時を超える手術と二人の天才医師
二人の天才医師
医師とは何か。
命を救う者。
希望を繋ぐ者。
そして、最後まで諦めない者。
千年前。
王女の身分を捨て、人を救う道を選んだ天才貴族医師エレナ・フォン・アルシア。
現代。
転生し、再び医師として生きる若き貴族医師タクト・フォン・レーヴェン。
時代は違う。
生きる世界も違う。
しかし。
二人の心は同じだった。
「患者を救いたい」
その願いだけが、千年の時を超えて繋がっていた。
そして今。
余命三日の少女リナ。
選ばれたドナーである幼きバーデラス。
絶望の中で、未来の医師たちは新たな可能性を見つけ出そうとしていた。
魂。
命。
そして、赦し。
全てを賭けた奇跡の手術が始まろうとしている。
第四十二話「時を超える手術と二人の天才医師」
時の狭間。
千年前の記憶と現在が交わる不思議な空間。
天才貴族医師エレナ・フォン・アルシアは、泣き崩れていた。
「嫌よ……」
「息子を失うなんて」
「そんなことできない!」
幼いバーデラスは微笑んでいた。
「お母さん」
「リナを助けて」
「僕なら大丈夫」
しかし。
その時だった。
「まだだ!」
タクトの声が響く。
「諦めるには早い!」
エドガーも立ち上がる。
「そうだ!」
「方法は一つじゃない!」
ミレイアは紅茶を置いた。
「未来の医者たちを舐めないでちょうだい」
◇◇◇
リリアは震えていた。
「先生……」
「私……」
「もし」
「もしあの二人が許してくれるなら……」
タクトは頷いた。
「うん」
「話してみよう」
その時。
現れたのはリリアの両親。
かつて娘を見捨て、冷たい言葉を浴びせた二人。
しかし。
長い時を経て。
彼らは変わっていた。
父は頭を下げた。
「リリア」
「許してくれ」
母も涙を流す。
「最低な親だった」
「でも」
「最後くらい」
「誰かの役に立ちたい」
リリアは涙を流した。
「お父さん……」
「お母さん……」
◇◇◇
アイオニアが首を振る。
「肉体は違う時代のもの」
「そのままでは適合しません」
クロノスも頷く。
「不可能です」
その時。
第五の使徒が笑った。
「あの魂を」
「え?」
「お兄ちゃんを泣かせた魂」
「今度は人を助ける」
ミレイアが目を見開く。
「まさか!」
「魂の移植?」
アステリアも息を呑む。
「そんな技術」
「神でも……」
タクトは静かに頷く。
「命を救う方法があるなら」
「試してみる」
◇◇◇
その頃。
闇の中。
一つの魂が泣いていた。
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
第三の使徒リヴィエル。
かつて愛を利用し、多くの人を苦しめた女。
「私は」
「誰も愛せなかった」
「誰にも愛されなかった」
その時。
第五の使徒の声が響く。
「お姉ちゃん」
「今度は」
「助ける側になろ?」
リヴィエルは驚く。
「私が……?」
「うん」
「お兄ちゃんも」
「お母さんも」
「泣かせないために」
◇◇◇
時の狭間。
エレナの前に現れるタクト。
「先生?」
「あなたは……」
「未来の医師です」
「一緒にやりましょう」
エレナは涙を流した。
「未来にも」
「医者がいるのね」
「はい」
「だから」
「一人で背負わなくていい」
そして。
千年前の天才貴族医師。
現代の白き賢医。
二人の医師が並んだ。
「患者を救う」
「それが医者だ」
その瞬間。
時空を超えた奇跡の手術が始まる。
だが。
遠く宇宙の彼方。
星界の監察者たちは、その光景を見ていた。
「確認」
「時空改変」
「排除対象」
白き鎧の軍勢が動き始める。
そして。
その先頭でアステリアが涙を流す。
「先生……」
「急いで」
「もう時間がない」
第四十三話「奇跡の手術と星界の侵攻」へ続く――。
奇跡の手術と星界の侵攻
第四十二話「時を超える手術と二人の天才医師」をお読みいただき、ありがとうございました。
ついに出会った二人の天才医師。
エレナとタクト。
千年前と現代。
二つの時代を繋ぐ奇跡。
そして、一人では背負いきれなかった苦しみを、共に支える仲間たち。
エドガー。
ミレイア。
アイオニア。
クロノス。
第五の使徒。
そして、未来から見守る者たち。
「一人で背負わなくていい」
その言葉は、エレナだけでなく、後に終焉神ゼロスとなるバーデラスにも届こうとしていました。
しかし。
奇跡には代償があります。
時空を超えた医術。
魂への干渉。
それは星界の監察者たちが最も恐れる禁忌でした。
白き鎧の軍勢。
迫り来る侵攻。
そして涙を流す少女アステリア。
彼女が「先生」と呼ぶ理由とは何なのか。
次回――
第四十三話「奇跡の手術と星界の侵攻」
一人の少女を救うため。
二人の医師が起こす奇跡。
そして、世界の外から訪れる戦いが始まる――。




