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悪霊が精霊になるとき  作者: 旬麗
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6.準備開始

拓斗さんは、喫茶店の片づけが終わると、Cafeの照明をあちこち落としていく。

カウンター席の照明のみ付いている。


「では、仕事も終わりましたので、お話が聞けますよ?」


そう話しながら、拓斗さんはカウンター席の椅子を凪の横にずらして私と対面するように座る。

私の体も、拓斗さんと凪の方向へ向ける。


「では、まずは簡単な質問から行きますね?

拓斗さんは、最近ちょっとした時間の記憶があいまいになったりとかありませんか?

そうですね?

・・・凪と花見に行ったあたりからの事なんですけど。」


「!!そっ・・・そうですね?

心当たりはあります。なんか最近仕事に身が入らないというか・・・

何分かの時間の記憶がなくて“何やってたんだろう?”と思うこともしばしばで・・・

どうしたもんかと自分の事が不安で仕方なかったんです。」


最初私の質問にも、驚いていた拓斗さんだったが、驚いていたのも一瞬ですぐに本来の自分を取り戻したように話し始める。


「わかりました。そのことについて、凪も心配しているようですよ?

これからの二人の幸せのためにも、いろいろ話をさせてください。

おじいさんの光稀さんの伝言もありますし・・・」


いったん言葉を切り、拓斗さんを見ると頷いている。それを確認した後、また質問形式に話し始める。


「拓斗さんのおじいさんは光稀さん。漢字で書くとこうですよね?」


メモを取り出し書いて見せる。


「そのとおりです。」


「そして、おじいさんはロマンスグレーの似合う拓斗さんそっくりのおじいさんで、小さいころ自分のそばによく拓斗さんを手元に置いていましたよね?そして、拓斗さんはそのおじいさんの写真をいつもお守り代わりに持ち歩いている・・・。

いつもはお財布に入れているようですが、今日は一度取り出したために右のズボンのポケットに入れてますよね?」


拓斗さんは、右のズボンのポケットから写真を取り出す。


「珍しく今日は、祖父の顔を見たくなりましてね、財布から取り出してみていたところお客さんが来たので、慌ててしまったんです。」


凪と二人で写真を見る。先ほど、私と会話した光稀さんそのものの人が微笑みを浮かべ写っている。


「私がさっきここのCafeで出会ったのはこの人です。“ここで、出会った”というと変人扱いされますが、私はそういうものが見えてしまうのです。そして、そのおじいさんは守護霊となって今も拓斗さんの後ろにいます。何かの時は、いつも守ってくれているはずです。そのおじいさんが、心配してました。」


「そして、光稀さんからの伝言です。

“拓斗は小さいころから、霊が見える体質で、それをみんなに知られてしまうと拓斗が辛い状況になるのが分かったから、いつも手元に置いて守ってきたつもりだった。これから、それを拓斗に教えていかなくてはならないなと思った矢先に、私が急に病気になりあっという間に死んでしまい伝えられなかった。”ということです。

光稀さんから私にそれを伝えてくれとお願いされました。

そんな状況で伝えられなかったので心残りだったのと、光稀さんも霊が見える特殊体質だったために心配で守護霊になったようですよ?」


「いつも自分で心配なことがあっても、心の底から、ぽわんと暖かくなることがあったんです。それは、祖父がいてくれて慰めてくれていたという事なんですね?」

 

「そういうことです。納得していただけました?」


「祖父が守護霊になったのは、納得しました。しかし、僕にも霊が見えるというのは、今言われたばっかりなので、まだ受け入れができなくて・・・

・・・すいません・・・。」


「その気持ちは、わかります。しかし、拓斗さん・・・・・。

・・・今まで、いろんな霊の方とお話していますよ。

ここにも何人かいらしていますよ?来店しても、何も注文しないで席に座っていて、水を出しても手を付けずに帰っていく方が過去にもいたはずです。

・・・そういう方は、すべて霊です。

霊なので、飲み物も飲めないんですよ?」


苦笑いしてみると、驚きながらも


「月に何人かそいいうお客さんが来ています。

あれは・・・・。霊・・・・・だったんですね?

・・・必ず、ほかにお客さんがいない時に来るのですよ。」


「誰もいない時に来るから、拓斗さんが他の方から変な目で見られることもないしね?ほかにお客さんがいたら、誰もいないところで、ブツブツ一人でしゃべっていたら怖いと思われますよ?」


思わず声に出して笑ってしまうと、拓斗さんは首を竦めている。


「花見の帰りに会った男の人ですがあの人も霊です。

回りに誰もいなかったでしょう?だから姿を現したみたいですね?

足もありました?」


「あったと思いますが… 」


「あれは、助けを求めていた霊です?

誰に助けを求めても、誰も救ってあげる人が現れず…。結局、悪霊になってしまったんです。

拓斗さんと凪が余りにも幸せなので、やきもちを妬いて幸せになってもらいたくなくて、邪魔しに出てきたんですよ?

