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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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聖女セレスティアと消えた村

『転生しても貴族医師としてここを守る』


第八話時点 登場人物



黒鯛くろだい 拓真たくま


異世界名:タクト・フォン・レーヴェン


* 本作の主人公

* 前世は日本の外科医

* 十歳

* レーヴェン侯爵家次男

* レーヴェン診療所の院長

* フィリアの夫

* リリアの師匠

* 王家直属医師見習い

* 「全ての人を救う」が信念

* 各国を巡る旅を続けている



フィリア・フォン・レーヴェン


元フェルディア王国第一王女


* 十五歳

* タクトの妻

* 明るく優しい性格

* リリアを妹のように愛している

* 診療所を支える良き妻

* 人々から「白き王女」と呼ばれる



リリア・ノエル


* 十二歳

* タクトの一番弟子

* 教会孤児院出身

* 優しく真面目な少女

* 両親に売られた過去を持つ

* タクトとフィリアを家族として慕う

* 笑顔を取り戻し、医師を目指している

* 両親が村を崩壊させたことを知っても感情を失わず冷静だった

* 「私は家族ですか?」と涙ながらに問いかけた



セレスティア・ルミナ


聖光教会聖女候補


* 白銀の髪と黄金の瞳を持つ少女

* 人々を救うことを願う心優しい女性

* 教会内部の改革を望んでいる

* タクトたちと共に旅を始める

* リリアの幸せを願っている



アルベルト・フォン・レーヴェン


レーヴェン侯爵家当主


* タクトの父

* 「聖医」と呼ばれる名医

* 息子の成長を見守る

* 長男アルトを失った過去を持つ



エリシア・フォン・レーヴェン


レーヴェン侯爵夫人


* タクトの母

* 優しく穏やかな女性

* フィリアを娘として迎え入れている

* リリアのことも孫娘のように可愛がっている



レオンハルト・フェルディア


フェルディア王国国王


* フィリアの父

* 民を愛する名君

* タクトを信頼している

* 教会との均衡を保とうとしている



セレーネ・フェルディア


フェルディア王妃


* フィリアの母

* 慈愛に満ちた女性

* タクトとフィリアの結婚を祝福している



バルディウス


聖光教会大司教


* 六十歳

* 聖光教会最高幹部

* タクトとの対立を経て自らを見つめ直し始める

* 教会改革を考え始めている



アリアンシア・エル=アルヴヘイム


エルフ女王


* 六大王の一人

* 数百年を生きるエルフ族の支配者

* 教会よりも大きな影響力を持つ

* タクトに興味を抱く

* 世界の均衡を見守る存在



リリアの実父


* 名前不明

* 酒と煙草に溺れた男

* 浮気を繰り返していた

* 金のために娘を孤児院へ売った

* 村の資金を奪い崩壊へ導く

* 衛兵に逮捕される

* 終焉の地グラ=ネヴァへ追放



リリアの実母


* 名前不明

* 娘を見捨てた女性

* 浮気相手と共に放蕩生活を送る

* 村人から金を騙し取る

* 実父と共にグラ=ネヴァへ送られる



終焉の地グラ=ネヴァ


* 世界地図に存在しない謎の土地

* 「帰れない国」と呼ばれる

* 入ることはできても出ることはできない

* 王の存在も法律も不明

* 世界中の罪人や追放者が送られる

* 国なのか監獄なのか誰も知らない



謎の存在


* グラ=ネヴァの奥深くで目覚めた存在

* 人間ではない

* 長き眠りから覚醒し始める

* 魔王と関係があると噂されている



主な仲間


タクト・フォン・レーヴェン


「全ての命を救いたい医師」


フィリア・フォン・レーヴェン


「夫を支える妻」


リリア・ノエル


「笑顔を取り戻した一番弟子」


セレスティア・ルミナ


「人々を救いたいと願う聖女候補」



主人公の言葉


タクト・フォン・レーヴェン


「血の繋がりだけが家族じゃない。


大切に思い、支え合う心こそが、本当の家族なんだ。」

第八話 聖女セレスティアと消えた村


「先生、助けてほしい村があるんです」


聖女候補セレスティア・ルミナは、深刻な表情で頭を下げた。


「地図から消えた村があります」


「人々が消えたと噂されています」


タクトたちは、セレスティアと共に現地へ向かった。


妻のフィリア。


弟子のリリア。


四人は廃墟となった村に到着する。


「ひどい……」


