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転生しても貴族医師としてここを守る  作者: マーたん


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神の加護と大司教の野望

『転生しても貴族医師としてここを守る』


第五話時点 登場人物



黒鯛くろだい 拓真たくま


異世界名:タクト・フォン・レーヴェン


* 本作の主人公

* 前世は日本の外科医

* レーヴェン侯爵家次男

* 十歳

* 最高位の「聖なる癒しの加護」を持つ

* 教会への所属を拒否

* フィリア王女と婚約

* 貴族医師の資格を剥奪される

* 王家直属医師見習いとなる

* 「全ての国民を守りたい」と願う



フィリア・フェルディア


フェルディア王国第一王女


* 十五歳

* タクトの幼馴染

* タクトの婚約者

* 明るく優しい性格

* 王女としての責任と恋心の間で揺れる

* タクトを心から愛している

* 教会の横暴に怒りを覚える



アルベルト・フォン・レーヴェン


レーヴェン侯爵家当主


* タクトの父

* 王国最高峰の医師

* 「聖医」と呼ばれる名医

* 長男アルトを失った過去を持つ

* タクトを守るためなら全てを失う覚悟を持つ



エリシア・フォン・レーヴェン


レーヴェン侯爵夫人


* タクトの母

* 優しく穏やかな女性

* 長男アルトを失った悲しみを抱える

* 教会に再び息子を奪われることを恐れている

* タクトとフィリアの幸せを願う



レオンハルト・フェルディア


フェルディア王国国王


* フィリアの父

* 民を愛する名君

* 教会の圧政に頭を悩ませている

* タクトを王家直属医師見習いに任命

* 王国を守るため教会と対立する覚悟を決める



セレーネ・フェルディア


フェルディア王妃


* フィリアの母

* 慈愛に満ちた女性

* タクトを息子のように可愛がる

* 婚約を温かく見守る



バルディウス


聖光教会大司教


* 六十歳

* 聖光教会最高幹部

* 王国以上の権力を持つ男

* 温厚な笑顔の裏に執念を隠す

* タクトを教会に迎えようとするが拒否される

* 貴族医師資格を剥奪する

* タクトと王家を敵視し始める



アルト・フォン・レーヴェン


* タクトの兄

* 故人

* 享年十六歳

* 父の期待に苦しみ命を絶った

* 家族の心に深い傷を残す

* タクトの生き方に大きな影響を与えている



ローガン・ベルフォード


レーヴェン家老執事


* アルベルトの腹心

* 長年レーヴェン家を支える忠臣

* タクトを幼少期から見守る



アンナ


レーヴェン家侍女


* タクトの世話係

* エリシアを支える存在

* 明るく優しい性格



聖光教会


* 大陸最大の宗教組織

* 王家を上回る権力を持つ

* 重税によって国民を苦しめている

* 神官、司教、大司教によって支配されている

* タクトを危険視し始める



フェルディア王国


* 王政国家

* 教会の圧力に苦しんでいる

* 国王と王家は民を守ろうとしている

* タクトとレーヴェン家を中心に変革の兆しが生まれる



主な対立構造


タクト・レーヴェン家・王家


「全ての国民を守る」


VS


聖光教会・大司教バルディウス


「神に選ばれし者は教会のもの」



主人公


黒鯛拓真/タクト・フォン・レーヴェン


「敵は作らない。


王家も、教会も、貴族も、平民も。


僕は、この国の全ての人々を守りたい。」

第五話 神の加護と大司教の野望


加護の儀から数日。


レーヴェン侯爵家には、一通の書状が届いていた。


差出人は――


聖光教会。


大司教バルディウス。


「タクト・フォン・レーヴェンを教会直属の神官候補として迎える」


「王国の未来のため、直ちに教会へ送るように」


アルベルトの顔が曇る。


「来たか……」


エリシアは息を呑んだ。


「嫌……」


「また、息子を奪うつもりなの……?」


その時。


十歳のタクトは静かに立ち上がった。


「父上」


「母上」


「僕が話します」


◇◇◇


数日後。


王都大聖堂。


大司教バルディウスの前に立つタクト。


「タクト・フォン・レーヴェン」


「神に選ばれた者よ」


「教会へ来なさい」


「神のために生きるのです」


しかし、タクトは首を横に振った。


「お断りします」


周囲の神官たちがざわついた。


「なっ!?」


