ベリアルVS小悪魔×4 その一
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ほんの数分間、目を閉じていただけで、今まで鏡の中に映し出されていた光景が私の目の前に広がっていた。
「うわぁー♪ すっごいね~! イーヴィル~♪」
「ほんとだぁ~♪ あっという間に父さまのところにきちゃったね。 ミーア♪」
「??????」
私が声を発する前にオースティンのローブの中から、何故か聞き覚えのある声が聞こえて来た。私は空耳であって欲しいと願いながらも、思い切ってオースティンのローブをめくり上げていた。
「ミーア! イーヴィル! どうしてあなたたちがここにいるのよ!?」
「エヘヘ♪ だってミーアもいっしょにきたかったんだもの」
「そうだよ! かあさまー! オレたちのりゅうのたんけんをとりかえすんだ!」
私が怒って二人を問い詰めようとしたら、双子たちは私に必死に抱きついて来て一緒に竜人からもらった短剣をベリアルから、取り返すんだと二人とも瞳をうるうるさせていた。
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「あなたたち……。眠ってなかったのね!」
「エヘヘヘ♪」
「ウフフフ♪」
無邪気に笑う二人に怒る気も失せて、私が双子たちを抱きしめてため息を吐いていると、すぐ横でオースティンがクスクスと笑っていた。
「してやられましたね。さすが、お二人のお子様でございます。魔王のお小さい頃によく似ていらっしゃいますよ。フフフフ」
「ああー! もう! 笑ってる場合じゃないでしょ? 魔王とベリアルを止めなきゃいけないし、こんな所にこの子たちは付いて来ちゃうし……どうするの?」
私が頭を抱えて嘆いていると、スッと足元にフレイムとバーンが人の姿になって跪いていた。
「双子さまのことは、ワタクシたちでお守りいたします」
「お妃さまは魔王を先にお止めになってください」
「まぁ! あなたたちも一緒に来ていたのね! それに、人の姿になってるじゃない? それも知恵の玉の力なのね」
私の質問に二人は頷くと双子たちの側に寄り添って、必ずお守りしますと深く頭を下げて私に約束してくれていた。
「ありがとう。あなたたちがいてくれて、少し心強いわ。正直、この子たちだけだと魔王と一緒に暴走しそうだしね」
「フフフフ。確かにそうですね。美乃里さまは、良くわかっておいでのようで」
「オースティン! 笑ってないで、早く魔王たちを止めに行くわよ!」
ただ一人。楽しそうに笑っているオースティンの腕を掴むと私は魔王とベリアルのいる方へ向かって歩き出した。




