#49
「それでは6人とも此処で雇われると?」
「ハイ、そう考えています」
「そうか、分かった。これからする話は勿論、ヨネン達を護衛をし終わり再びこちらに来てからの話だ。まずはスグロ、ダン、マズの3人は兵士として雇い入れる。但し、普通の兵士としてでは無い。魔法兵士としてだ。将来的には此処にいる騎士カルのような魔法騎士になってもらう」
「魔法兵士に魔法騎士?」
「そうだ、此処にいる3人の騎士は皆4属性魔法を使える。そして兵士5人もだ。アーナンテの騎士全員4属性魔法の使える魔法騎士だ」
「ア、アーナンテの騎士全員がですか?」
「そうなるな、昔はそうではなかったが今では4属性魔法を使えなければ騎士とはなれない」
「私も覚えられるでしょうか?」
「大丈夫だ」とマリスは笑う。
「さて他の者の話をしよう。クロイ、アンナ、ミクロも4属性魔法を覚えてもらう。ミクロには専用の学習をしてもらい、回復魔法の最上位エクストラヒールまで覚えてもらう」
「四肢欠損まで治すという教皇様が稀に使えるという魔法を私がですか?」
「そうだ、ミクロがだ。多分問題なく使えるようになるだろう」と言うとミクロは唖然としている。
「次はアンナだが4属性魔法の他に光、闇魔法も覚えてもらい6属性魔法を使えるようになってもらう。更に複合魔法も覚えてもらう予定だ」
「ろ、6属性魔法に複合魔法ですか?!」
「ああ、こんなふうに」と右手に魔力球を作成しその中に風魔法で乱流を発生させて更に水魔法で細かい氷を複数作成して魔力球に閉じ込めると氷どうしが擦れ合い静電気が発生してパチパチと帯電していく。それを維持して、
「これが複合魔法の雷魔法だ」とアンナに見せる。それをみたアンナは目を剥き愕然と見て、
「か、雷魔法!!凄い」
マリスはその帯電した魔力球を掻き消すと、
「最後にクロイだが特殊な兵士になってもらい、ゆくゆくはその部隊を率いてもらう。詳細はまだ言えないが、まずは6属性魔法を覚えてもらう。どうだ、できるか?」
「オイラが特殊な兵士ですか?それも部隊を任せられると・・・・ハイ!やります!」と元気に答える。
「詳細はヨネンを護衛してから此処に再度戻って来てから伝える。他に何か質問はあるか?」と6人を見るが6人は横に頭を振る。
「分かった。まだ此処にいるのだろうが君たちが再度此処に来てくれるのを楽しみにしている」と言うと6人は頭を下げて部屋を出ていく。
6人は領主館を出ると足を止め振り返る。
「男爵様、何かすごかったな」
「あれで確か7歳だったか?」
「恐ろしいな」
「私がエクストラヒールなんて」
「あの雷魔法なんて見た事も無いのは勿論だけど聞いた事もないわ」
「オイラが部隊長・・」
それぞれがそれぞれの感想を胸に秘め宿へと戻る。
それから3日後、ヨネン達と冒険者6人は帰途に就く。それぞれの思惑を思いながら・・。
「行きましたな」
「そうだな。何事もなく戻って来てくれる事を願うよ」
「そういえばマリス様、ヨネンに何か頼んでいたようですが」
「ああ、あれはな若い錬金術師や鍛治師や木工師、大工、細工師などの製造に関わる者がいたら引き抜いて来てくれと頼んだんだ」
「なるほど」
「これからここは発展していくが人員が全く足りていないのが現状だ。戦闘に関してはカル爺達がいるし、少ないが農耕に関しては開拓民が6家族いる。だが、特産品を考えても作る者がいないからな。そこでヨネンに頼んだんだ」
「そうでしたか」
「出来れば早いうちにアーナンテから独立したいからな」と言い、もう少しで見えなくなるヨネン達を櫓の上でカル爺と共に見る。
ウルーク帝国、帝都ウラルクにある帝城内。
「宰相、ダイノス王国の支配の進行度はどうだ?」
「ハイ、現在はトリスタニア王国国境まで支配が完了しております」
「そうか統治の方はどうだ?」
「多少の反抗はありますが概ね順調に行っております」
「ふむ、そう言えばアーナンテについては何か分かったことはあるか?」
「アーナンテは領地を広げて辺境伯となり爵位を上げております。潜入に困難を極めたモラニデですが今では隣領だった元子爵領の領都に本拠地を移しており警戒も無いことから調査しましたが住人に聞いても何も分かりませんでした。しかし僅かですがアーナンテ3男が名誉男爵位を得ましたが辺境の開拓したばかりの村へと飛ばされたと情報がありました。実質の追放でしょう」
「その3男はどういう者なのだ?」
「住民の話では元モラニデ村出身の侍女が母親で既に死別しております。3男当人ですがスキルは文字化けだったようです」
「そうか、それならただの厄介払いか、他には無いのか?」
「報告しにくい事項なのですが、元々アーナンテの寄親だった伯爵にこちらから接触していたのですが、何かそのアーナンテ3男も絡んだ話なのですが名誉男爵を受けるにあたって元寄親である伯爵に挨拶に行った所で伯爵の長男と揉めて決闘騒ぎとなり伯爵側は騎士20人と長男の21人とアーナンテ3男1人との決闘になり、その21人を1人で打ち破ったと吟遊詩人の物語に謡われるぐらい評判になってまして、それを切っ掛けとして重税を課していた住民が暴動を起こして王国から調査が入り、我々との接触が露見してお取り潰しとなりアーナンテの加領となったようです」
「ふむ、3男はそこまで有能だったのか?」
「いえ、こちらの調査ではあの騎士カルと有能な騎士2人が同行しておったそうで実際はその3人を含めた4人で決闘を行ったのではないかと報告されております」
「そうかあの騎士カルか・・。それならば納得の行く話だな。まぁアーナンテはそこまでで良いだろう。しかし、その伯爵が下手を打ったのは痛いな」
「そうです。弱体化どころか強化させてしまいました」
「数年は様子見でこちらも元ダイノス王国領の整備と軍備拡張しよう」
「はっ畏まりました」
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