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#62

4月になり農作業も始まった。少し不安定な天候が続いていたが今日は良い天気だ。


ハァ〜と溜息を吐く。


「どうしましたマリス様」とサバスが聞く。


「分かっているだろう」と拗ねる。そう今日の昼過ぎに辺境伯様御一行が到着する。



昼食を食べてハーブ茶を入れたカップに手を掛けようとした時、コンコンガチャとドアが開く、


「マリス様、辺境伯様の先触れが到着いたしました」とサバス。


ハァ〜と溜息を吐き。準備をするとゆっくりと領主館を出てコルニデに面した門へと向かう。


少しすると騎馬4騎と荷馬車が2台が見えてくる。箱馬車が見えないことから辺境伯様も騎馬なのだろう。


辺境伯一行がライデンの門を通過。ライデンに入る。


辺境伯一行はキョロキョロと辺りを見回して驚いている。まぁ、初めてライデンに来た者のいつもの反応だな。マリスは大きく息を吸うと、


「父上、ようこそいらっしゃいました」と辺境伯へと声を掛ける。


「ああ、出迎えご苦労であった」とは言うが周りが気になるようだ。一行は辺境伯と騎士3人に御者をしている2人の兵士の他に4人の兵士が同行。合計10人になる。


兵士と荷馬車は騎士・兵士待機所へと行き。辺境伯と騎士は領主館へと案内された。


部屋を割り当てた後、応接室で辺境伯と騎士団長アルヴィンと対面する。マリスと辺境伯は向かい合ってソファーに座り、カル爺はマリスの後ろにアルヴィンは辺境伯の後ろに立つ。2人が椅子に座るとハルがハーブティを机に置いて部屋を出る。


「元気そうだなマリス」


「はい、お陰様でなんとかやっていけてます」


「フンっ、見る限りはなんとかというレベルの開拓ではなそうだが?」とマリスを睨みつける。いえいえと手を振りながら、


「いえいえ、なんとかですよ。むしろここまでは考えていたよりは掛かっていますね」


「そうか深く追求はしまい。それはそうと何か色々と隠し事があるようだが」と言い出す。


「なんの事かさっぱり見当がつきませんが」と振り向いてカル爺を見ると、カル爺は横を向く。カル爺め。


「まぁ良い。今回は5日は滞在する。その間にじっくり見せてもらおう」と笑う。


「夕食はここの食堂で用意します。腕によりを掛けて作りますのでご期待ください」と話を逸らす。


夜になり夕食となった参加するのはマリスにカル爺、辺境伯とアルヴィンだ。夕食は和やかに進み。ライデンで作られたハンバーグや唐揚げなどを食べ、キンキンに冷えたビールにライムサワーと大いに飲み。その日は終了となった。


カル爺とアルヴィンは領主館を出て宿の食堂へと向かう。食堂に入ると騒がしい。領都から来た騎士・兵士が開拓民やライデンにいる騎士・兵士と飲んで騒いでいるようだ。


皆が飲んでいる席に近づくと、


「アルヴィン様!」とガロン、ダロス、マッキの元アーナンテの騎士と兵士がアルヴィンに挨拶する。


「おお、お前ら元気か?」とガロン達を見る。少し違和感を感じたが懐かしさが勝って輪に加わり宴会となる。少し時間が経つとアルヴィンはガロンに話しかける。


「ガロン、ライデンはどうだ」ガロンは右手にジョッキを持ち美味しそうにライムサワーを飲む。


「ライデンですか?最高ですね。ここに来させて頂いて感謝しています」と言うがアルヴィンはその違和感に気づく。


「ガロン、その右腕はどうした?」と本来はないはずの右腕を見る。


「これですか。これはマリス様がつけて下さった義手です」とグーパーグーパーとして見せる。そこにダロスが来て、


「アルヴィン様、ここに来させて頂いてありがとうございます」と嬉しそうに話してくる。そうだと思いダロスの足を見るが引き摺る様子はなく、もはやどちらの足が義足なのか分からない。


それに気づくとさりげなく店の中を見て回る。すると色々な所に見たことの無い魔道具が散見される。


宴会も終わり領主館の与えられた部屋へと戻ったアルヴィンは辺境伯のいる部屋へと行く。コンコン、

「辺境伯様」と声を掛けると、


「なんだ。入れ」と返事。中に入ると辺境伯は何やら書類を確認している。


「どうした?アルヴィン」


「はい、ここですが少し秘密が分かったような気がします」


「ん?何か見たか?」と書類から目を離してアルヴィンを見る。


「辺境伯様、ガロンとダロスは覚えていらっしゃいますか?」少し考えた辺境伯は、


「うむ、覚えておる例の騎士の探索が雑で被害にあった騎士だったか」と何かを思い出すかのように宙を睨む。


「そうです、ガロンは右腕を、ダロスは右足を失いました」


「それが?」とアルヴィンを見る。


「はい、ここでマリス様に殆ど本物と見分けがつかない程の義手と義足を与えられたそうです。その他にあの宿の食堂にも酒を用意するだけの為に幾つかの魔道具が使われています」


「マリスめ隠しておったか」と嬉しそうに話す。


「多分ですが隠しているのも魔導具の類では無いかと」


「まぁ、そうだろうな。魔導具のような義手、義足に各種魔導具が秘密にならないくらいの物ということだろうな。明日から楽しみではないか」とアルヴィンを見て笑う。



領主館の執務室では、


「マリス様、アルヴィン様はこちらにお帰りになられて直ぐに辺境伯様の部屋へと入ったようです」


「ああ、こちらでも確認した。まぁ色々と見られたんだろうな」と渋い顔をする。


「どうしますか?」


「どうすることも出来ないな。明日、カル爺と話をして再度何処まで見せるか確認するよ」


「はい、分かりました」とハルは出ていく。


マリスはフゥ〜と息を吐くと、


「なるようにしかならないか」と1人呟く。

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 父親の立ち位置というか。作者がどう描きたいのかよくわからない。 マリスがいない所だと普通に親っぽくマリスにもそれなりに情が見られるのに。 マリスの前になると「フンッ」と鼻を鳴らしたりと…
[気になる点] ガロンとダロスはマリスに本物に近い義手と義足を与えられたけど、教皇が使うエクストラヒールの四肢欠損まで治す魔法の下位互換だから敵対すると思うけどどうするのかな? そもそもミクロにエクス…
[良い点] 主人公の狙いが判らないので興味深い。 [気になる点] 反乱する気なのか違うのか、深読みしただけなのか。 [一言] 兎に角、情報の取り扱いがガバガバにしか見えないのに、今回の視察は妙なほどに…
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