30以上だと言われている。
「君はLv25だからあと5で、私はLv27だから残り3だな。」
「今日倒した小型の魔物だけだと1Lv上げるのに1週間はかかると思いますから、ひと月半くらいはずっと狩りって感じですかね。」
「まぁ、途中で戦闘不能を重ねられたら効率落ちるんですけど。」
「流石にレベリングの時は代償の少ないスキルを使うさ!」
本当にそうしてくれるならありがたい限りであるが。
「あ、でももっと早くレベリング出来ると思いますよ。」
「む?それはどういう意味だ?」
ここから狩りしかやることのなかったソロ冒険者の知識語りが始まる。
「まずはコレ。アイテム『エクスプポーション』。これを飲めば180分間取得経験値量が15%上がります。」
「へぇ……飲んだこと無かったな。」
「戦闘不能になったらこのバフ消えるんでやられないで下さいね。」
「………はい。」
「次に『固定パーティスキル:固定パーティメンバー経験値獲得量上昇』。これで常に取得経験値量が5%上がります。」
「あ、それは知っているぞ!」
「当然、これもパーティメンバーが2人以上戦闘可能状態でないと発動しないのでやられないで下さいね。」
「お、おう。」
「3つ目は装備『強欲の指輪』。これを付けていれば個人限定ですが、取得経験値量が10%上昇します。ついでにドロップ率も30%上昇します。」
「え、それめちゃくちゃ高いやつじゃないのか?なぜ持っているんだ!」
「これを買うためにずっと貯金していただけです。」
「えぇ……経験値装備のためにわざわざ?」
「4つめに……」
「待て待て!多い多い!そんなに取得経験値にバフかけられるんだなぁって初めて知ったぞ!」
「まだあと3種ほどありますけど。」
「もういい!とにかく効率を上げる方法があることは分かった!」
難しい話はルージュは苦手ゆえ、クロの話を遮ってしまう。
だが、静かになったクロに代わり別の人物がルージュに語りかけてくる。
「経験値取得量上昇バフにおいて最も効果的なのは、職業『アークビショップ』のスキル『エクスサレム』。広範囲領域内での取得経験値量を50%も上昇させる代物である。」
いつの間にかルージュの隣に目つきのキリリとした女性が座っていた。他、見た目は想像におまかせしましょう。
「それが無制限のバフの中で1番上昇量が大きいんですよね。よくそのバフだけをかけてもらうバイトを雇っていました。」
クロは当然そのバフの存在を知っていた。なんなら使ってもらったこともあるらしい。
「知っていて使った事もあるのか。では、話が早い。」
ルージュの隣に座る女性は2人に提案を持ちかけてくる。
「我はヴァイス。『アークビショップ』をやっている。君たちは明日狩りに行くと言っておったな?」
「ならば、我を雇わぬか?経験値取得量は当然だが、長時間の狩りであるならばアイテムよりも回復職がいた方が効率が良いはずである。」
アークビショップを雇った狩りなどしたことないルージュはこれを怪しみ戸惑うが、経験者のクロはすぐに交渉を始めてしまう。
「経験値バフ、回復ありで1時間あたりいくらですかね?」
「マナポーションはそちら持ちで1人あたり3000G。各種バフありなら4000Gである。」
村仕事の時給が平均1000Gであることを考えるととても高い。
「3000Gって、私たち位の冒険者の時給よりやや上じゃないか!」
そんなもの雇ってられん、と叫び散らかすルージュにクロが一言、
「ルージュさん、G獲得量上昇バフって知ってますか?」
この後、効率厨の話を延々と聞かされてルージュは不満ありつつも納得させられ、ヴァイスを雇うことに決まった。