「大司教様に逆らうのか!」


バルディウスは微笑んだまま尋ねる。


「理由を聞きましょう」


タクトは真っ直ぐ見つめた。


「僕は医師です」


「神官ではありません」


「人を救うために生きます」


「教会に入らなくても、人は救えます」


「そして――」


タクトの隣に立つ少女。


フィリア・フェルディア。


十五歳になった王女が微笑む。


「タクト……」


「私は、この人と生きていきたい」


国王レオンハルトが頷く。


「フィリアとタクトの婚約を認める」


王宮中がざわめいた。


しかし。


大司教バルディウスの笑顔が消える。


「教会を敵に回すのですか?」


重苦しい空気。


王でさえ顔を強張らせる。


だが。


タクトは恐れなかった。


「いいえ」


「敵になどしません」


「僕は教会も、王家も、貴族も、平民も関係なく守りたい」


「この国の全ての人々を守りたい」


「それが医師だからです」


「誰かを敵にして救える命なら、最初から救いません」


その言葉に。


レオンハルトは涙ぐんだ。


アルベルトも目を閉じる。


(タクト……)


(お前は私より立派だ……)


しかし。


バルディウスの目には怒りが宿っていた。


「ならば仕方ありません」


「タクト・フォン・レーヴェン」


「聖光教会の権威に逆らった罪により」


「貴族医師の資格を剥奪します」


「王国内での診療を禁止します」


「教会の祝福も受けられない」


「二度と医師として生きることはできません」


エリシアは青ざめた。


「そんな……!」


フィリアは涙を流した。


「どうして!」


「タクトは悪くない!」


アルベルトは拳を握る。


「バルディウス……!」


だが。


タクトは静かに微笑んだ。


「それでも構いません」


「資格がなくても」


「地位がなくても」


「人を救いたい気持ちは奪えません」


「前世でも」


「今世でも」


「僕は医師です」


「転生しても、貴族医師としてこの場所を守る」


その時だった。


国王レオンハルトが立ち上がる。


「ならば余が守ろう」


「タクト・フォン・レーヴェン」


「王命で、お前を王家直属医師見習いとする!」


「余は、お前を失わん!」


そして。


大司教バルディウスは静かに去っていく。


「ならば見せてもらいましょう」


「神なき医師が、どこまで人を救えるのかを……」


その背中には、これまで見せたことのない冷たい殺意が宿っていた。


こうして。


若き医師タクトと聖光教会の戦いが始まる。


それはやがて、


王国の運命を左右する大きな戦いへと発展していくのだった――。


第六話「王家の盾と聖光教会の影」へ続く――。

大司教の虚勢


第五話をお読みいただき、ありがとうございます。


今回、タクトは聖光教会の誘いを断り、自らの意思で医師として生きる道を選びました。


怒りを露わにした大司教バルディウスは、


「貴族医師の資格を剥奪する」


と宣言しました。


しかし、それは事実ではありません。


本来、貴族医師の資格を認定するのは王国と医師会であり、教会にその権限は存在しないのです。


大司教の言葉は、権力と恐怖によって従わせてきた男の「虚勢」でした。


長年、王侯貴族ですら逆らわなかったため、多くの者は疑うことさえしませんでした。


ですが、タクトは恐れませんでした。


そして、国王レオンハルトもまた、その言葉に屈しませんでした。


「権威」と「権力」は同じではない。


「信仰」と「支配」もまた同じではない。


神を敬うことと、人を従わせることは別のものです。


大司教バルディウスは神を信じています。


しかし同時に、自らが築き上げた巨大な権威も信じていました。


だからこそ、初めて拒絶した少年に対して、彼は怒りを覚えたのです。


一方で、タクトは敵を作るために立ち上がったのではありません。


王家も。


教会も。


貴族も。


平民も。


その全ての人々を守りたい。


ただそれだけを願っていました。


だが、その願いとは裏腹に、少しずつ王国を揺るがす大きな対立の火種が生まれ始めていました。


そして、教会の中にもまた、バルディウスのやり方に疑問を抱く者たちが現れ始めます。


誰が正義なのか。


誰が悪なのか。


その答えは、まだ誰にも分かりません。


ただ一つ確かなのは――


若き医師タクト・フォン・レーヴェンの戦いは、まだ始まったばかりだということでした。

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