フィリアが言葉を失う。


家々は荒らされ、食料庫は空。


酒樽が転がり、金目の物は全て奪われていた。


そして、衛兵隊長が報告する。


「犯人は既に捕らえています」


「浮気相手と共に村の資金を騙し取り、酒と煙草に溺れていました」


「村人たちを脅し、金を奪い続けていたようです」


「その結果、村は崩壊しました」


セレスティアは祈りを捧げる。


「なんてことでしょう……」


だが。


リリアは何も言わなかった。


衛兵たちが連れてきた二人を見ても。


驚きも、怒りも、悲しみもない。


「……」


「リリアちゃん?」


フィリアが心配そうに見る。


衛兵隊長は言いにくそうに口を開いた。


「この二人は……」


「リリア・ノエルの実の両親です」


その場が凍りつく。


「え……?」


セレスティアも息を呑んだ。


二人は泣き叫ぶ。


「助けてくれ!」


「俺たちは悪くない!」


「金が欲しかっただけだ!」


「娘だろ! リリア!」


しかし。


リリアの瞳は静かだった。


何も映していない。


「先生」


「お姉様」


「私は……何も感じません」


「悲しくもありません」


「嬉しくもありません」


「ただ……」


「消して」


その一言だけだった。


タクトはリリアの肩に手を置く。


「リリア」


「君は怒っていい」


「泣いていい」


「許さなくてもいい」


「でも、君の心まで壊れてはいけない」


リリアは小さく頷いた。


「はい……先生」


◇◇◇


裁判の末。


二人は死罪ではなく追放となった。


送られた先は――


「終焉の地グラ=ネヴァ」


世界地図にも載らない場所。


国と呼ばれている。


だが、誰も王を知らない。


誰も法を知らない。


誰も帰ってきた者はいない。


そこに入ることはできても。


そこから出ることはできない。


本当に国なのか。


それとも巨大な監獄なのか。


誰にも分からない。


「お願いだ!」


「助けてくれ!」


「リリア!」


叫ぶ二人を乗せた馬車は、黒い霧の中へ消えていった。


そして。


リリアは振り返らなかった。


ただ。


タクトの服を掴んでいた。


「先生」


「私は……家族ですか?」


タクトは優しく微笑んだ。


「当たり前だよ」


フィリアはリリアを抱きしめる。


「あなたは私たちの妹よ」


セレスティアも涙を浮かべた。


「神様……」


「どうか、この子に幸せを」


その時。


遠く離れた黒い霧の向こう。


終焉の地グラ=ネヴァで、


何かが目を覚ました。


「……人間が来たか」


その声は、人ではなかった。


誰も知らない。


「帰ることのできない国」と呼ばれる場所に隠された真実を。


そして、


リリアの両親を待ち受ける運命を――。


第九話「帰れない国グラ=ネヴァと封印の魔王」へ続く――。

リリアの両親


第八話をお読みいただき、ありがとうございます。


今回、リリアの過去が明らかになりました。


幼い娘を愛することもなく、


「こいつ、使えない娘だ」


そう言い放ち、金のために孤児院へ売った両親。


酒と煙草に溺れ、


浮気を繰り返し、


村人たちから金を奪い、


最後には自らの欲望によって全てを失いました。


ですが、リリアは二人を憎むことすらできませんでした。


怒りも。


悲しみも。


涙さえも。


あまりにも長い年月、心を閉ざしていたからです。


だからこそ、彼女が口にしたのは復讐ではなく、


「私は家族ですか?」


という小さな願いでした。


愛された記憶のない少女が、


ようやく見つけた居場所。


先生と呼べる人。


お姉様と呼べる人。


笑顔で「おはよう」と言える毎日。


それは、失われた幼少期を取り戻すような、温かな時間でした。


一方で、リリアの両親は最後まで娘を「道具」としか見ていませんでした。


しかし、親である資格を失ったとしても、


リリアが受けた傷が消えることはありません。


それでも彼女は、人を憎むことよりも、人を助ける道を選びました。


それは、先生であるタクトと、優しいフィリア、そして孤児院で出会った人々から教わったものだからです。


「使えない娘」


そう言われて育った少女は、


今では誰かの笑顔を守るために学び、


誰かの涙を拭うために歩いています。


そして、そんな彼女を見守る人たちがいます。


もう、リリアは一人ではありません。


「先生!」


「お姉様!」


その笑顔は、きっと誰にも奪えない宝物になっていくのでしょう。

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