↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/284

201:いざクレセートへ-1

 翌朝。

 私、ルナ、サロメ、メイグイ、シュピーの五人は、それぞれの乗騎に跨るとフルムスを出発、クレセートに向けて移動を開始した。

 したのだが……


「なーにも起きないわねぇ……」

「当然だろう」

「当たり前でしょ」

 ぶっちゃけ、何も起きないので至極暇な旅路に現時点で既になっている。


「ここはフルムスとクレセートを一直線に結ぶ上に、整備も一番されている街道ですからね。何かが起きるとしたら、通行人同士の揉め事か、周りの平原からモンスターが迷い出てくるくらいだと思いますよ」

「まあ、そうよね……」

 当然と言えば当然なのだろう。

 メイグイの言うとおり、此処は主要な街道。

 こうして私たちが足並みを揃えて歩いている今も、クレセート側から来る人とすれ違ったり、フルムスの側から来た人が追い抜いて行ったり、付かず離れずといった具合で前後を進む人が居たりで、常に人目がある。

 もしもこの場で何か事を起こそうと考えるならば、全てが露見する危険性ぐらいは考慮して然るべきだし、それならば手を出さないという判断のが妥当にもなるだろう。


「と言うか、暇なのはアンタだけよ。私なんかは……ととっ、馬の制御でまるで気が抜けないわよ」

「落ち着いてくださいね。シュピーさん。慌てなければ大丈夫ですから」

「それは、分かってる……けど」

 なお、メイグイたちと違ってシュピーは馬に乗り慣れていないらしく、その扱いには苦労しているようだった。

 まあ、この先も考えたら、慣れてもらう他ない。

 スリサズに跨って、いや、寝転がっている私としてはそう言うのみだ。


「大変そうねぇ……」

「エオナ、最低限の警戒ぐらいはしておいたらどうだ?」

「最低限の警戒はしているからこそのだらけ具合だから、そこは安心してちょうだい」

「だといいんだけど」

 サロメが私の言葉に呆れた様子を見せる。

 だが私はちゃんと周囲の悪意と叛意を感知するという方法で、警戒は怠っていない。

 有効射程は地平線の向こう側までで、その範囲内ならば人間もモンスターも感知しているし、それらが誰かを襲うと言う思考や態勢が生じた時点で確実に分かる。

 特に自分の都合で誰かを殺そうとする意志などは確実に感知出来てしまう。

 よって、不意打ちの心配は皆無と言っていい。


「それにしても、今更な話だけど、どうして私が今回のメンバーに加えられているの?ルナ巡礼枢機卿様」

 と、ここでシュピーが自分が今回のメンバーに加えられた理由をルナに尋ねる。


「理由か。一言で言ってしまえば、ミラビリス様の覚えがめでたいから、だな」

「覚えがめでたい?」

「『悪神の宣戦』直後、ミラビリス神殿がフルムス内で数少ない安全地帯に出来たのは、シュピーの尽力があってこその物だと聞いている。これは、私たちの側でも、クレセートのルナリド神殿でも確認してある事だ。そんなわけで、教皇様直々の指名でもある」

「……。なるほど」

 シュピーが選ばれた理由は……まあ、大体はルナの言う通りだろう。

 だがそれだけではない。

 メンシオスの一件での度胸強さや、ファシナティオの拷問でも折れなかった心の強さ、それに……これは向こうについてからの話になるが、向こうで必要になるであろう冷静さや論理性なども考慮に入れてあるだろう。

 なにせ、今のクレセートはルナリド様を以ってきな臭いと言わせる状況なのだから。


「……」

「何の目だ?」

「何でもないわ」

 なお、このクレセートがきな臭いという話は、しばらく前にルナにはした。

 ルナの協力者であるケッハメイ枢機卿にも伝わっている。

 そして、二人の調査の結果として、具体的にどうこう言い表す事は出来ないが、確かにきな臭いというか悪い空気と言うか、とにかくそう言うものがクレセートに漂っている事は確認できている。


「そうだな。一応改めて言っておくが、クレセートではエオナ以外は単独行動は厳禁だ。必ず二人一組以上で行動するようにしておいてくれ」

「エオナが対象外なのは?」

「コイツに仕掛ける馬鹿が居るとは思えないし、仕掛けたところで返り討ちになるだけだから、誰かが傍にいない方がむしろ好都合だ。そもそもシュピーと同じで『満月の巡礼者』に所属しているわけでもないしな」

「なるほど」

 確かに誰かが襲ってきてくれるなら、そちらの方が楽ではあるだろう。

 適当にあしらって逃げ出したところをスヴェダに追跡させてもいいし、捕縛して『エオナガルド』で尋問をしてもいい。

 どちらの対応を取るにせよ、私にとってはきな臭い空気の元を辿る手がかりが自分からやってきたに等しいのだから。


「それともう一つ。明日の朝には私たちはクレセートに入るが、その際にはある種のパレードの様に入ることになっている。つまり……」

「ん?」

 ルナの視線がスリサズの上で寝転がる私に向けられる。


「今のエオナのようなだらしない姿は見せないでほしい。個々人の尊厳に関わる」

「うんまあ、だらしないのは否定しないわ」

「分かっているなら、誰に見られても問題がない姿をしてくれ……」

 どうやら、私の姿勢に不満があったらしい。

 それならそうと言ってくれて良かったのに。

 それにしてもパレードねぇ……。


「ねえ、ルナ」

「なんだ?」

「パレードと言うのなら……」

 折角なので、最初から相手の心を折りに行くぐらいで行かせてもらうとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。