表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

258/284

258:ラス・イコメク-3

「此処がラス・イコメクとの戦いの場……」

「馬に乗っていても問題ない広さだな」

「ま、これくらいの広さはないと、レギオンボスと戦うのは無理だよな。そりゃあ」

 三つ目の層は石造りの壁に囲われた荒野。

 二つ目の層から移動してくるための茨で出来たゲートが複数個と、LISBたちを葬るために設置してある茨の絨毯を除けば、緑はまったくない。

 空は一応外の時刻に合わせた晴天の空が広がっているのだが……ちょうど夜明け前なので、月も太陽も壁の向こうに隠れかけている。


「さて、始めましょうか」

 私は三つ目の層に既に入っている二人の私と合流。

 これ以降、エオナ=トレインはゲートの操作と特別面会区全体の維持に専念し、戦闘は私ことエオナ=フィーデイとエオナ=ライブラリの二人が担当することになる。

 そして、ゴトスたちが予定通りの初期配置になったところで始める。


「魔鬼王ラス・イコメクの封印解除を始めます」

 エオナ=ライブラリが『エオナガルド』産の素材100%で作成した杖の柄を荒地に突き立てる。

 すると突き立てた場所を中心に蘇芳色の光を放つ巨大な魔法陣が展開される。

 スィルローゼ様謹製の特別な封印の魔法陣だ。


「可能な限り弱体化を進めた上で出現するようにしますが、向こうの正確な状態は分かりません。よってゲーム時代の物よりも危険であり、場合によってはリスポーンできない可能性も踏まえて立ち回ってください」

 私は軽く肩を回し始め、関節の調子を確かめる。

 スィルローゼ様の代行者として、正規の手順を踏まずに封印を破壊することについて思うところが無いわけではない。

 だが、スィルローゼ様の信徒として、排除する手段が存在していて、封印の維持が困難であるならば、封印の対象の排除は止む無しであるとも考える。

 そして、排除あるいは無力化が出来なければ世界が滅びる以上、見過ごすも逃げ出すも論外である。


「来ましたね」

「「「!?」」」

 魔法陣にヒビが入る。

 地面が揺れ、空気が波打ち、濃密な死の気配が撒き散らされていく。

 その頻度と強さは少しずつ増していき、これから現れる者の強大さを示している。


「ーーーーー!」

「腕が……」

「出てきた……」

 やがて封印の端の方を突き破る形で黒い人の腕の骨のようなものが飛び出してくる。

 だが、その大きさは明らかに手だけでも成人男性ほどの大きさがある。


「これが……ラス・イコメク……」

「レギオン・ボスの一体……」

「ははっ、オリジナルも戦ったことが無いってのにな……」

 対を為す腕も封印を破って出てくる。

 そして、二本の腕を利用して、黒い骸骨の上半身が現れる。

 その姿はサイズと色を除けば、基本的には人の物と変わらない。

 だが、その額にはラス・イコメクが鬼である事を主張するように、長い二本の角が生えている。

 そうして私たちが見守る中でラス・イコメクは下半身も封印の外に出そうとするが……


「gsdhjkxw!?」

「それ以上は許しません」

 ラス・イコメクの全身に紫と蘇芳色の電流が走り、その動きを阻害。

 更に破壊された封印が修復されていくことによって、ラス・イコメクの下半身がこちら側に出てこれないようにする。

 うん、エオナ=ライブラリはいい仕事をしてくれた。

 これで相手の機動力は否応なく削がれる。

 同時にラス・イコメクもこれ以上こちら側に出てくることは不可能と悟ったのだろう。

 口を閉じつつ軽く仰け反る。

 さて、戦闘開始である。


「ーーーーーーー!!」

「「「!?」」」

 戦闘開始であるからこそ、予想通りにラス・イコメクがバフ解除の咆哮を放つ。

 同時に三つ目の層全域を対象にドレインフィールドを形成し、そこに居る全ての生物からHPを奪い取り始める。


「きfvcくえzh!!」

 そして、咆哮の単純な衝撃から立ち直れていないゴトスたちに向けて腕を振り上げ始める。

 だから……


「そんな手を許す気は無いわ」

「!?」

 私は今まで継続ダメージ源としてLISBたちを葬っていた茨の絨毯と融合すると、ラス・イコメクの上半身と同じサイズの私を形成。

 ラス・イコメクの手と私の手を噛み合わせ、正面から抑え込む。


「全員行くわよ!」

「戦闘開始だ!!」

「「「おおおおおぉぉぉぉ!!」」」

 二つ目の層に繋がるゲートが開かれて、キャッサバ率いる第二チームとリナマリン率いる第三チームが十分なバフがかかった状態で入ってくる。

 ゴトスたちも消されたバフをかけ直し始め、かけ終わると同時にラス・イコメクに向かっていく。

 エオナ=ライブラリもドレインフィールドに対抗するための自然回復魔法と、バフの延長を中心に進めていく。


 そう、レギオンボスは96人と言う桁違いの人数で戦う事を想定したボスである。

 そして、この96人は非戦闘メンバーからの補助を含めたアイテムと魔法によってレイドとは比較にならない……それこそPTで掛け合う時の100倍近い程に強烈なバフを相互に掛け合っている。

 そんな強烈なバフがかかった攻撃を受ければ、レギオンボスと言えども一溜まりもなく、ゲームとしてもつまらないものになる。

 だから、レギオンボスの初手はエリア全域を対象とした、普通の方法では解除不可能のバフすら吹き飛ばすバフ解除攻撃となる。

 私たちはそれを逆手にとって、バフ解除を受けるのをゴトスたちのチームに限り、他のチームは受けないようにした。

 相手の初撃も、私が力業で抑え込むことによって、立て直す時間を作った。

 これで、一番危険な最初は凌げる。

 そう、最初は、だ。


 この程度で攻略できるほどレギオンボスと言うのは甘くない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