Recollection-71 「目覚める古豪」
「せせ先生!!サニカ先生⁉︎きて来て下さい!あ、あ、あの人の意識戻りました!」
ファンフィルザがパタパタと診療室に駆け込んでくる。
「!、、そうか、話せるかどうかは別として、アトレイタス様に報告するよ。吃り上手、直ぐに伝書用意して!」
「わか、分かりましたヒドい!!」
パタパタと奥の部屋へ行き、紙に必要事項を書き込む。
「でで、で、出来ました!」
「ありがと。さ、ヒース頼んだわよ!」
長毛の黒猫のヒースの首輪に付けられた筒に伝書を入れ、尻尾の付け根をポンポンと2回優しく叩く。
尻尾をツンと立て、外へ駆け出す伝書猫のヒース。
「これでまた禁酒期間が延びちゃうわ、、。さて、様子を確認しましょうか。」
奥の、入り口に鍵が3箇所に付いた部屋。中からは開けられない様になっている。
3箇所の鍵を外し、サニカは中へと入った。
「、、、調子はどう?話せる状態じゃないかしらね、、。」
寝床の横にある椅子にどかりと座り、背もたれを前にしてそこへ両腕を置くサニカ。
「、、、、、ここ、、は、、、、。」
青白い顔で以前よりもかなり窶れたが、白髪混じりの口髭は伸びていた。
「、、、あなた、とんでもない事したわね?、、もう帰る場所も無くなったみたいだし。、、あのままアトレイタス様に殺されていた方がマシだったかしらね?」
サニカは今し方目を覚ました怪我人に情け容赦ない、辛辣な言葉を吐く。
「ア、、アトレ、、、、イタス、、、あの、た、、、隊長さん、、、か。」
「そ、あの隊長さん。本当に、、殺されてくれればよかったのに、、、あなたの所為で、、、あなたの所為で何人戦死したと思ってるのよ!⁉︎」
ガアァンッ!
サニカは立ち上がり椅子を蹴り倒した。幾人もの怪我人を手当てし、幾人かを看取り、そしてこの世を去る者達を見送っていた。
その怒りと悲しみ、辛さを、目を覚ました張本人にぶつける。
「、、、、すま
「謝らないでよ⁉︎謝る位なら、最初から戦争なんて起こさなければいい、、、出来るなら私があなたを殺してやりたい、、、だけど、、、それはしない。」
ツカツカとサニカは寝床に横たわるシニスタラム生まれの元軍隊隊長に詰め寄る。
「あなたは、残りの人生をその隻腕をもって生きて。無くした右腕を見るたびに後悔し、懺悔し、罪を感じて生きていくのよ。あなたが死にそうになったら、私が必ず助けてあげる。そしてまたその罪を感じ続けられる様に生き長らえさせてあげるわ。それがあなたの背負った業よ。」
「、、、、、。」
エリーナ・ゴメスはこの時何を思っただろう。
サニカの言う事は至極当然だった。何もしていない国に乗り込み、殺し、奪い、我が物にしようとしたのだから。
「、、、お腹、空いてない?何か食べられそうなら食べて。」
サニカは背を向け部屋を後にしようとする。彼に医師として栄養を摂ってもらい、殺したい程生かしたいのだ。
「、、、すまなかった、、。」
エリーナの弱々しい謝罪に、サニカは再度吠えそうになった。私に謝っても亡くなった者達への弔い、謝罪にはならない、、、二度と還ってはこない。
しかし、それはやめた。何故ならこれから彼には罪を償う為の、その身を賭した日々が待っている事を知っていたから。
殴られ歯が折れようが、生かす。
石を投げられ眼底下骨折しようが、生かす。
刃物で抉られ内臓を損傷しようが、生かす。
拷問を受け、双眸を潰されようが、生かす。
死ぬまで、生かす。
死ぬまで、死ぬ事を許さない。
エリーナ・ゴメスには、その身を以て贖罪してもらう。
「、、、リンゴでいいわね。」
バタァン!
入り口を力強く閉め、その場を去ったサニカ。
外で話を聞いていたファンフィルザは何も言えずに立ち尽くしていた。
「、、、ファンフィ、リンゴ擦ってもらっていい?、、、彼は絶対に死なせないからね。」
怒り肩で早歩きになりながら看護助手に伝える。怒りを噛み殺して、平静なフリをしていた。
「、、、はい、サニカ先生、、、。」
2人は徹底的に、死ぬ気でエリーナを回復させる事に尽力する。
トッ トンッ トッ、、、
時を同じくしてコーポリス国の北、カプット国の普段は人など足を踏み入れない様な深い森の中に1人の男が木の上を渡っていた。
(I'm almost threre I guess. where,where,where,,,oh,find it.)




