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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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王家の盾と聖光教会の影

『転生しても貴族医師としてここを守る』


第六話時点 登場人物



黒鯛くろだい 拓真たくま


異世界名:タクト・フォン・レーヴェン


* 本作の主人公

* 前世は日本の外科医

* レーヴェン侯爵家次男

* 十歳

* 最高位の「聖なる癒しの加護」を持つ

* 教会への所属を拒否

* フィリアの婚約者

* 王家直属医師見習い

* レーヴェン診療所を開設

* 各国を巡り人々を救う旅を始める

* 「全ての人を救いたい」が信念



フィリア・フェルディア


フェルディア王国第一王女


* 十五歳

* タクトの婚約者

* 明るく優しい性格

* 将来の妻

* 診療所を手伝いながらタクトと共に旅をする

* 王族でありながら庶民にも分け隔てなく接する



リリア・ノエル


* 十二歳

* 教会孤児院出身

* タクトの一番弟子

* 元気で努力家

* 将来は医師になることを目指している

* フィリアを「お姉様」と慕う



アルベルト・フォン・レーヴェン


レーヴェン侯爵家当主


* タクトの父

* 王国最高峰の医師

* 「聖医」と呼ばれる存在

* 長男アルトを失った過去を持つ

* 息子の成長を見守る



エリシア・フォン・レーヴェン


レーヴェン侯爵夫人


* タクトの母

* 優しく穏やかな女性

* 家族の幸せを願っている

* フィリアとの婚約を喜んでいる



レオンハルト・フェルディア


フェルディア王国国王


* フィリアの父

* 民を愛する名君

* タクトを王家直属医師見習いに任命

* 教会の圧力と戦う覚悟を持つ



セレーネ・フェルディア


フェルディア王妃


* フィリアの母

* 慈愛に満ちた女性

* タクトを実の息子のように可愛がる



バルディウス


聖光教会大司教


* 六十歳

* 聖光教会最高幹部

* タクトの資格剥奪を宣言したが権限がないことを認める

* エルフ女王の圧力により謝罪

* 自身の信仰と生き方に疑問を抱き始める



アリアンシア・エル=アルヴヘイム


エルフ女王


* 六大王の一人

* 数百年を生きるエルフ族の支配者

* 王家や教会よりも大きな影響力を持つ

* 精霊水や薬草を管理する

* タクトに興味を抱いている

* 教会に対し援助停止を示唆し、大司教を謝罪させる



ローガン・ベルフォード


レーヴェン家老執事


* アルベルトの側近

* レーヴェン家を長年支える忠臣

* タクトの成長を喜んでいる



アンナ


レーヴェン家侍女


* エリシア付きの侍女

* タクトを幼少期から見守る

* 家族を支える存在



アルト・フォン・レーヴェン


* 故人

* タクトの兄

* 享年十六歳

* 家族の心に大きな傷を残した存在

* タクトの生き方に影響を与えている



レーヴェン診療所


* タクトが開設した診療所

* 王都を拠点に活動

* 貧しい者も分け隔てなく治療する

* 世界を巡る医療活動の拠点



聖光教会


* 大陸最大の宗教組織

* 王家以上の権力を持っていた

* エルフ族の支援に依存している

* 内部にはバルディウスに疑問を持つ者もいる



フェルディア王国


* 王政国家

* 医療をレーヴェン家が支えている

* 教会との対立を抱える



アルヴヘイム


エルフの国


* 森と精霊の国

* アリアンシア女王が統治

* 精霊水や希少薬草の産地

* 人間の国々にも大きな影響力を持つ



主人公


黒鯛拓真/タクト・フォン・レーヴェン


「王家も、教会も、国境も関係ない。


僕は医師として、助けを求める全ての人を守りたい。」

第六話 王家の盾と聖光教会の影


タクト・フォン・レーヴェンが聖光教会の誘いを断ってから数か月。


フェルディア王国には不穏な空気が漂っていた。


「教会に逆らった若き医師」


「王家が守る異端者」


そんな噂が各地を駆け巡る。


だが、事態は誰も予想しない方向へ進むことになる。


◇◇◇


王宮。


レオンハルト国王と大司教バルディウスが対面していた。


「大司教よ」


「貴族医師の資格を剥奪する権限は教会にはない」


「それでもなお、脅しを続けるのか?」


バルディウスは沈黙した。


