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#25

アラームの音で起床。おはようございます。


短剣を持ち広場で丁寧にゆっくりと型をなぞるように振っていく、じんわりと汗が滲んできたところで終了。朝食を食べる。


今日は午前中は探索だ。楽しみである。


広場に行くとカル爺とアルカス、マルスが待っていた。


「待たせたか?」


「いえ、我々も集まったばかりです」と装備を確認して村の外へと歩き出す。今日は槍とズタ袋を背負っている。袋の中身は空だ。収納は使わずに採取する。


森の中に入っていくとそこには手付かずのハーブや果物、香辛料などがタワワに生っていた。ふと目に魔力を多く循環させるとモラニデ村周辺より濃い魔力が木に植物に宿り地面から魔力が立ち昇る。これは凄い。植生も相変わらず謎だ。


カル爺に植物採取はしないのか聞くとしないと即答された。どうやら村人や開拓民は基本的に森には入らず危険を冒さないという。他の地域では森に入る地域もあるがこれほどの魔力があるということもなく、魔物も生えている植物も少ないという。


これほどの物があるのは辺境ならではなのだろう。


オリーブ、胡椒、アケビ、ローズマリー、タイム、セージ、クミン、パプリカ、ライム、リンゴ、ブドウ、ブルーベリーと豊かだ。なんとバナナまであった。他には自然薯、山葵、からし菜、唐辛子、シメジ、椎茸と種類も多い。


魔力の豊富な土は作物の実りが良く連作障害もないと聞く。そのために無理してでも開拓することで耕作面積を増やしているのであろう。


その土地の気候に関係なく何でも育つようだ。


マリスはカル爺たちが呆れる程嬉々として採取しまくった。勿論気付かれないように収納へも採取している。


ムクロジも発見!大量に生っていたのでコッソリ収納に熟している物だけを採取した。これはモラニデ村に帰ってからも探してみよう。


かなりの範囲を駆け足で周りマッピングも捗った。もうレベルが上がりそうな程だ。


お昼過ぎに村へと帰り、遅めの昼食を食べ、夕食は採取したものを使いマリスが開拓民の手伝いの元、料理することなった。


下拵えをしながら採取してきた物の使い方を教えていく。オリーブオイルの搾り方やハーブ、香辛料、胡椒の乾燥の仕方や使い方まで丁寧に教えた。浅い所で採れるハーブや胡椒は使い易いのでお勧めした。


食料庫にあったニンニク、玉葱を水魔法で乾燥させて細かく粉状にする。ハーブ類、香辛料も乾燥させて粉末に。


それらから塩、ニンニク、胡椒、タイム、玉葱の粉末を適当にブレンドしてフォークで穴を開けたラッシュボアの肉とラックバードの肉に揉み込んで置いておく。


スープは椎茸とシメジ、玉葱とラッシュバードの細切れで作り、最後に塩、胡椒で味を整える。


ラッシュボアの肉は厚切りのステーキだ。大きめのフライパンで全面に焼き目を付けていく。ジューっという肉の焼ける音と共に暴力的な肉の香りが漂う。


料理ができるまで見ている騎士達は思わず唾をゴクッと飲み込む。


竃の上に魔力のオーブンを作成してラッシュボアの肉に火を通していく。


もう一つの竃でラックバードの肉も焼き始める。焼き目がついたところでこちらも魔力オーブンに入れて火を通す。


焼き上がったラッシュボアステーキを切り分けてスープと共に出す。


「先に食べていいぞ」と言うと皆一斉にラッシュボアステーキに群がる。


ラッシュボアのステーキを口に入れた瞬間。肉汁が溢れてその味を様々な香辛料が味に彩りを与える。肉は口の中で溶けるように消えていく。


「う、美味いなんてものではない!」と思わずカル爺は叫ぶ。アルヴィンや他の騎士、兵士も同様で先を争うように食べている。


追加で4度程焼き、自分の分は少し取り分けて食べる。


うん、美味いな。スープも飲むと椎茸の出汁が効いていてこちらも美味い。


もう食べ終わったカル爺や騎士と兵士達は明日モラニデ村へ帰るので一杯やるようだ。持ち込んでいる酒はドワーフが作った度数の高い火酒と言われるものでこれを少量持ち込んで水で割って飲んでいるようだ。


そこにカットしたライムを持っていく。


「カル爺良いか?」とカル爺のカップに氷を作成。そこに火酒を入れ水を注ぐ。更に風魔法で二酸化炭素を封入。シュワっという音と共に炭酸になる。


最後にカットしたライムを絞り入れる。完成、ライムサワーかな?それをカル爺に渡す。少し考えたあとカル爺はカップに口を付けて飲み始めると途中から目を見開いて飲み、


「ぷはぁー!これは美味しいですな!スッキリとしてシュワッと口の中で弾けますな」とゴクゴク飲む。


その後は二酸化炭素と氷の作り方を教えてキッチンへと戻る。カル爺達の座る机では皆カップを持って何やら唸っている。


竃に鍋を乗せて絞ったオリーブオイルを入れる。そこに食料庫に大量にあったジャガイモをカットして揚げていく。カットポテトだ。


大皿に盛り付けて塩をまぶしてカル爺達のいる机に持っていく。


そこには全員ライムサワーを作ることに成功したらしくゴクゴクプハァ〜と豪快に飲んでいる。美味そうだ。


「マリス様、この芋も美味しいですね!酒のつまみに最適です!」とホクホクパクパクとみんな手を付けていく。


マリスも空いている席に座りライム炭酸水を作り一緒に話の輪に加わり夜は更けていく。


カル爺達はまだ飲んでいるようなので先に寝ることにする。勿論、魔力枯渇は忘れない。



マリスが去った席では、


「マリス様は何か色々と凄いですね」と騎士マルス。


「そうだな。今まで色々とあったが、それもご自身の力で跳ね除けている。大したものだ」としみじみアルヴィンは言う。


「マリス様は成人すれば男爵領から出て行くであろうな」


「・・・出来ればマリス様が後継に成られれば・・・」と言うアルカスの言葉を遮り、


「マリス様が出て行かれるとしても今すぐでは無い。それまでは我らで協力してお守りしよう。先のことは分からぬ故な」と目を瞑りながらカル爺は言うと皆揃って頷く。



お読みいただきありがとうございます。


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