#23
それから暫くすると巡回に出ていたカル爺、アルヴィンと兵士達が帰って来た。ラッシュボアが取れたらしく開拓民に渡している。今日の夕食はラッシュボアかな、楽しみだ。
やはり夕食はラッシュボアだった。塩を振り焼いただけだが美味い。ラッシュボアって飼育できないかな?無理か・・。
夕食が終わり食堂で出されたお茶を飲んでいるとカル爺、アルヴィン、アルカス、マルスが1つの机に集まり何やら話している。まぁ巡回の様子や予定の擦り合わせだろうと目を逸らす。
すると少しして、
「マリス様少しよろしいですか」とカル爺。その後ろにアルヴィンと申し訳なさそうにしている騎士アルカスとマルス。
「良いぞ」と答えるとカル爺は応接室へと歩いていく。ランプに火が灯されている応接室に入るとアルスとロストもいた。
「マリス様、お座りください」と言われて3人掛けのソファーに座る。カル爺は向かいに座り、横にはアルヴィンが座る、後ろに騎士2人とアルス、ロストが立っている。
「なんだいカル爺」と聞くと、
「マリス様にお聞きしたいことが、今日ですな、巡回から帰って来ましたところ、アルカスとマルスが素振りをしてまして、その素振りの剣速が昨日よりかなり良くなっていましてな。どうしてか問い質した所、話せないとマリス様に聞いてくれの一点張りでした。今日、一緒にいた筈のアルスとロストに聞いてもハッキリせず、こうしてマリス様に直接聞くことになったのです。」
「フフ、そのことか。まずはアルカス、マルスそれにアルスとロスト黙っていてくれてありがとう」そう言うと4人は目を見開き姿勢を正して当然ですと言う。
「簡単に言うとアルカスとマルスに魔力操作と魔力感知を覚えてもらって身体強化を底上げした」
「魔力操作と魔力感知を覚え、尚且つ身体強化をさらに強化したと・・俄には信じられませんが・・アルカスとマルスが強化されているのを見ると真実なのでしょうな・・」
「カル爺とアルヴィンならすぐに覚えて使えるんじゃないか?」と言ってアルカスとマルスに教えたように手解きする。
するとすぐに魔力を感知して魔力循環を始めて歩き出して5分すると明らかに循環が滑らかになる。そこで、
「ステータスを確認してくれ」というと2人は確認して魔力操作と魔力感知が取れていることを確認した。これにはカル爺もアルヴィンも驚いていた。普通はスキルを得るには剣術、槍術などのスキルがレベルアップしたときに補助スキルとして得られるもので、ましてや魔術・魔法スキルを持っていない物理攻撃スキルしかない者が魔力操作や魔力感知を得るなど聞いたことが無いと言う。
「これは教えても良かったのですか?」と聞いてくるが、
「僕にも打算があったんだ。これは単純なことでなくて、新たにスキルを得るために必要なことを何か知るために必要だったんだ」
「それが分かったと?」
「そうなんだ。魔物を倒していくとレベルが上がるだろ。それは魔物が持っていた存在魔力を倒した者が吸収して、それが貯まるとレベルアップするんじゃないかと思うんだ。魔法で水や石を作ってもすぐに術者が消さない限り消えないし、時間が経つと術者にも消せなくなる。これは、この世界は魔力で成り立っているんじゃないかと思うんだ。だからスキルを覚える時に魔力を介在させて魔力に働きかけることで、その動作ややっている事を魔力に覚えさせることで、この世界に認めさせる。これがスキル取得となるのではないかと考えたんだ」
「そ、それは」
「そうだよね、信じられないよね。もう少し試してみようか?カル爺、もう魔力循環できるよね。じゃあ魔力循環して目の所に多く魔力を循環して見て」カル爺が魔力循環を始めて目に多くの魔力を注いでいくと、
「これは!」カル爺の目にはあらゆるものに魔力が宿り、魔力で輝いている世界だった。他のアルヴィン、アルカス、マルスも同様に魔力循環しつつ目に魔力を込めていく。それぞれ、
「これは!」「なんと!」「凄い」と言っている。
「次はこれを見て」と右手の上に魔力球を作り出す。
「4人ともこれが見えるよね?魔力操作を使って手の平の上に同じく魔力の球を作ってみて」
4人はそれぞれ唸りながら魔力の球を作るのに試行錯誤していく。この間、アルスとロストはなんとか魔力操作と魔力感知ができないか唸っている。
「アルス、ロスト。ちょっとこっちに来てくれるか?」と2人を呼ぶ。
まずはアルスの左胸に手を当てて魔力を流し込んで行く。
「アルス。身体強化を使って見て」
「はい」と身体強化を始める。
「止めて。どう?心の臓の近くに魔力を感じない?」
「は、はい分かります!!」と次はロストにも同じようにすると魔力を感じることが出来た。これで暫く魔力循環すれば良いかな。
30分もするとカル爺が手の平に魔力の球を作成成功。その後は次々に成功させて4人とも魔力球を作ることが出来た。
「じゃあ、カル爺。その魔力球を水をイメージしてから魔力球を水に変換してみて」と言うとムムムと言いながら唸ること5分で魔力球は水に変わる。その後アルヴィン、アルカスは水に変換できたがマルスは出来なかった。落ち込んでいるマルスに、
「マルス。落ち込むことはない。多分だけど、後にはできるようになるよ」と言うとパァと明るくなる。
それから風、土、火と属性変換を試すとカル爺は水と風、アルヴィンも水と風、アルカスは水と土、マルスは風と火に適性があった。
それぞれが魔力が少なくなるまで試し、ステータスを確認すると、それぞれに適性のあった魔法が取得できた。
「こ、こんな事が」とカル爺とアルヴィン、騎士2人は驚く。
「これで信用してくれたかな?」
「はい、もちろんです」とカル爺。他の面々も頷いている。
「じゃあ最後に」と言うとまだ有るのかと見てくるが、
「今回目に魔力を多く対流させた訳だけど、夜そのまま歩けば多分“夜目”のスキル、昼間に遠くを見れば“遠見”のスキル、下半身ならアルヴィンの持つ“縮地”スキル、上半身か腕なら父上の持つ“剛力”スキルが生えるかもよ」
と言うと絶句している。
「もちろんあくまで可能性だけどね」
「マリス様、この事は男爵様と話し合い秘匿します。勿論ここにいる者は誰も喋りません」と他の面々をみると全員頷いている。
良かった良かった。という事で今回はここまでで寝ます。5歳児には夜はキツイ。勿論魔力枯渇は忘れない。
おやすみなさい。
お読みいただきありがとうございます。
章管理始めました。え〜と最近気が付いた機能とかで使いたかったからではありません。多分・・。
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