それから、何度も姿をあらわしては拓斗さんの邪魔してるよ?

拓斗さんの記憶が曖昧な時はその人が体を乗っ取ってる!

だから最近記憶が曖昧なんだよ。」


段々と話し方も砕けたものに なっていく。


「そこで拓斗さんに実験というか……。

今から 色んな霊を見せるから正直に見えるかどうか答えて欲しいの。」


凪が目の前で、少し怯えている。


「大丈夫だよ?凪!

凪には見えないと思うから……。

見えてても多分1人位だし、悪さをする子じゃないからね?」


今度は拓斗さんに目を合わせると


「準備オッケーですか?」


とたずねる。


「はい。……オッケーです・・・。」


ポツリと返事が聞こえた。では…と指をならし


「まず、祐くん!出番だよ。」


というと 私の右隣に佑くんが姿を現した。


「拓斗さん!見えるかな?」


「目が大きくてさらさらの茶髪の男の子ですか?」


「当たりです!ちなみに私のどこにいるのが見える?」


「僕からみて 左手です。」


「では次です。今度は??」


「さっきとは、ずいぶん違う方ですね?

耳にピアスをした黒目の冷たい目と短い黒髪をもっている子ですね?

この子も男の子!

灯さんの後ろにいます。」


私の 言葉1つで伶くんが現れ、今度は歩生くんが姿を見せる。


「また、男の子ですか?

黒髪の耳元まである長めのスタイルですね?

切れ長の目元の…。」


「全ての霊が見えている。

ちなみに名前だけど、こちらから佑くん、伶くん、歩生くんです。」


といい、手を向けて教える。


「そして、見せていた順番にも理由があって。

強い力を持った霊からみせたの。

最後の夢は微量の力しか持ってないのだけど、それが見えたということは、体質はやはりあるんだよ。」


今度は凪に体を向けて


「凪には見えた?」


とたずねると、首を振る。


「全然。二人の会話が不思議だったよ!」


「これで、拓斗さんの体質が霊を見えると決定したんだ。

拓斗さんは納得できた?」


「凪には全然見えないということならば、納得しないわけには。

自分の体質はわかりました。」


そういうとため息を落としている。


「ごめんなさい!嫌な思いをさせてしまって…。

でも、これを受け入れてもらわないと前に進めなくて……。」


「前に進めないとはどういう事でしょう??」


「今憑いている霊・・・トーヤと言うんだけど、そのトーヤを幸せして昇天させてあげる約束をしたんです。

そのためには、まず拓斗さんが自分の体質を認めてくれないと、先にも進めないし。

それに、このままだと拓斗さんも凪も幸せにはなれない。

こういうものって、一度その人に憑くと、一生憑いてしまうものなんだよ。

・・・だから、このままだと凪にも悪さをする。

私は、そんな友達の姿は見ていられないの。」


「そういうものなんですか?」


「ここにいる、祐も、伶も、歩生もみんなトーヤと同じ人に憑いている霊だったの。それをついている人から離して昇天させたつもりだったんだけど、居心地がいいようでこの世界に留まり続けている。今では、精霊になっているよ?

いつもは、私のうちに同居中。他に彩加と、琴音がいて、5人の霊といるよ。

さすがに、今日は拓斗さんに会いに来たので、邪魔しないようにお願いしたのでここには現れないけど、私の身に危険が及ぶと助けてくれるよ。悪霊が、精霊になったんだよ?」


「灯さんて・・・・・。

凄いんですね!」


「小さい頃からそういう力もあって、気が付いたのも早かった。そして、代々伝わる本を読んでから、自分の体をコントロールしながらやっていたら、ここまでになっていたという簡単な話。」


「そういうものが見えるって、怖くはないの?」


「顔見て驚くこともあるけど、私の力が強いから大抵は、その場で昇天してしまいます。

今回のトーヤみたいに、寂しさが深い霊ほどやっかいなんだよ。拓斗さんの力を貸して欲しい。

凪にも力を貸して欲しい。拓斗さんの体の事やメンタル面の手助けをしてほしいの。

拓斗さんに力を貸してもらうのはいいのだけど、まだそっちのほうは、しっかりとしたものがないからトーヤに当てられてしまう事があるから。

二人の協力があってできることなの。」


凪も拓斗さんも瞳に強い力を湛えながらしっかりと頷いてくれる。


「準備完了!!」


『よかった!』

『当たり前だ』

『これからが、大変だな?灯も気をつけるんだぞ!』


祐、伶、歩生がそれぞれに語りかけてくる。それを心で受け止めながら


「まず、今日の話はおしまいです。時々話をさせてもらいに、凪の後についてきますので、これからよろしくお願いします。」


頭を下げ、お願いすると


「お互い様だね?こちらこそ」


と声を掛けられた。

これからが、本格出動!

代々伝わる本を思い浮かべながら、

あのおばあちゃんからもらった本をもう一度確認しておかなきゃなぁと、思った灯だった。


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