その時。


王宮に巨大な魔法陣が現れる。


「なっ!?」


「転移魔法!?」


そこに現れたのは、長い銀髪と翡翠の瞳を持つ美しい女性。


森と精霊の国アルヴヘイムを治める存在。


エルフ女王――


アリアンシア・エル=アルヴヘイム。


数百年を生きる六大王の一人。


人間の王すら頭を下げる存在であった。


「久しいな、レオンハルト」


国王は立ち上がる。


「アリアンシア女王陛下!」


大司教バルディウスは青ざめた。


「ま、まさか……」


アリアンシアの瞳が冷たく光る。


「聞いたぞ」


「教会がタクト・フォン・レーヴェンの資格を剥奪するとな?」


「ならば、我らエルフ族からの援助を全て打ち切る」


「聖樹の薬草」


「精霊水」


「回復薬の原料」


「全てだ」


大司教は震えた。


エルフ族からの援助がなくなれば、教会の医療網は崩壊する。


「お、お待ちください!」


「我々にそのような意図は……」


「脅しであったのか?」


アリアンシアの一言に、バルディウスは膝をついた。


「申し訳ございません!」


「私の過ちでした!」


「資格剥奪など不可能です!」


「全て撤回いたします!」


王宮中が静まり返った。


レオンハルトは呆れながらため息をつく。


「ようやく認めたか」


◇◇◇


その頃。


タクトは王都の一角に、小さな診療室を開いていた。


『レーヴェン診療所』


「次の患者さんどうぞ」


十歳とは思えぬ落ち着きで患者を診るタクト。


隣には婚約者フィリア。


「次のお薬はこちらです」


さらに。


「先生!」


「包帯を替えました!」


若い少女の声。


教会の孤児院出身。


タクトの弟子となった少女。


リリア・ノエル(十二歳)


「ありがとう、リリア」


「えへへ!」


こうして三人は、王国中を旅しながら人々を救い始める。


東の砂漠。


北の雪国。


獣人の国。


ドワーフの鉱山都市。


そしてエルフの森。


国も種族も関係ない。


「僕は医師だから」


「助けを求める人がいるなら、どこへでも行く」


フィリアは優しく微笑む。


「私は妻として支えるわ」


リリアも元気よく笑う。


「私は先生の一番弟子です!」


そんな三人を遠くから見つめるアリアンシア。


「面白い少年だ」


「黒髪の医師か……」


「人間も捨てたものではないな」


そして。


謝罪したはずの大司教バルディウスの胸には、新たな決意が芽生えていた。


「私は間違っていたのか……」


「神とは、支配するものではなく、救うものなのか……」


長年信じてきたものが揺らぎ始める。


王家の盾。


聖光教会の影。


そして世界を巡る若き貴族医師。


誰も知らない。


この旅が、やがて世界を救う伝説の始まりとなることを――。


第七話「世界を巡る若き医師と聖女の来訪」へ続く――。

妻と弟子の雑談


第六話をお読みいただき、ありがとうございます。


今回から旅を共にする仲間として、フィリアとリリアが本格的に登場しました。


とはいえ、診療所の中はいつも真面目な話ばかりではありません。


「タクトはまた患者さんのことばかり考えてるわ」


と呆れるフィリア。


「先生は寝ないと倒れますよ!」


と心配するリリア。


そして、


「二人とも大げさだよ」


と笑うタクト。


そんな何気ない会話が、三人の日常を作っています。


ある日。


「お姉様、先生って昔から鈍感なんですか?」


「そうよ。小さい頃から変わらないわ」


「ええ! じゃあ、手を繋いだりしたんですか?」


「もちろん」


「えええ!?」


そんな会話に、当の本人だけが首を傾げる。


「何の話?」


「先生は黙っててください!」


「タクトはそのままでいいの!」


二人に怒られて、困ったように笑うタクト。


診療所には病気や怪我だけでなく、人々の笑顔も集まります。


どんなに辛い旅でも。


どんなに困難な未来が待っていても。


笑い合える仲間がいる。


支えてくれる妻がいる。


成長していく弟子がいる。


それは、前世では手に入れられなかった、何よりも大切な宝物でした。


「先生!」


「今日はどこの国へ行くんですか?」


「タクト、朝ご飯はちゃんと食べてからよ?」


「はいはい」


そんな穏やかな日々が、三人の旅を彩っていきます。


そして、この賑やかな日常は、やがて世界を揺るがす大事件の中でも、決して失われることのない絆となっていくのでした。

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