十三話~再びの漂着~
ぼちゃん、と音がなりユウとカオスが着水した。
全知全能の神だったさっきの世界に比べて、この世界では驚くほどに惨めである。
「てか、どんどん流されてないか?」
「そのようじゃの」
と波間に揺られながら互いの様子を確認するが、なにぶんユウとカオスは疲弊していたので体を浮かせることしか出来ない。
小一時間程も漂っていると徐々に岸が近づいてきた。
浅瀬に来たので、水を吸って重たい体を引きずりながら浜辺にたどり着いた。
「ここは…何処だ…?」
この島にたどり着いた時の既視感を感じながら、辺りを見渡すと一軒の小屋があった。
「取り敢えず道でも聞くか」
とつぶやき、その小屋の扉を叩いた。
中から出てきたのはミアと雰囲気のよく似た少女だった。よく見ると腕に羽毛のようなものが生えている。
「あの~すいませんが…海流に流されてしまいまして…もしよろしければ南の街への行き方を教えていただけると嬉しいのですが。」
「はぁ…南の街ですか…歩いて3時間程だと思いますが、道中は危険な魔物も多いですし今日は泊まっていった方が良いでしょう。」
「い、いいのですか?」
「えぇ、私も話し相手が欲しいのですよ」
「そ、それなら」
と挨拶を交わし、自己紹介をする。
目の前の少女は魔人族のミキというらしい。
夜、この島について様々な事を話していると、相手はこの島に来て何年も経っているようで色々な知識を持っていることが分かった。
話によるとミキは魔王直属の騎士だったそうだが、悪政に嫌気がさして引退、今はこの誰もたどり着かないような奥地で隠遁生活をおくっているのだそうだ。
ならば、と思って魔王討伐の申し出をしてみると最初は驚いていたが「少し考えさせてください」と言って黙ってしまった。
何となく気まずい雰囲気が立ち込めてしまったので、その夜はお開きとなった。
次の朝、ユウは轟音で目を覚ました。
「何があった?」
とカオスに聞くと、
「どうやら魔獣のようじゃの、ミキの中の悪魔が呼び寄せたみたいじゃ。今はミキが倒そうとしている。」
「ちょっと待て」
と言って、宇宙創造の時に創ったスーツとショットガンを持って外へ向かう。
扉を開けると、そこには巨大な蛇が三つの大口を開けて巨大な翼を開いていた。
ミキは懸命に魔法を放っているが、効いている様子はない。
「あれはなんだ!?」
「アジ・ダハーカ、ゾロアスター教で魔獣とされている有翼の蛇じゃ…しかし最悪かも知れん。もしかしたらクラーケンよりも強いかもしれん。あの娘…もしや…」
「マジか…」
そんな事を話している間にも首や尻尾を振り回して攻撃してくる。
試しにショットガンを撃ってみるがウロコに阻まれてしまう。
「これは…マズイな。おい!!ミキ!」
しっぽを避けきれずに攻撃を食らってしまったミキがこちらへ吹っ飛ばされてくる。
受け止めきれずに吹っ飛ばされたが、なんとか衝撃を吸収する。
「ユ、ユウさん…逃げてください…」
「お前をこんなやつの前に置いていけるか!!取り敢えず、ココから逃げるぞ。」
と肩を取って逃げようとするが、凄まじいスピードで追ってくる。
「こ、この先に崖があります。そこにつき落とせれば…」
「翼が生えてなかったか…?」
「さっきの魔法で翼に大穴を開けました。翼は使い物にならないはずです!!」
「よし!その作戦で行こう。」
「あと、魔力が回復したので飛べると思います。」
「俺も連れていけるか?」
「えぇ、恐らく…」
と言うと、持っていた杖を振ると身体が浮かび上がる。
「飛行魔法はあまり長い間使えませんので最短距離で行きます!!よく掴まっていて下さい!」
と言うやいなや、飛んできた尻尾を避けるように飛び上がって、木の上を越えて遠くからでも視認できるほどの裂け目に向かう。
ただ、どんどん高度が下がっていく。
それにつれてミキの顔が歪んでいく。
着地の瞬間、最後の力を使い果たしもつれるように軟着陸した。
蛇とドラゴンのあいの子みたいな怪物が木をなぎ倒しながら向かってくる。
「ちょっと待て…これは…まずいんじゃないか…?」
「え、ええ…」
魔獣が大きすぎて避けられな位置に来てしまっていた。
大口を開けた三つの顎が迫ってくる。
その瞬間、脳にカチッという音が響く、最適解が視えた。
考えを読んだカオスが俺の考えを実行に移す。
次の瞬間、俺は叫んでいた。
「ミキ!翔べ!」




