表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/10

## 第一話 ### 「君は、一人じゃない」

# 『火竜と水竜に選ばれた僕は、いじめられっ子から世界最強の英雄になる』


## 第一話


### 「君は、一人じゃない」


「おい、湊!」


バンッ!!


机が大きな音を立てた。


教室中に笑い声が響く。


「また本読んでるよ。」


「陰キャって感じ。」


「キモい。」


誰も止めない。


先生も見て見ぬふりだった。


僕――**天野湊**は、ただ黙って本を拾う。


(……慣れた。)


毎日同じ。


悪口。


笑い声。


無視。


「学校って、こんなにつらい場所なんだ。」


帰り道、空を見上げる。


雨が降り始めていた。


「……消えたいな。」


その言葉が口からこぼれた瞬間――


ゴォォォォン!!


空が真っ赤に染まる。


雷ではない。


空そのものが割れた。


「え……?」


眩しい光が湊を包む。


「うわあああああ!!」


世界が回る。


風が叫ぶ。


体が宙に浮く。


そして――


ドサッ!


「いったた……。」


目を開けると、そこは見たこともない森だった。


巨大な木々。


青く光る花。


空には二つの月。


「ここ……どこ?」


その時だった。


ガサガサッ!!


茂みが揺れる。


「グルルル……。」


現れたのは、体長三メートルはある黒い狼。


真っ赤な目。


鋭い牙。


「ま、魔物……?」


狼が飛びかかる。


「ひっ!」


逃げられない。


終わった――。


そう思った瞬間。


ドォォォォン!!


炎が空から降ってきた。


黒狼は一瞬で吹き飛ぶ。


「へ?」


空から降り立ったのは――


真っ赤な髪の少女だった。


腰まで伸びた炎のような髪。


金色の瞳。


笑顔がまぶしい。


「間に合ったー!」


彼女は胸を張る。


「私は火竜フレア!」


「最強だから安心して!」


「……え?」


次の瞬間。


ザァァァァッ!!


優しい雨が降る。


空気が静まり返る。


湖のように澄んだ青い髪。


青い瞳。


白いローブをまとった少女が、静かに歩いてきた。


「もう、フレア。」


「森を燃やさないで。」


「細かいこと気にしないの!」


「気にするわ。」


二人は顔を見合わせる。


そして――


「あなたが悪い!」


「そっちでしょ!」


いきなり口げんかを始めた。


「え、えぇ……。」


さっきまで命の危機だったのに、その光景があまりにもおかしくて、湊は思わず笑ってしまった。


「ふふっ……。」


その笑い声に、二人はぴたりと動きを止める。


「笑った!」


「この子、笑えたのね。」


湊は慌てて口を押さえた。


「ご、ごめんなさい!」


「どうして謝るの?」


青い髪の少女が優しく尋ねる。


「え……?」


「笑うことは悪いことじゃないわ。」


その言葉を聞いた瞬間。


湊の胸が熱くなった。


学校では、笑うことさえ忘れていた。


「私は水竜セレス。」


彼女はそっと手を差し伸べる。


「あなたの名前は?」


「……天野、湊。」


「湊。」


フレアがにっと笑った。


「いい名前!」


「ねえ、湊。」


「私たちの契約者にならない?」


「えっ?」


セレスが静かにうなずく。


「普通は、一人につき一体の竜しか契約できない。」


「でも……。」


二人は同時に湊を見つめた。


「あなたなら、私たち二人と契約できる。」


その瞬間――


森全体が震えた。


ゴゴゴゴゴ……。


空が黒く染まる。


遠くの山の向こうから、巨大な黒い翼が姿を現した。


その翼は、一度羽ばたくだけで雲を引き裂くほど大きい。


フレアの笑顔が消える。


「……来た。」


セレスの声も震えていた。


「闇の皇竜。」


湊は息をのむ。


「あれが……?」


黒い竜は、まるで世界そのものを見下ろすように咆哮した。


**グオオオオオオオオオォォッ!!**


その一声で、森の木々が大きく揺れる。


フレアは湊の前に立ち、炎をまとった。


セレスは静かに杖を構え、水の壁を生み出す。


「湊。」


「あなたの人生は、今日から変わる。」


「もう、誰にも『弱い』なんて言わせない。」


湊は二人の手を見つめる。


学校では誰も差し伸べてくれなかった手。


今、その手が自分を必要としている。


ゆっくりと、湊は手を伸ばした。


「……僕。」


「強くなりたい。」


その瞬間、赤と青、二つの光が湊の体を包み込む。


伝説が、静かに始まった。


---


### 次回予告 第二話


**「火竜と水竜、まさかの大ゲンカ!?」**


契約した直後から始まるフレアとセレスの大騒ぎ!

さらに、湊の体に眠る「二竜に選ばれた理由」が少しずつ明らかになっていく。


笑いあり、バトルあり、そして心温まる異世界冒険が本格的に幕を開ける!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